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小池知事対自民党都連の闘いー「政党復活予算」廃止の本質

 自民党東京都連は、東京都知事選挙で小池百合子候補(当時)を応援した7人の区議、いわゆる「7人の侍」を除名処分とすることとしたと報じられている。都連の方針に反したのであるから、手続的に杓子定規に考えれば除名処分というのは間違いではないのだろう。しかし、小池氏は離党もせず除名にもならず、また彼ら7区議は衆院補選では自民党公認候補の応援をきっちりやっている。更に、小池知事とは、微妙と形容したほうがいいような緊張関係が続いている。そうした事情を踏まえれば、除名ではなく、実質的には意味のない厳重注意のような処分で幕引きを図るといった方法もあったように思うが、これでは除名された区議らに自民党都連に敵対する勢力を作ってくださいと言っているようなものだ。

 それが巷で噂の絶えない「小池新党」の結党につながり、都連の一部がそちらに流れ、来年の都議選で大敗といったようなことになれば、まさに藪蛇としか言いようがないだろう。

 さて、自民党都連と言えば、11月25日の記者会見で小池知事が表明した「政党復活予算」の廃止について、寝耳に水と猛反発していると伝えられている。(実際、同日付で都連幹事長名の抗議文を小池知事宛に発出している。)この「政党復活予算」、都予算の原案作成段階の査定で落とされた予算を、政党の要求を受けて復活させるというもので、利権の温床だとか既得権益だとかいった批判が、廃止報道後強くなっている。そしてその利権を特に握っているのが他でもない自民党都連であるとされ、新たな批判の種となり、小池知事対自民党都連の新たな対立軸となっているとされているようだ。

 では、この「政党復活予算」、実際のところどのようなものなのかと言えば、結論から言えば、200億円という枠も中身も毎年決まっている出来レースのセレモニーであるようだ。要するに、最初から予算が措置されることが決まっていて、査定も通った事項を、あえてカタチだけ落として、政党のカタチだけの要求によって復活させるという、儀式の場が作られ、続いてきたということのようである。

 つまり、この「政党復活予算」が廃止されても、カタチだけ落として元に戻すという過程がなくなって落とさず予算案に残すことになるだけなので、実質的には何も変わらないということになる。

 そして、この「政党復活予算」、さも自民党の利権のように言われているが、自民党のみならず各政党も復活要求を提出しているようで、だからこそ政党復活と言われているようだ。ただし、実際には一義的には自民党支援団体の枠となっているようで、他党が提出しても認められないようなのだが、認められない、自民党だけと言っても、自民党以外の政党も反対しない予算枠・内容であるので、その意味では政党復活と言ってもいいようである。(見方を変えれば、そうなるよう各党間の調整を自民党がやってくれていた、と考えることが出来るかもしれない。)

 要はそうすることで、自民党も他の政党も、要望や陳情を出してきた団体や地元選挙区の意向が予算に反映されたと見せることができるというもので、実質的な意味はその程度である。

 もちろん、セレモニーであっても、「(査定で落とされてしまいましたが)私が頑張って予算化させます。」と大見得を切っておいて、出来レースではあっても「(私が頑張ったので)予算が復活しました。」と言うことができれば、地元支持者や支援団体は「先生おかげです!」となって、支援団体や地元への絶好のアピールの機会になることは間違いないのではあるが。(したがって、来年に都議選を控えて、見せ場を失うと慌てた議員は少数ながらいたようであるが。)

 この「政党復活予算」の廃止、いまだに小池知事対自民党都連の対立の火種になるといった趣旨の報道があるようだが、小池知事の会見や都議会での所信表明を聞けば、小池知事は「政党復活予算」の廃止を殊更に大きく取り上げてはいない。サラッと言及しているだけである。つまるところ、小池知事としてもそれほど大事とは位置付けず、単にあまり意味のないセレモニーに時間や労力を使うのは止めましょうといった程度の認識なのではないだろうか。

 加えて言えば、「政党復活予算」の廃止は予算の無駄の排除とは直接的な関係はないと言ってしまっていいだろう。そもそも枠が200億円で、仮にこれを無駄と考えても、都の全体の予算額13兆円強(特別会計込み)からすればそれほど大きくはない。しかも、私学助成や軽微の公共事業といったものに使用されており、全く不要な予算というわけでもないようである。(もちろん、細かく調べていけば数十万〜数百万程度の無駄は見つかるかもしれないが。)

 都の予算編成過程は、今後透明性の高いものへと改められることとされており、公開の場で政党や各種団体からの要望を知事が直接ヒアリングする方向性が示されている。これは小池知事の東京大改革の柱の一つである徹底した情報公開の一環ということであるが、「政党復活予算」の廃止云々よりも、この全体としての予算編成過程の改革にこそ注目すべきであるように思う。(なお、自民党都連は公開するのであれば、マスメディアだけではなく、インターネット中継により広く都民にも公開すべきであると提言している。)

 まさにそこが小池都政の腕の見せどころ、ということであろう。

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