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大前研一「講義型から対話型へ。世界で活躍する人材を育てる『考える教育』」

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ティーチャーからファシリテーターへ

「考える」教育においては、教師の役割も変わります。デンマークでは“Teach”という言葉を教室で禁じました。答えがあるからTeachするわけで、答えがないときにTeachすることはできません。Teacherという言葉、Teachという概念を否定するところからスタートしたのです。その考え方で言うなら、日本語の「先生」という言葉も適切ではありません。先に生まれたというだけで、教える力があるとは限らないですから。

30人の生徒がいるとすれば、30通りの答えがあっていいのです。答えのない問いに対し、それぞれの考え方を理解し、話し合いの中でいかに合意を形成していくか。つまり「講義型ティーチング」から「対話型ファシリテーション」への発想の転換です(図-27)。チームで答えを導き出し、一つに絞って実行する。このような教育が、フィンランド、デンマークを筆頭に北欧に行き渡ったということです。  (2637)

スウェーデンの改革はなぜ失敗したか

スウェーデンはこの改革をさらに進めて、教育権を地方自治体や個々の私立学校に移しました。ところが、貧しい地方ではこれがうまくいかず、教育の質にも大きな差が生じて、前述のPISAでも大幅に順位を下げてしまいました(図-28の左側)。

また、スウェーデンの公立学校は授業料がかからなかったのですが、図-28の右側にあるように、個人の選択の幅を広げるという名目で私立学校を導入しました。この結果、富裕層の子供が都市部のフリースクールを選択するようになり、教育格差が広がってしまった。特に数学などの科目では、親の学歴が低いほど子の学力が低いという相関関係があります。スウェーデンの例からは、改革を進めると同時に国家が最低限の水準を保障することの重要性が分かります。  (2640) (次回へ続く)

大前研一さん
大前研一さん株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。

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