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「お金のために働いたことがない」高須先生に、大学生が「働く目的」について相談してみた #若者シゴト論

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国がすべての国民に無条件でお金を支給し、最低限の生活を保障する「ベーシックインカム」への関心が高まっています。何もしなくてもお金がもらえるとしたら、人は何のために働くのでしょうか。夢や目標を純粋に追いかける? それとも働くこと自体をやめてしまう……?

お金と仕事の関係を通して「働く目的」を考えるため、美容外科・高須クリニック院長の高須克弥先生を囲んで座談会を開催しました。参加してくれたのは、3人の大学生。

高須先生といえば、今年開催されたリオオリンピックで、ナイジェリアのサッカー男子代表に約4,000万円を寄付されるなど、“規格外のお金の使い方をする人”としても知られています。「高須先生は、お金と仕事の関係をどのように考えていますか?」──編集部からの問いかけに対して返ってきたのは、ある“意外な宿題”でした。

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今回座談会に参加してくれた大学生。(左から)光長 裕紀さん(九州大学経済学部3年生)、畑 成美さん(白百合女子大学文学部4年生)、池山 由希子さん(立教大学文学部4年生)

高須先生のご厚意で、ダライ・ラマ法王の講演へ!

座談会当日、3人が集合したのは横浜・みなとみらい駅。実はこの日、近隣のパシフィコ横浜では、来日中のダライ・ラマ法王による講演が予定されていたのです。

高須先生

ダライ・ラマ法王のお話は、今回の「人は何のために働くか?」というテーマに通じる部分があると思うから、座談会の前にぜひ講演を聞いてみて!

これが高須先生からの宿題でした。ダライ・ラマ法王と言えば、世界にその名を知られたチベット仏教の精神的指導者。少し緊張した面持ちで、3人は会場へ入りました。

※ちなみに講演のチケット(決して安くはない)は、取材チームの人数分も含めてすべて高須先生が負担してくださいました……!

会場内は満席で、外国人の方もたくさん。満を持して法王が登壇すると大きな拍手に包まれました。「思いやりのこころ―幸せへの鍵」と題された講演は、「兄弟、姉妹のみなさん」という優しい語りかけから始まります。

ダライ・ラマ法王

人間の本質は慈悲深いもの。思いやりを持つことで自信が生まれ、心が平穏になり、健康に生きられる


ダライ・ラマ法王

怒りの心で人に害を与えると不幸になり、愛や慈悲の心で人に接すると幸せになる


ダライ・ラマ法王

物質志向に走るのではなく、人間が持つ内なる価値観を高めるべき

そんなメッセージが語られました。その後は講演よりも長い時間を割き、長い列を作った来場者からの質問に答える法王の姿がありました。 DSC03714.JPG

終了後は3人で感想を交換。


光長さん

「神々しい……」というのが率直な印象。言葉ではうまく言えないオーラを感じました。


池山さん

私は「兄弟、姉妹のみなさん」という最初の一言が印象的でした。人類はみんな人から生まれ、やがて死んでいく。自分が思っているよりも他人との境界線はないのだと。 以前ドイツに留学していたんですが、現地で「日本人も外国人も本質は同じなんだ!」と感じたことを思い出していました。


畑さん

来場者とも、壇上から気さくにコミュニケーションを取っていましたよね。 法王のお話を聞いて、家族とか友だちとか、身近な人のためにもっと時間を使わなきゃいけないと強く感じています。社会に出たら、仕事にほとんどの時間を割かれるのかもしれないけど……。


光長さん

そういう意味では、「人への思いやりを持てば自分が幸せになれる」というのは、まさに今日のテーマにつながるのかもしれないですね。


池山さん

働く上でも、きっと大切なことですよね。

この後は、高須先生とのご対面です!

仕事は「面白いかどうか」。お金のために働いたことはない

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高須 克弥(たかす・かつや)さん。1945年生まれ。美容外科「高須クリニック」の院長を務める。愛知県に生まれ、東海高校、昭和大学医学部を卒業。同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。「脂肪吸引手術」を日本に紹介し普及させた。江戸時代から続く医師の家系。格闘技K-1のリングドクターとしても活動しており、人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。紺綬褒章を受章。


高須先生

それではみなさん、今日はよろしくお願いします。


畑さん

高須先生、今日はよろしくお願いします! 白百合女子大学4年生の畑成美です。来年の4月から金融業界で働く予定です。 もともと人と話すことが大好きなので、それを接客業で生かしたいと思っています。


池山さん

立教大学4年生の池山由希子です。私は、みんながほぼ就活を終える8月から動き始めて、無事に就職先が決まりました。 「働く女性を支援する」事業を展開している会社で、ビジョンに共感でき、自分は正しいことをしていると思える会社です。


光長さん

九州大学3年生の光長裕紀です。就活はまだまだこれからですが、インターンに参加して、通信関連企業とインターネット関連企業、テレビ局の3社に興味を持ちました。 「人工知能の発達」と「地方の問題解決」に関心があるので、それらに貢献できそうな会社へ進みたいと思っています。


高須先生

みんな、「どの会社に入りたいか」というよりも「どんな仕事をしたいか」で就職先を選んでいるんだね。それはちょっと意外だなあ。 光長さんはまだ就活中ということだけど、希望の会社に入ったからといって人工知能に関われるとは限らないよ。もしかすると全然違う部署に回されるかもしれない。そうやって入社後に嘆いている若者はよくいるよね。


光長さん

仮に最初は違う部門だとしても、そこで絶対に結果を出して希望部署へ行けるようにしたいと思っています。


畑さん

高須先生は、何のために医師になったんですか?


