- 2016年12月03日 01:18
米11月雇用統計、失業率は金融危機前の水準へ低下もトランプ新政権に課題残す
2/2イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。
1)不完全失業率 採点-○
今回は9.3%と前月の9.5%から改善し、2008年4月以来の低水準だった。不完全失業者数は前月比3.7%減の566.9万人と3ヵ月連続で減少した。
2)長期失業者 採点-○
失業期間が6ヵ月以上の割合は全体のうち24.8%と、前月の25.2%を下回り2009年3月以来で最低を更新した。平均失業期間は26.3週と、前月の27.2週から短縮し2015年9月以来の水準へ短縮。6ヵ月以上の失業者数は前月比6.2%減の185.6万人と、減少に反転し直近で最低を更新した。
3)賃金 採点-×
今回は前月比0.1%低下しただけでなく、前年比は2.5%の上昇にとどまり2009年6月以来の力強い伸びを記録した前月の2.8%を下回った。週当たりの平均賃金は、前年同月比2.2%上昇の890.62ドル(約10万1,500円)と、9月の2.5%以下に。生産労働者・非管理職の平均時給は前月比わずかに上昇の21.73ドル(約2,480円)円で、前年比は2.3%の上昇と10月の2.4%だけでなく管理職を含めたヘッドラインには届かず。週当たりの平均賃金は10月と変わらず前年同月比2.1%上昇となり、730.13ドル(約8万3,200円)だった。管理職を含めた全体の伸びは、10月の流れを引き継ぎ非管理職・生産労働者の賃金を上回った格好だ。
平均時給、再び生産・非管理職の労働者が管理職を含めた全体を下回る。
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(作成:My Big Apple NY)
4)労働参加率 採点-×
今回は62.7%となり、10月の62.7%から低下。1977年9月以来の低水準だった2015年9〜10月の62.4%を上回った水準を継続しつつ、金融危機以前の水準である66%台は遠い。 軍人を除く労働人口は微増の1億5,949万人と、若干の反発。非労働人口は0.5%増の9,506万人と2ヵ月連続で増加。労働参加率が低下したように、労働市場へ回帰する流れが一服した。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、Fed番のデビッド・ハリソン記者の署名による「高圧経済を示す雇用統計で、利上げが確実に( ‘High Pressure’ Jobs Report Locks In Rate Increase)」と題した記事を配信。12月13〜14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ほぼ間違いなく利上げを決断する予想した。ただ不完全失業率は依然として高止まりし、労働参加率は低下し特に25〜54歳の間で前月の81.6%から81.4%へ低下したため、労働市場には依然として余剰があるとも付け加えている。
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン主席エコノミストは、結果を受け「失業率は劇的に改善したようにみえるが、四捨五入前出は10月の4.876%から4.640%の低下とそこまで大きいとは言えない」との考えを寄せた。また就労者が16万人増加した点を評価しつつ、「労働市場から退出した数は22.6万人に及び失業率の低下を促した」とも指摘。平均時給も「足元のレンジ下限にとどまる」と辛口の見方を示し、労働市場に改善の余地があるとの認識をにじませた。12月利上げをめぐっては、利上げを行う予想を維持した。
——米11月雇用統計では、悩ましい結果でした。12月利上げの可能性をグンと高めたとはいえ、賃金は鈍化し労働参加率も下振れ。失業率がせっかく金融危機前の水準を記録しても、手放しで喜べません。米債利回りは上昇せず、ドル高も一服状態。米7〜9月期国内総生産(GDP)改定値こそ高成長期待を煽りましたが、中身をひも解けば大豆輸出の急増という一時的要因が立役者でした。アトランタ地区連銀による米10〜12月期GDP予測値も一時期の3.6%超から2.9%増まで下方修正されたとはいえ、2期連続で力強い成長を遂げる期待が膨らむものの、トランプ新政権の政策実行制は未知数。余程有効な策を投じない限り、この方が仰ったような3〜4%成長を持続的に達成するのは容易ではないでしょう。トランプ次期大統領は米空調大手キャリアのメキシコ移転を阻止した荒業をみせたものの、同じ手口がいつまでも通用するとは限りませんしね。
- My Big Apple NY
- ウォールストリート発のアメリカ情報サイト



