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カジノ立国が最後の知恵とは

 「カジノ解禁法案」が、今日にも衆議院の委員会で可決される見通しということだ。同日に発表された税収の見通しでは、今年度は7年ぶりに前年割れして減収になっている。無理やり歳出を拡大してきたアベノミクスの失敗が鮮明になった。インフレ目標はどこへやら、庶民はひたすら支出を削って生活を維持している。そんな中でカジノを含む「統合型リゾート」の整備を促すというのだ。会期を延長しても通したかった目玉法案の一つと位置づけているらしい。

 カジノは合法的な賭博場だが、周知のように賭博には何の生産性もない。賭けに参加した客が全体としては損をして、その差額が胴元つまり施設の利益になり、賭けに勝った一部の客が一時的に得をしたような気分になるだけの場所である。構造としては宝くじを買うのと同じだが、客の意思でどこまでも深入りできるところが違っている。かなりしっかりした人でも、「次は勝てる」という天啓のようなひらめきを感じたりして、深みにはまってしまうことがあるようだ。

 日本の法律では賭博を一律に禁止している。しかし実際には、花札でもトランプカードでもマージャンでも、あるいはスポーツの勝敗でも、私的な賭け事は絶無とは言えない。それでも公的な禁止の原則があるからこそ、ひそかな楽しみの範囲に納まっているのではなかろうか。勤労によらない偶然だけに頼る収入が「本業」になってしまったら、人の人生は遅かれ早かれ破滅する。公営の競馬、競輪などもあって一定の枠ははめているのだが、それでもギャンブルで破産する低所得者は絶えない。

 カジノはイタリアが発祥で、17世紀から始まったとされている。紳士の楽しみであって、今でも客にネクタイ着用を義務づけたりする店があるそうだ。生活の資金とは関係なく、余裕のある資金で遊ぶのが本来の姿なのだろう。観光客や、日本人でも「金あまり遊び」をしてみたい人たちが集まって金を落してくれるなら結構で、観光開発に役立つという発想でこの「カジノ解禁法」は出てきたに違いない。富裕層から税金を取る代わりになると思えなくもないが、それは甘い考えだろう。頭のいい金持ちは、カジノで納税しようなどと考えるわけがない。

 この記事を見たとき、安倍政治もいよいよ落ちるところまで落ちたかという感想があった。いろいろな手を使ってみたがデフレ傾向は止まらない。先進国の中で、ひとり日本だけが10年以上も経済成長していない。最後に思いついたのがカジノの解禁だったとは。この国まるごとを博打に出す気になったらしい。

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