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- 2016年12月13日 20:05
大前研一「講義型から対話型へ。世界で活躍する人材を育てる『考える教育』」
2/2ティーチャーからファシリテーターへ
「考える」教育においては、教師の役割も変わります。デンマークでは“Teach”という言葉を教室で禁じました。答えがあるからTeachするわけで、答えがないときにTeachすることはできません。Teacherという言葉、Teachという概念を否定するところからスタートしたのです。その考え方で言うなら、日本語の「先生」という言葉も適切ではありません。先に生まれたというだけで、教える力があるとは限らないですから。30人の生徒がいるとすれば、30通りの答えがあっていいのです。答えのない問いに対し、それぞれの考え方を理解し、話し合いの中でいかに合意を形成していくか。つまり「講義型ティーチング」から「対話型ファシリテーション」への発想の転換です(図-27)。チームで答えを導き出し、一つに絞って実行する。このような教育が、フィンランド、デンマークを筆頭に北欧に行き渡ったということです。
スウェーデンの改革はなぜ失敗したか
スウェーデンはこの改革をさらに進めて、教育権を地方自治体や個々の私立学校に移しました。ところが、貧しい地方ではこれがうまくいかず、教育の質にも大きな差が生じて、前述のPISAでも大幅に順位を下げてしまいました(図-28の左側)。また、スウェーデンの公立学校は授業料がかからなかったのですが、図-28の右側にあるように、個人の選択の幅を広げるという名目で私立学校を導入しました。この結果、富裕層の子供が都市部のフリースクールを選択するようになり、教育格差が広がってしまった。特に数学などの科目では、親の学歴が低いほど子の学力が低いという相関関係があります。スウェーデンの例からは、改革を進めると同時に国家が最低限の水準を保障することの重要性が分かります。
(次回へ続く)
大前研一さん



