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国にも原発事故責任、無原則な東電救済を許すな

 福島原発事故の対処費用が21.5兆円にも膨れ上がり、その7割は東京電力が負担する絵空事が閣議決定されました。疑問符を付けるしか能がない日本のメディアは、国にも原発事故責任がある事実を忘れたようです。事故後に東電が全ての費用負担をする枠組みが造られて国の責任が隠されました。今回も仕切りをしている経済産業省こそ無能な規制機関だった原子力安全・保安院を抱えていた「原発事故の戦犯」です。既に除染に直接の税金投入が始まり、将来は東電負担分が国民負担に転嫁されるのが必至なのに、「福島原発事故の責任は誰にも取らせない」との原子力ムラの総意が貫徹されている現実をマスメディアは看破すべきです。社会の木鐸として役に立たないこと夥しいと申し上げます。

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 20日に出された東京電力改革・1F問題委員会の《東電改革提言(案)》から引用した資金繰り図です。総額22兆円あって閣議決定の21.5兆円が違うのは、除染に含まれている国負担の中間貯蔵施設費2兆円を1.6兆円に減額、さらに賠償金も7.9兆円に圧縮したからです。《廃炉は東京電力の改革努力で対応し》《賠償は、原発事故への対応に関する制度不備を反省しつつ、託送制度を活用した備え不足分の回収はするものの、託送料金の合理化等を同時に実施し、新電力への安価な電力提供を行う》《除染・中間貯蔵は、東京電力株式の売却益の拡大と国の予算措置によって対応する、ことから、今回の対応を全体で見れば、総じて電力料金の値上げとならない》と苦しい言い訳が付いています。

 東電負担15.9兆円が実現できると真面目に考えている官僚がいるとは思えません。除染の4兆円は政府が買った東電株1兆円を大幅に高く売れると想定したものだし、廃炉の8兆円は東電の事業合理化で生み出す「打ち出の小槌」があるとの説明になっています。出来ないことが目に見えており、将来、国民負担に転嫁されるでしょう。

 9月の第541回「東電破綻を救済なら福島原発事故の責任を明確に」でこう主張した全体状況は変わりません。

 《確かに事故は東電が起こしましたが、安全審査をして運転にゴーサインを出し、日常的にも運転・訓練の監督をしていたのは国です。また、事故後1年で書いた第300回「福島事故責任は誰にあるか、判明事実から究明」で具体的に挙げただけでも、するべきことさえしていれば事故の進展が食い止められる可能性がありました。その後、論点は増えています。誰にも責任を取らせないのが政府から原子力学会まで原子力ムラの総意でしたが、何兆円も新たに国民が持つなら国にも大きな責任があったと認めるべきです。それなら国民も理解するでしょうし、では過失の責任者は誰だったかが当然、問われます》

 ところが、メディアの反応が奇妙です。政府擁護が使命になっている読売新聞は《【社説】原発事故処理費 東電改革の実行力が問われる》で「未曽有の事故を完全に収束させるためには、資金の手当てなどで持続可能な仕組みとすることが何より重要だ」「有識者会議が指摘した改革の方向性は妥当である」と全く問題が無いとする姿勢です。

 朝日新聞は《東電へ3度目救済策 閣議決定》で《数千億円かかると見られる帰還困難区域の除染は「例外」だ。「まちづくり」の名目で復興予算を投じ、汚染者負担の原則を適用せず、東電に負担を求めない。山本公一環境相は20日、「避難された方の強い思いを受け止めての決定だ」と述べた。賠償でも、今回の新電力を巻き込んだ負担発生で、加害者が「無限」に責任を負う大原則は明確に崩れた。原発事故から来年で6年。責任の所在は、あいまいになるばかりだ》と憂うだけです。

 辛うじて毎日新聞が《帰還困難区域 除染に国費300億円投入…来年度予算計上》で《大阪市立大の除本理史(よけもと・まさふみ)教授(環境政策論)は「東電が負担すべき費用を国が肩代わりするのなら、国は原発事故の責任を認め、政策の転換や事故の検証を進めた上でないと理屈が通らない」と指摘する》との識者談話を盛り込んでいます。

 東電がもう負担に耐えられないとギブアップして始まった議論が、形だけさらに大きな負担を負わせて決着する――ジャーナリズムがこんな虚偽虚飾に加担してはいけません。正面から国の政策が行き詰まった点を問い質し、国の福島原発事故責任を明確にするよう求めるのがマスメディアの仕事です。

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