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- 2016年12月21日 07:00
生産性を高めて働く術を知らない日本人、「お客様は神様」マインドも変えるべき?──ダボス会議に参加したグローバルリーダーが議論
3/32020年までに女性管理職率を30%へ
わたしの国、西セネガルの民間企業では女性採用の門がとても狭いです。政府はキャリア志向があって、能力の高い女性を積極的に採用してきました。日本政府には、女性の労働参加を先導するような活動はあるのでしょうか。
男女雇用機会均等法に加えて、今年(2016年)4月には女性活躍推進法が施行され、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主は、女性活躍推進に向けた行動計画を策定・提出し、採用状況などの公表も義務付けられました。UBSの女性管理職割合は23%であり、決して悪い数字ではありません。これを2020年までに30%へ上げることを目標として、広げて行きたいと考えています。日本の301人以上の従業員を抱える大企業は、すべて女性活躍へ向けて取り組んでいるという状況です。

日本政府では、女性のリーダーは何人いるのでしょうか。
大臣25人のうち3人が女性です。今年の夏には東京都に女性である小池都知事が生まれました。20時以降の残業を禁止するなど、都政の内部から文化を変えていこうと頑張っておられますよ。 日本の文化全体に染み込んだジェンダー観とは

では最後の質問をどうぞ。
わたしは、みなさんのおっしゃる日本の「大企業」の重役をしておりますが、たった1人の女性重役です。ですから、世界経済フォーラムが2006年から発表している女性活躍指数には、個人的に高い関心を持っています。日本はこの10年ずっとランキングを下げ続け、最近では145カ国中108位だったと記憶しています。わが社でも、女性活躍のためにあれこれ手を打ってきましたが、あまりにも数字的な側面にフォーカスしすぎているのでは、と疑問があります。
電通の女性の悲しいニュースを考えてみても、100時間超という残業時間ばかりが問題視され、その時間の報酬が100ドルにも満たなかった事実が無視されている。人間の尊厳こそが問題なのです。
日本では、もっと本質的な「感じ方」の変革が必要なのではないかと思います。ワークスタイルやライフスタイルの議論も大切ですが、22歳や23歳の新卒で考え始めるのでは遅すぎる。もっと小学校や幼稚園・保育園のころから、日本が長い間維持してしまっている古い規範を疑うことを教えてもいいのではないでしょうか。
わたしは4歳までロンドンで育ち、帰国しましたが、幼稚園での1日目に、同い歳の男の子が、わたしが遊んでいたおもちゃを奪って「男が先だ!」と言い放ったことに大きなショックを受けました。4歳にしてすでに彼はそういった偏見を刷り込まれていたわけです。彼のせいではない。わたしたちは社会として、もっと早い段階から大きな変化を起こさねばならないのではないでしょうか。
まったくもって賛成です。わたし自身の家庭においても、息子や娘に幼いころからジェンダーバイアスが刷り込まれてしまっていることにショックを受けたことがあります。わたしの夫にしても、彼自身はとてもよくやってくれていますが、それでも「なぜこれをしてくれないのか」と忸怩(じくじ)たる思いをする場面がたくさんあります。
でも、なぜそこでわたしが折れるかといえば、自分の家の中で夫と喧嘩などしたくないからなのですよ。ですから、あなたの心配には全面的に賛成で、これは政治問題でもなく、経営判断の問題でもありません。「男性とは、女性とは」をいかに子どもたちに伝えていくかという、家庭の中や文化に染み込んだ根深いものです。でもこれは、日本だけではないはずなんです。日本のように、女性が外に出たいと言うと嫌な顔をされるような、日本同様の根強いジェンダー差別が過去に存在した国はほかにもあります。それらの国はどうやって変わっていけたのだろうと、わたしはとても興味があるのです。
すばらしい議論をありがとうございました。はじめ、オーディエンスのみなさんは日本がなぜ変わらないのかとの印象をお持ちでしたが、むしろ現在、日本ではみなが声を上げることで変化していると実感できたのではないかと思います。日本の人々が声をあげて語り続け、議論を続けていくことで、日本の職場だけでなく、グローバルな場面で強いインパクトを生むことができるようになると信じています。

文:河崎環/写真:谷川真紀子



