- 2016年12月20日 08:30
【読書感想】棋士の一分 将棋界が変わるには
1/2- 作者: 橋本崇載
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- 発売日: 2016/12/10
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- 作者: 橋本崇載
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内容紹介
スマホ不正疑惑をなぜ未然に防ぐことができなかったのか。将棋ソフト、プロなき運営、見て見ぬふりをしてきた将棋ムラ…「憧れの職業どころか食えない職業になる日も近い」という将棋界の実情を現役棋士が明かす。
藤田伸二さんが、引退前に『騎手の一分』という競馬界の内幕(エージェント制度の弊害や危険な騎乗をする騎手など)を書いた新書を上梓されていました。
今回、このタイトルをみて、「橋本崇載さん、引退するつもりなんだろうか……」と心配になったのですが、それは杞憂だったみたいです。
橋本さんは「コンピュータと人間の棋士の対局が行われたこととその経緯」についての疑問や、三浦弘行さんの「カンニング疑惑」について、かなり率直な意見を書いておられます。
また、旧態依然とした将棋界の上層部や中堅〜下位の「なかなか勝てない棋士たち」の現状や将来もかなり心配しておられるようです。
「将棋界は斜陽産業」
たしかに「ただ強い相手と勝負したい」のであれば、今はコンピュータで十分なわけですし。
この時代に、人間の棋士が、ときには2日間もかけて、勝負をする意義があるのか?
将棋界の七大タイトルは維持されているけれど、それは「スポンサーとの昔からの付き合い」の延長みたいなもので、新聞の売りあげに棋戦の報道がそんなに貢献しているとも思えません。
スポンサー料の減額や一般の棋戦の廃止も続いているそうです。
橋本さんの「プロ入り後の戦績」も紹介されているのですが、トップ棋士のひとりである橋本さんでさえ、年間30〜40局なんですね。
この新書、あの三浦九段の「将棋ソフトによるカンニング疑惑」が持ち上がる前に企画され、ほとんど書き上げられていたそうです。
橋本さんは。三浦さんの疑惑と自身について、こんな風に仰っています。
私個人が、この疑惑の原型について聞いたのは、(2016年の)9月に入ったばかりの頃である。このときは「なんかやっている人がいるらしい」ぐらいで、誰がその対象になっているかはまったく知らなかった。
先に述べたように普段は将棋会館にも出入りせず、他の棋士との交流機会は少ないほうなので、私がその噂を耳にしたのは棋士の中でも決して早いほうではなかっただろう。話を聞いたのは奨励会員の青年からだったが、奨励会員とは要するにプロ棋士のタマゴである。そんなところまで話が伝わっていたことから考えても、八月のうちにはすでに棋士のあいだでこの件をなんらかの形で知っていた人は少なくはないだろう。
私が噂の対象が三浦九段であり、竜王戦のトーナメントから疑惑が起きたということを知ったのは十月に入ってからであり、発表がある一週間ほど前のことで複数の棋士から耳にした。その際にはっきりと、ある対局相手がものすごく怒っていたという話も伝え聞いた。
一流棋士は対戦相手のちょっとした動揺も見逃さない。おそらく当事者からすれば「疑惑」ではなく「確信」に近いものがあったのだろう。
あれは大きな事件ではあったけれど、突然起こったものではなくて、いつか、誰かが「そういうこと」をやるのではないか、という懸念はされていたようです(いちおうお断りしておきますが、僕自身には三浦さんが本当にそんなことをやったかどうかはわからない、としか言いようがありません)。
橋本さんによると、将棋連盟からも2015年10月に「電子機器の取り扱いに関する規約」というのが施行されており、対局中の電子機器の私用禁止や疑いを持たれるような長時間の離席は慎むよう通達されていたのです。
ただ、それはあくまでも強制力を持たない「通達」でしかありませんでした。
ところが、2016年の9月、あの事件の前の棋士会で「対局寺の外出禁止」と「金属探知機の導入」の方針が決められたのです。



