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【"Gゼロの世界"到来】

リーダー不在を意味するG ゼロの名付け親の Ian Bremmer が雑誌TimeにThe Era of American Global Leadership is Over – Here’s What Comes Next (アメリカが世界をリードする時代の終焉~次はこうなる)を寄稿しています。 

トランプの登場により、G ゼロの時代が決定的になったと主張しています。ざっくりこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。同じ趣旨の発言を米公共ラジオでもしています。 http://www.wbur.org/onpoint/2016/12/21/end-of-american-hegemony

2017年1月20日。いつも通り、それは寒い日になるだろう。メラリニア夫人が聖書を持ち、こどもたちが誇らしげに父親を見つめる。新大統領は慎重に宣誓をし、満面の笑顔を見せる。そして 歴史を変える

1945 年以降、一貫して世界のリーダーだったアメリカの役割はトランプ大統領就任で終焉を迎える。

ただし、それはトランプ氏が何かとりわけ失敗するからではない。

■アメリカの圧力を軽く押しのけられる国々の台頭、■大国でなくてもサイバー空間でアメリカに一発パンチを食らわすことができることなどを踏まえると、この瞬間は不可避だったのだ。

アメリカは当面、唯一のスーパーパワーであり続けるだろう。世界の隅々にまで軍事力、経済力、文化的な影響力を見せつけられるのはアメリカのみだ。しかし、トランプ勝利は、不可逆な過去との決別を意味し、世界に波及する。

少なくても次の4年間の アメリカ外交は、アメリカのリーダーシップがアメリカにとって良いかどうかではなく、トランプの取引によるアプローチ( Trump’s transactional approach)で判断されるだろう。

ターニングポイントに達した。トランプは孤立主義者ではないが、間違いなく単独主義者であり、それも身勝手な単独主義者だ。

仮にトランプが、G7なり、G8なり、 G20なりと協調しようとしても、今やリーダー不在の世界への転換 (transition toward a leaderless world) が完了したことは明々白々だ。

私が約6年前に予測したG ゼロの時代は、到来したのだ。トランプの大統領在任期間に何年になろうと、決定的な一線はすでに越えた。トランプがもたらした副産物は、トランプ大統領後も生き続ける。というのは、トランプは、数百万のアメリカ人が自分の考えに賛同することを証明したからだ。

「アメリカ第一」のアプローチは、世界におけるアメリカの役割を根本的に変えることになる。トランプはアメリカが並外れた国(exceptional nation) だということを認めているが、第 2次世界大戦以降のつまずきを繰り返せば、その地位に居続けることができないと主張する。

アメリカの国力は、かつては切り札となるtrump cardだったが、今では不確定要素の wild card となった。スーパーパワーは本来、世界秩序のために安定や、原則となる価値観を提供するものだが、アメリカは国際的な不透明さの最たる要因となってしまった。

以前だったら議会がチェック・アンド・バランスの機能を果たすが、それも期待できない。憲法のもとでアメリカ大統領の外交の権限が大きいというのはもちろんある。加えて、共和党内の若手は、議会指導部ではなくトランプについていくだろう。

トランプは、自らの地位を確固たるものにするため、いじめっこ体質でツイッターを使って復習するだろう。

トランプはまだ大統領に就任していないが、トランプとトランプ的なこと(Trumpism)は世界に混乱を起こしている

ヨーロッパ各国の政府は、トランプのBrexit賛成に不愉快な思いをし、トランプのロシアに対する融和的な姿勢により NATOに代わる安全保障政策を探さなければならなくなっている。米欧関係は1930 年代以来の悪化の事態となっている。

アジアでは、中国に対する強硬姿勢の結果、日本やインドといった伝統的な同盟国との関係は強化されるが、世界経済にとって最重要なアメリカと中国の関係はすでに冷え込んでいる。これは、北朝鮮をめぐる緊急事態 (red-alert-level emergency)が起きた時、アメリカと中国の協調行動を阻害しかねない。

世界的なポピュリズムの台頭で、権力が中央政府から地域に拡散し、国際協調を難しくさせる。人々の怒りはEUや  NATO、国連といった国際組織の力を弱体化させる。テクノロジーの進展のスピードがあまりに速いため、政府の統治機能が弱まっている。データを渇望する企業、ハッカー、政治的な利益団体、それにテロリストといった非政府組織によって多くの重要な決定がなされている。

2017年も多くの出来事が起きるだろう。フランスでは来春、欧州の柱として機能し続けるかどうかがが問われる大統領選挙が行われる。極右のマリ・ルペンがポピュリストの波に乗って勝利を目指すが、そうなれば EUプロジェクトの死を意味する。

秋にはドイツで、西側のリベラル価値観を今や唯一守っているメルケル首相の再任がかかる選挙が行われる。ロシアのハッカーがアメリカの大統領選挙を操作したように、フランスやドイツでも起きるのではないかと両国は懸念している。

2017年、イランでも大統領選挙が行われ、改革派と強硬派の衝突につながりかねない。原油安で窮地に立たされているロシア、サウジアラビア、ベネズエラなどは何らかの策を模索するだろう。

ヨーロッパとトルコの間の非難の応酬は、難民が新たに押し寄せる事態につながりかねない。中国指導部の交代に向けた動きの結果、中国はアジアでも世界でも不確定なプレイヤーとなる。

そして、トランプ大統領は、アメリカを未踏の地に率いていくことになる(President Donald Trump will lead the United States of America into uncharted waters) 。

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