高須先生

ウチは家業が医者で、家族全員が医師。だから、物心ついた頃からそれを目指すのが当たり前だと思っていたよ。と言うか、義務づけられていた。江戸時代から続く家業だからね。 医者をやりながら幕末の志士に資金援助をしたり、小説を書いたりしていたご先祖もいたんだよ。


畑さん

えぇ……すごい!

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高須先生

僕の場合は、本当は漫画家になりたくて絵ばかり描いていたんだけど、親から「そんなことやっていないで医師免許を取れ」と言われて全部燃やされちゃった。 もし医者の家に生まれなかったら、僕は漫画家か、もしくは今より素敵な事業を起こしていたかもしれないな。みんなが僕の会社に入りたいと思ってくれていたかもしれない。


池山さん

医師免許を取ってからは、働く目的ができましたか?


高須先生

何のために働くかというのは考えたことがないなぁ。「面白いかどうか」だよ。食べていくことに困っているわけじゃないから、お金のために働いたこともない。

「頑張ったら給料が上がる」システムがいちばん


光長さん

失礼ですが、高須先生はかつて100億円以上の借金を抱えたこともあるんですよね……? そのときも、仕事はお金のためではなかったんですか?


高須先生

そうだね。だって簡単に返せるんだもん。 その当時はバブル期で、お金を借りて土地を買えばどんどん値上がりして儲かったんだよ。僕とはケタ違いで、みんな数千億の単位で借りていたんだから、100億円なんてしょぼい話。あの頃は学生さんでも土地成金になる人がいっぱいいたよ。 みんなはお金のために働こうとしてるの?


光長さん

……すごい。お話がケタ違い過ぎます(笑)。 僕は、お金は「自分が出した成果に対する評価」だと思うので、大切だとは感じます。家庭を持つまでには両親に学費を返済したいし、家族を不安にさせないように貯蓄もしたいです。


畑さん

私も、お客さまや会社に貢献した分だけ、満足できる給与がほしいとは思いますね。 金融業界だと資格取得や経済の勉強を常にしていかなければいけないので、それを通じて収入も増やしていきたいです。


池山さん

今の時点ではお金がないと生きられないので、やっぱり稼ぐ必要があると思います。 私は大学の聖歌隊に所属し、留学先のドイツでも歌っていました。本当は歌い手を目指していたんですが、大学卒業後に再び音大に行くにはお金が必要で、難しかったんです。それで就職することにしましたが、できることなら歌で人を喜ばせることを続けていきたいとも思っています。


高須先生

ウチで働いている先生の中に、池山さんと近い考えの人がいるよ。 とても腕のいい人なんだけど、アルバイトとして年に何回か、短期間にまとめて稼いでいくだけ。普段はドイツでピアニストをやっているんだけど、給料が安いから、お金がほしくなるとウチに来て稼いでいくんだよね。それでまたドイツに戻っていく。


池山さん

いいなぁ……!

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高須先生

僕も今は好きなことばかりやってるよ。 医者としては週に2回だけ勤務。他の日は介護施設で回診して、それでも時間にはゆとりがあるから、番組で藤田さん(サイバーエージェント社長の藤田晋さん)や堀江(貴文)さんと麻雀をして、負けた堀江さんが坊主頭にしたこともある(笑)。そういうことが楽しいんだから。


畑さん

高須先生は経営者なので、給料を払う側ですよね? 払う側からすると、給料ってどんな存在なんですか?


高須先生

お金は、人が生きていくための血液だよね。みんな僕のところに血を吸いに来ているわけ。高須クリニックの給料は明確で、基本給プラス売上に応じた歩合で収入が決まる。働けば給料はうなぎ昇りだけど、成果を出せなければ基本給まで落ちる。 世の中の多くの経営者は「若いうちは基本給を少なくして、年を取ったらゆるゆると上げていこう」と考えているけど、これは間違っているね。頑張った人にどんどん還元するのがいいよ。頑張ったら上がるというシステムがいちばんいい。 でも、会社を存続させる以上、従業員は血を吸い取りすぎちゃダメだとも思う。吸い取った分だけ、しっかり栄養、つまり売上を返しに来ないといけない。


光長さん

本当に夢のような世界だったら、働かずに明日にでも1億円が降ってくればいいんですけど。 でもみんなに1億円が降ってくると一気にインフレが起き、社会がおかしくなってしまうので、会社と個人の関係は先生のおっしゃるように「結果を出した人にお金が返ってくる」べきだと思います。


高須先生

みんなにお金が降ってくるなんて無理だよ。宝くじだってそうじゃない(笑)。

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