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トランプ金持ち政権、4閣僚の総資産9200億円 ポピュリズム的発言とは裏腹

By REBECCA BALLHAUS

 ドナルド・トランプ次期米大統領は、当選するまではポピュリズム(大衆迎合主義)的な選挙活動を展開していた。しかし、これまでに閣僚など政権ポストに指名した人たちは裕福な人々で、次期政権チームは最近の記憶の中で最も金持ちの集団になりそうだ。

 トランプ氏はここ数週間で、3人のビリオネア(資産10億ドル単位の長者)を政権の主要閣僚ポストに据え、少なくとも2人のミリオネア(資産100万ドル単位の長者)を閣僚に指名している。

 同氏は、自分のようにビジネス界で成功した人々を高く評価しているとしばしば述べており、それらのスキルを政府で生かせる人を起用したいと話してきた。

 トランプ氏は11月30日、次期商務長官にプライベート・エクイティ会社の会長を務めるウィルバー・ロス氏を指名したことを確認した。経済誌フォーブスによると、12月1日時点のロス氏の総資産額は推計25億ドル(約2900億円)に上る。

 トランプ氏はまた、トッド・リケッツ氏を次期商務副長官に指名した。リケッツ一族はプロ野球チーム「シカゴ・カブス」のオーナーで、フォーブスによれば、同氏の総資産額は約17億ドル。

 次期財務長官には、金融大手ゴールドマン・サックス・グループの元パートナーで、何億ドルもの資産を持つスティーブン・ムニューチン氏が指名された。教育長官には、ミシガン州の慈善家で、一族の資産額が51億ドルに上るベッツィ・デボス氏が指名された。

 トランプ氏が財務、商務、教育及び運輸の4つの閣僚ポストに指名した人たちの総資産額は、合計で少なくとも81億ドルに上る。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がフォーブスの推計資産額と資産開示報告(FDF)を分析してインフレ調整したところによると、これは、オバマ大統領が2013年にこれらの4ポストに指名した人々の総資産額の4倍以上。ブッシュ前大統領が2期目に指名した人々の総資産額のなんと約20倍に上る。WSJが分析した総資産額には、拡大家族(核家族のほか親などを含む)の資産も含まれる。

 トランプ氏の政権移行チームの広報を担当するジェーソン・ミラー氏は、トランプ氏の人選が「勝者の内閣」だと述べ、彼ら(勝ち組連中)は自らの経歴を通じて、米国の中間層のために経済をいかに改善するかで洞察力をもたらすだろうと語った。

 トランプ氏の閣僚らの人選について、共和党内では称賛する議員も少なくない。次期閣僚たちはこれまでの民間での経験によって、主要な政策課題に新たな視点からのアプローチをとることもできるだろう、とこれら議員は述べている。例えば上院財政委員会の委員長を務めるオリン・ハッチ上院議員(共和、ユタ州)は、「上下両院は時代遅れの米国の税法を改正し、経済環境をもっと健全にするよう努力している」が、「民間での実績のあるムニューチン氏は(この取り組みのなかで)重要な役割を担えるだろう」と述べている。

 それでも、トランプ氏の次期政権における「富の集中」は、選挙活動中の同氏の言動とはやはり対照的だ。同氏は選挙活動中、ポピュリスト的なトーンを打ち出していた。同氏はヘッジファンドの運営者たちが「殺人を犯しても無罪放免にされるほど(好き勝手)」で、税法の抜け穴を利用しまくっていると非難していた。また、「金融界のエリート連中」をののしっていた。彼らエリート連中が政治家に献金して八百長システムを強化しており、それによって「わが国の何百万人もの労働者に貧困と悲嘆の苦しみのみを残した」と攻撃していたのだ。

 彼のこうしたレトリックは、年収5万―9万9000ドルの世帯層から支持票を集めるのに役立った。この所得層のトランプ氏の支持率は50%と、民主党候補だったヒラリー・クリントン氏の支持率46%をかなり上回った。3万―5万ドルの世帯層の支持率は、クリントン氏支持率に9ポイント及ばなかったが、この差はオバマ大統領が共和党候補のミット・ロムニー氏と戦った12年当時につけた差(15ポイント)から大幅に縮小している。

 ただ、金持ちの企業幹部を政権内のポストに指名するのは、珍しいことではない。オバマ氏は13年、ペニー・プリツカー氏を商務長官に指名した。フォーブスによれば、ホテル創業者の相続人(めいに当たる)のプリツカー氏は当時、18億5000万ドルの資産を有していた。ジョージ・W・ブッシュ氏は06年、資産家のヘンリー・ポールソン氏を財務長官に指名した。同氏はゴールドマン・サックスの元最高経営責任者(CEO)で、FDFによると、保有資産は1億9000万―3億9200万ドルだった。

 しかし、閣内にこれほどのミリオネアやビリオネアが集まることはまれだ。オバマ氏はプリツカー氏を指名したが、運輸長官にはアンソニー・フォックス氏を起用した。フォックス氏のFDFによれば、13年当時の同氏の資産額は、せいぜい17万5000ドルだった。

 トランプ氏から財務長官に指名されたムニューチン氏はヘッジファンドの創業者。ホワイトハウスの特別顧問(首席戦略官・上級顧問)に起用されたスティーブン・バノン氏と同様、ゴールドマン・サックスに在籍していた。

 前出のトランプ氏広報のミラー氏は、ムニューチン氏も商務長官に指名されたロス氏も、トランプ氏が「経済面でのポピュリスト的メッセージ」を考案する際に手助けしたと述べ、今度はこれを実行する際に手助けするだろうと語った。ミラー氏は、この金持ち2人について「両氏以上に(経済政策を)理解している人はいない。税法がどう機能しているか、貿易政策がどう機能しているか、そして米国人労働者が近年いかに不公正に扱われてきたか。両氏以上に理解している人はいないのだ」と述べた。

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