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【読書感想】巨人軍「闇」の深層

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 そして、清原選手への処遇についても、こんな話が紹介されています。
 清原選手が巨人にFAで移籍後、2004年の出来事。

 球団創設70年の記念すべきシーズンはV奪還どころか三位に沈み、球界一の資金力にものを言わせた”史上最強の補強”に批判が集まった。そのしわ寄せは当然、清原にも向けられた。そしてシーズンオフに巨人軍との四年契約の三年目を終えた清原にとって屈辱的な出来事が起こる。
 清原はその時の様子を自著『男道』でこう綴っている。

 ジャイアンツとの契約がまだ1年残っているというのに、ある人から事実上の戦力外通告を受けていた。
「来季の巨人軍に、清原君の居場所はない」
 ある人は、僕にそう言った。
 ある人であって、球団の人ではない。
 それが、読売巨人軍という球団の妙なところだ。
「西武の堤さんが君のことを心配していて、そんな扱いをするなら、清原君を西武に戻してくれと言ってきている」
 そう言われたけれど、聞く気にはなれなかった。
 僕が契約を結んだ相手は、あくまでも球団なのだ。


 この時、清原に戦力外通告を行なったのは、ある巨人軍OBだとされている。彼は球団の人間ではないにもかかわらず、「この話は私が巨人軍から預かっている」と言い張った。しかし、球団側の姑息なやり方に我慢ならなかった清原は、真意を質すために球団本部に乗り込んだ。当然、マスコミは蜂の巣を突いたような大騒ぎで、清原の進退問題を巡る報道はますます過熱して行ったのである。

 ちなみに、この騒動の結末は、「一選手の立場でありながら」球団に直談判した清原選手が、その「越権行為」について謝罪する、というものでした。
 でも、これがその経緯の事実であるならば、そりゃ清原も球団に乗り込むだろう、と僕は思います。
 プロ野球選手だし、結果を出さなければ、クビになることはあるでしょう。
 契約が残っていれば、トレードに出されたり、「干される」場合もあるかもしれません。
 ただ、いずれにしても、球団の人間ではない人に、こんなふうに伝えられるというのは、「それ、本当なの?」って言いたくなりますよね。
 クビならクビで、ちゃんと球団の責任者が「通告」するのがスジのはず。
 なんかよくわからないというか、魑魅魍魎が跋扈する世界だなあ。

 清原にとってドラフトで巨人に裏切られた”トラウマ”は一生消えることはないのだろう。その後、清原と桑田は幾度となく仕事で共演しているが、根っこの部分では決して相容れることはなかった。清原逮捕後に桑田が発した「(清原には)逆転満塁ホームランを打って欲しい」という言葉の空虚さが二人の関係性を物語っていた。
 清原にとっては家族との距離感もまた微妙で、愛情表現も不器用そのものだった。
 野球を始めた小学生の息子と一緒にキャッチボールをしたい気持ちはあっても、どうしていいか分からない。事務所を通じて、キャッチボールのためだけに平日の朝8時半から神宮球場を借りきってもらったこともあったという。その後、成長した二人の息子は清原にとってかけがえのない存在になるが、子育てを妻任せにしていた当時の清原には、愛情は空回りするもどかしい思いもあったに違いない。

 巨人の特徴というのは、さまざまな「偉い人」がいて、汚れ仕事に球団が直接手をくださない、というのがあるみたいなのです。
 それによって、「巨人軍」そのもののイメージをクリーンに保とうとしているのでしょうが、問題に対する追及が曖昧になったり、強引な解釈で組織を守ろうとしたり、ということが起こっています。

 野球協約を含むあらゆる法令に知悉したコンプラ軍団いにとって、”反社会的勢力”という言葉は、非常に使い勝手のいい言葉だ。明確な定義付けが難しいだけに、自らの立場や都合に合わせていかようにでも解釈を変えることができる。
 原監督の一億円恐喝事件では、恐喝犯の旅行経営者を「元暴力団員だが、二十年以上前に足を洗った」として反社会的勢力ではないと庇い、焼鳥屋のトラブルでは過去に暴力団関係者としての登録もない一般人を「新たな反社会的勢力」という定義に当てはめようと必至になる。こうしたことを平然とやってのける図太さが、今の読売グループの強みでもある。

 法律に詳しい人が必要なのはわかりますし、組織を守りたい、という気持ちもわかる。
 しかし、あまりにも巨人は大きすぎ、さまざまな人の利害が入り乱れすぎていて、伏魔殿になっているというのが現状のようです。
 いまの野球界は、「巨人戦だけがテレビ中継」という時代から、地上波での野球中継そのものが減ってしまったことや地道な経営努力が実を結び、巨人一極集中ではなくなってきています。
 パリーグや地方球団の人気が上がってきており、巨人も「人気球団のひとつ」でしかない。
 とはいうものの、「腐っても巨人」でもあるんですよね。
 そして、アンチ巨人である僕が思い込んでいるほど、巨人は「特別」ではないのかもしれません。

 ここまでの裏事情を取材しているのか、と文春の取材力に圧倒される新書です。
 巨人ファンにも、ぜひ読んでみていただきたい。
 どんな暗部を知っても、やめられないのが「ファン」ってものだとは思うけれど。

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