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軍事を軽視した“ツケ”

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次にレストンは、ウォーレス候補とハンフリー候補の健康状態について論じ、各人の病気を列挙してから、私たちの主張の裏づけとなる次の事実を記している。

「事のついでに、私はウォーレスに、党公認の候補になったら検診を受ける気があるかとたずねた。他の候補者たちもそうするなら自分もきっとそうする、だが、そんな質問を候補者たちがされることはないのだ、と彼は答えた」

レストンは大統領候補の挿話に触れながら、副大統領候補もこの同じ検診を受けるべきであり、六十歳以上の人なら、なおさらだと強調している≫

そして、≪一九七六年に建国二百年を祝った強大な民主主義国家においてさえ、肉体的病人(そしてたぶん精神的病人)が最高権力を握るのを予防するという点では、民主的諸制度も不十分だということが、改めて認識される≫と批判し、そして次の結論に達したとする。


≪以上のような考察の結果、私たちは権力志向の起原について、ある考えを持つに至った。……権力の把握というのは、幼児期に感じた強い欲求不満(中でも特に、孤児、私生児、捨て児など、見捨てられた子供の欲求不満)の補償であるように思われる。

したがって権力とは、欲求不満によく効く治療法の一つ、麻薬や万能薬のようなものなのである。人間たちを征服し、支配し、彼らを復讐の掟に従わせたいと思う気持もよくわかる

このような人々は、身体が悪いと診断されたからと言って、権力を放棄するものではない。彼らにとって権力とは、神聖にして侵すべからざるものであり、世人も大体、何人かの元首については、このカリスマの力を認めている。

民主政体においては、マスメディアが大きな自主性を持っているので、公衆のある部分は、そんな考え方から解放されている。立法、司法、行政、および軍隊のヒエラルキーの中で、文武の権力を握る者に向けられる伝統的な態度は、二つあって、現在はその両極の間を揺れ動いている。一つは、権力者を讃美し、崇拝し、偶像視さえする態度だ。この例は、独裁政体でも民主政体でも数多く見られる。これに対するもう一つの態度は、すべて権力者礼讃(たとえ部分的でも)というものに、皮肉っぽく、嫌味たっぷりに、辛辣な抵抗を加えるもので、無政府的呪誼にまで行きつくこともある。この態度が一般化したのは、階級制度の神聖な性格が完全にその両義性を露わにしたフランス革命以後のことである≫


この説に従って現代国際政治の場を眺めると、まさに世界を指導しているのは“病人だらけ”だといい得るだろう。

しかし、選出してしまった以上、国民に変更する手立ては残されていない。ヒトラーもそうであった…。ましてや社会主義国に至っては完全に望みはない。


そこで起きるのが政府転覆計画、つまりクーデターである。来年はテロと政府転覆事象が多発するのではないか?

しかし著者は「結論」の項で言う。

≪政権を行使している限りは、必ず医学的なコントロールが行われるべきなのだ。これは民主政体の運営における障害を除去し、多少なりとも独裁形態に逸脱してしまうのを出来る限り避けようとして、議会が行うコントロールを正常に敷衍しただげのものなのだから。

政治的な情報では足りない部分を、医学的な情報で補わなげればならない

政治情報が市民にとっては不十分な場合がよくある。それというのも、問題がますます複雑化して、市民がそれを評価したり判断したりすることが技術的にも実際的にもできにくくなっているからである。このようなわけだからこそ、われわれ民主政体においてさえ、確立してしまった権力は濫用されがちで、専制的なものになっているのだ。

したがって、元首の心身状態の調査は、好奇心や一般的哲学的関心の発露ではなくて、全市民の正当防衛の問題となっている

この意味でこそ、本書にこめられたメッセージが読者に理解されたいと望むものである。

本書の目的は、元首たちの隠れた面をあばくことではない。いくつかの国では、権力を行使することが麻薬のような作用をし、それなしではいられなくなっていることを理解させる目的でこの本は書かれた。諸制度が本当に民主化すれば、再びシンシナトゥスのような例もあらわれるかもしれない≫


世界の政治を指導するトップらの健康問題に関しては、著者が言うように口に出して危険性を唱える者はいないようだが、これは現代政治の“盲点”であろう。

国際情勢は、軍事力の多寡で動いていることは承知の事実である。となると病人は国を支配するのは“気○いに刃物”状態そのままだという事になるのではないか?


わが国民はいかにも平和主義的言動を好むが、その実「ほとんどすべてが軍事力」にかかわった問題提起に過ぎない。

日米関係はもとより、対シナとの軋轢、北朝鮮対処などなど、国内問題の“沖縄紛争”でさえ、はっきり言って軍事問題なのだ。

その軍事を埒外に置いて、平和を唱えさえすれば自動的に鉾が収まるかのような扇動をしてきた“有識者”たちの慌てブリが来年は話題になる事だろう。


紛争発生時に極力軽微な損害で済むように、一刻も早く法改正すべき立場にある政治家らは無関心だ。紛争が想定される南西方面の後輩諸君は気が気でなかろうが、今更間に合いそうになさそうだから、いいことを教えておこう。

20年前、南西方面の指揮にあたっていた私は、法の不備を補う「伝家の宝刀」を持っていたのだ!

それは、福田なにがしという元最高指揮官が示した、ダッカ事件時の≪超法規≫という概念である。我々の最高指揮官が残してくれた≪前例≫は私の宝刀だった。

だから当時の首相から「武器を使うな!」と言明?されたが、それは相手に言うべきだと信じる私は恐れなかった。

次回起きる衝突でも、政府は何ら指示も出さないだろうし責任を取るまい。せいぜい右往左往するのが関の山だ。

来年、そうなった場合が非常に気がかりだが、別の意味では「惰眠から抜け出す絶好の機会」になる事は期待できそうだ。

歴代、軍事を軽視してきたツケが、後輩たちのわずかな損害で終わることを祈りたい。

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