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自衛隊体験入隊中高生 毎年5000人超/高校の4割で説明会

 全国の高校の約4割で自衛隊勧誘の説明会が開かれ、自衛隊の体験入隊に参加した中学生・高校生は過去4年間で毎年5000人超にのぼっていたことが分かりました。防衛省が本紙の取材に回答しました。安保法制=戦争法の具体化により任務と危険が拡大する自衛隊。志願者数が減る中、教育現場では自衛隊による中高生への勧誘の動きが強まっています。その実態は―。(吉本博美)

 「危険なことはない」「いつでも辞められる」「運転免許がタダで取れる」「大学にも通学できる」―。青森県のとある高校。生徒たちにふりそそがれる自衛隊のリクルーター(地方協力本部の募集担当者)の言葉に、現役の男性教員(54)は「彼らは甘言をうのみにしてしまう」と危機感を抱きます。

 高校の就職の取り決めでは、企業の学校訪問の解禁は7月1日ですが、リクルーターは4月から盛んに学校を訪問します。校長や進路指導部長などとの接触をはじめ、生徒向けに「採用試験対策講座」と称して毎週勉強会を開くことも。

 青森県は人口10万人あたりの入隊者数が全国1位(2015年度789人)。「農業以外に地場産業がなく、県民所得も少ない。大学進学はハードルが高い。安定的に収入がある自衛官は、地元ではいわば“憧れの職業”です」。男性教員の高校では、男子生徒の約5人に1人が自衛隊に入隊しているといいます。

 11月20日、青森空港から青森市の陸上自衛隊第9師団を中心とするPKO(国連平和維持活動)部隊が南スーダンに出発しました。「母子家庭で育った教え子が部隊の中にいます」。男性教員の知人の、ある中学校教師は話しました。

 当時中学生だった教え子の夢は「体育教師」。しかし金銭的な事情で大学進学をあきらめ、自衛隊に入隊しました。母親は、「あの時、借金をしてでも進学させてあげれば」と、声を詰まらせていたといいます。

 男性教員の高校では1、2年生の自衛隊希望者は極端に減少しました。しかし、強い懸念は払しょくできません。

 「南スーダンで隊員が犠牲になれば、希望者はさらに少なくなる。そうなれば、アメリカのように大学奨学金などの手段を使って隊員を募集することになるでしょう。貧しい家庭で育った若者が海外の紛争地域でたたかう。そうした現実が目の前にきているのではないでしょうか」

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