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  • ヒロ
  • 2016年12月05日 10:00

どう見る、型破りのトランプ政権

最近、会う人々から時折、「為替はどうなりますか?」とか「株はどうでしょう?」という質問を受けることがあるのですが、私は決まって「わかりません」と答えています。私も長年市場と向かい合ってきていますので事実やデータに嗅覚を組み合わせるとベクトルぐらいは見えてくるのですが、トランプ政権がもたらす常識破壊力はあまりにも大きく、市場が読みにくいというのが本音であります。

では「なぜ、おまえは北米で株を相当買い込んだのだ?」と聞かれるかと思います。このブログをずっとお読みの方は記憶にあると思いますが、トランプ氏が選挙に勝ってから会社の資金運用の一環として今までの投資残に対して2倍規模ほど新規に資金を市場に突っ込みましたので辻褄が合わないではないか、と思われるでしょう。(2倍といってももともとが知れていますが)

実は私が買った多くはREITか高配当が期待できるインフラ関連、しかも資金の7割以上はカナダの市場向けです。アメリカ向けは3割ぐらいです。余談ですが、カナダの企業には毎月配当の会社が結構存在します。年利回りは6-8%にも及びます。その多くはパイプラインなどインフラの会社ですので株価の動きは鈍いものです。(大半が値動きの荒さを示すBETA値が1.0以下です。)この判断に及んだのはトランプ政権によるカナダの景気の底打ちを読み込んだからであります。

アメリカについては週末にサプライズが2つありました。一つは台湾の蔡英文総統との電話会談。もう一つは「大統領戦略・政策フォーラム」の設置であります。

まず、台湾の総統との電話会談はトランプ氏がまだ大統領に就任していないものの、形の上では1979年以来であります。79年はアメリカが中国と外交を樹立した年であり、これでもってアメリカが台湾を認識することができなくなったためにオフィシャルな交流がなくなっていたものです。この電話会談の意味が2つの中国を認めるのか、単なる祝福なのか、あるいは、別の意図があるのか、この辺りの背景は今一つ明白ではありません。たかが10分の電話で何が変わるのか、と言われれば何もない気もします。しかし、トランプ氏は明らかに既成事実や常識を覆すタイプであることを改めて認識させました。

もう一つ、トランプ氏の手早い対応のなかで注目する点としては敵を作らない配慮をしていることであります。オバマ大統領は好き嫌いがはっきりしている人です。個人的にはキャパが小さいところも感じていました。トランプ氏はその器が今のところ大きく見えます。

閣僚に決まった人たちの中には選挙期間中、真っ向から反対していた人たちが何人か含まれますが、閣僚に決まった途端、手のひらを反すようにニコニコしたシーンを何度か見かけました。選挙期間中の暴言も今は完全に封じるなど選挙ゲームのプレーヤーからシリアスな支配者へと変貌しつつあります。

彼が演じるこの2つの顔の使い分けを見落とすと選挙期間中のトランプ氏のイメージのまま引きずり判断を見誤るかと思います。言い過ぎかもしれませんが、選挙期間中のトランプ氏はブロードウェイのステージに立つ2016年最大の注目作品の主演者のようなものでしょう。ステージから降りて執務室に入ったトランプ氏はビジネスで歩んできたあの顔だと思います。

「大統領戦略・政策フォーラム」については経済の諮問機関のようなものだと認識していますが、私がびっくりしたのはメンバーが凄すぎるということでしょうか?議長にブラックストーンのシュワルツマン会長、メンバーにGM,GE,ディズニー、ボーイング、ウォールマート、JPモルガンチェースのトップらの名前が見えます。この名前をみてパッと気が付くことはIT系が干されており、重厚長大系のオールドスタイル重視型である点でしょうか?アメリカ東部の力学が強く反映されているといってもよいでしょう。

私がカナダの底打ちとみたのはそのあたりにもあります。同じNAFTAでもメキシコは新興国グループとして厳しさがありますが、カナダはアメリカ東部のメリットを受けやすい国なのであります。また、トルドー首相が先週、打ち出したアルバータからBCへの懸案のパイプライン建設承認は一部で大きな波紋を呼んでいますが、政策としてトランプ型スタイルに近いものだとみています。また、カナダからメキシコ湾につながるキーストーンパイプラインがトランプ大統領就任直後に承認される可能性も高く、この辺りが目先のアメリカ、カナダ経済への影響だろうとみています。

読みずらいトランプ政権ですが、中国とはそれなりにやっていくとみています。就任後のサプライズ外交としては早々にプーチン大統領と会う気がします。また、北朝鮮の金正恩氏との打開策に関して思わぬ策を出してくる気がしています。何度も繰り返しますが、彼はビジネスの人です。ビジネスにならなくなるような敵は作らないのが原則だと思っています。

トランプ氏が自分の会社のトップであった時には彼と彼の会社のことを第一義に考えていました。今、「アメリカ ファースト」といった言葉がもてはやされていますが、彼が大統領につけばアメリカ国民をあたかも自分の会社の従業員のごとく大事にしたいと思う気持ちを持つのは当然です。給与をもっと上げたい、将来が明るいものにしたいと思うでしょう。この単純なポイントにフォーカスすれば彼のベクトルは当面は外していないと思います。

どんな国家元首でも賞味期限というのがあります。おおむね就任してから半年程度はそこそこの支持率を得られるものです。その後はその方の資質によって変わりますが、下がるケースも往々にして見られます。トランプ氏の場合は逆で初めが低いため、時間をかけて理解を深めていく形になれば賞味期限は思った以上に長いものになるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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