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合氣道をなぜ世界のアスリートが学ぶのか

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【三宅】ところで、合氣道の「氣」という字は、メではなく、米が使われています。これにはやはり、何か理由があるのでしょうか。

【藤平】漢字の成り立ちには諸説ありますが、「米」の字は「八方に広がる」という意味で用いています。「メ」の字は〆(しめ)るとも読めます。氣はしめたり滞ったりするものではなく、四方八方に交流するものですから、「氣」の字を使っています。

【三宅】先生は若くして道を継承されました。先代は、巨人軍の黄金時代を築いた広岡達朗さんや王貞治さん、長嶋茂雄さんなど超一流のプロ野球選手も教えていたと伺っています。それほど偉大な父親から後を任されるというのは、どのような気持ちでしたか。責任とともに葛藤のようなものはあったのでしょうか。

【藤平】藤平光一の内弟子になってからは師弟関係ですので「父」と呼ぶことはありませんでしたが、私は父が53歳のときの子です。生きている時代が半世紀も違います。当然、父の若い頃がどうであったかは知る由もありません。ただ、私が物心ついた時分には、道場で弟子に教えることは自らが日常生活で実践していました。

いまでもよく覚えていますが、私がいたずらをした際にも、頭ごなしに「ダメだ!」と言うのではなく、とても穏やかな表情で、なぜやったのか、どんな思いでやったのか、よく確認した上で、やさしく「それはいけないことだよ」と丁寧に諭してくれました。ですから、心に染み入るわけです。

そんな環境の中で育ちましたから、父に対して抵抗はなかったのですが、そこはかとない不安はありました。武道の世界は実力社会で完全な縦社会ですから、本当に私が継承者として責務を果たせるかどうかはわかりませんでした。「何を継承するか」を正しく理解してからは、葛藤は払拭されました。

心身統一合氣道を学ぶ生徒さんにも、事業を継承する二代目・三代目の方がいらして、その悩みをお聞きすることもあります。そこでわかったのは、継承がうまくいかない最大の原因は、そもそも「何を継承するか」がわかっていないからです。事業継承であれば、ただ会社組織を継承するのではなく、先代の「志」であるとか「理念」を受け継いでいくことです。

なぜ世界のアスリートから注目されるのか


【三宅】心身統一合氣道を学ぶのは、メジャーリーグや日本のプロ野球選手ばかりでなく、女子ソフトボールの日本代表メンバー、Jリーガー、格闘家といったように、いくつもの分野のアスリートがいます。さらに、芸能界の方やミュージシャンもおられます。

しかも、日本人だけでなく、外国人も少なくない。その際には英語での指導になるのでしょうが、先生は昔から英語は得意で、大学入試のセンター試験は満点だったとお聞きしています。TOEICのテストでも素晴らしいスコアをお持ちです。私も出席させていただいた藤平光一先生のお別れ会では海外からたくさんの関係者、お弟子さんが何百人も来ておられて、そこで英語で素晴らしいスピーチをされましたね。

【藤平】とんでもありません。

【三宅】英語は得意で、中学・高校としっかり勉強していたのですね。

【藤平】いえ、必ずしもそうではありませんでした。

いわゆる学校のテストではいい点を取っていましたが、実際に使う場面はほとんどないわけです。街で外国人に道を聞かれても、何も答えられませんでした。英語が得意という感覚は全くありませんでした。

【三宅】それが典型的な日本人の英語力。

【藤平】まさにそのど真ん中にいたと思います。

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『対談! 日本の英語教育が変わる日』三宅義和著 プレジデント社

【三宅】それが現在では、堂々と英語で指導を続けておられます。そこまで英語力を伸ばした勉強法について教えていただけますでしょうか。

【藤平】海外で指導する立場になって、やはり英語を話せないと本当のところは伝わらないとわかり、先代の元に通っておられたご縁で三宅社長に英語の学習方法をご相談しました。

もう20年も前になるでしょうか。そのときに三宅社長に言われた言葉が衝撃的でした。「最初に申し上げておきますが、英会話学校に来るから英語ができるようになるのではありません。きちんと正しい訓練法を学んで、訓練をするから話せるようになるのです」と。特に最初に教えていただいた「自分が正しく発することができる音は聞き取ることができる」、この教えが深く印象に残っています。

そこで、まずは正しく発音できるように、中学生向けの教材を、しっかり音読することにしました。それを正しく発音できているかどうか、イーオンのレッスンでネイティブの先生方にチェックしていただきました。それから1年くらいはひたすら音読を続けました。

【三宅】お忙しいのに、寝る間を惜しんで音読だけはやっていらっしゃったと聞いています。

【藤平】必要に迫られていましたので、その期間は一生懸命やりました。毎日1時間は音読するのですが、なかなかその時間が取れない。苦肉の策で移動の電車でもブツブツ言っていたので、車掌さんから「あなた、大丈夫ですか」と声を掛けられたことを覚えています(笑)。

【三宅】もちろん、日々のトレーニングが重要であることは言うまでもありません。そのうえ藤平先生は、基礎にある単語力とか文法力が非常にしっかりしていた。これは日本人の英語学習者が絶対に覚えておいたほうがいいことで、何事においても基礎が非常に重要であるということです。

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