記事

「糖質オフビール」「ダイエット飲料」に潜む落とし穴とは?

目の前にある食べ物や飲み物は、はたして体にいいのか、悪いのか。ボストン在住の医師・大西睦子先生がハーバード大学での研究や欧米の最新論文などの根拠に基づき“食の神話”を大検証します。

「糖質オフ」あるいは「糖質ゼロ」を売りとするビール(発泡酒や新ジャンルのアルコール)は、すっかり市場に定着しました。「ビール腹」になることを避けたい消費者心理を見事に捉えた結果でしょう。

しかし、ビールに限らずアルコールの摂取と体重との関係は複雑で、一概にはいえません。過去の疫学調査からわかっていることは次の通り。

適量の飲酒をする人はしない人に比べて肥満率が低い。しかし、大量飲酒は肥満と正の相関関係にある。長期間にわたり中程度以上の飲酒を続けている人も肥満率が高い。アルコール依存症の人はやせている人が多い。

普通のビールに含まれている糖質量は350ml1缶あたりおよそ10g(40kcal)。これは角砂糖2~3個分です。つまり適量をたしなむ程度なら、糖質ゼロであることの優位性はさほどありません。

「でも、もっとたくさん飲むことが多いので、糖質ゼロのほうがいいのでは?」と考える人は、そもそも“たくさん飲む”ことこそ大問題。「糖質ゼロだから」という安心感が過剰な飲酒につながると、高血圧、肝疾患、うつ病や不安などのメンタルヘルスの問題など、健康上の問題を引き起こしかねません。

またアルコールは糖や脂質と代謝が違い、実質的なカロリーは体内に入った70%程度といわれますが、たくさん飲めば、これだって無視できません。しかもアルコールによって食が進み、夜遅くの飲食を重ねたりすれば、肥満につながるのは自明の理です。

「カロリーゼロ」の人工甘味料を使ったダイエット飲料も要注意。最近アメリカでは、これを習慣的に飲んでいる人は肥満や糖尿病になりやすいことが報告されています。

そのメカニズムは、まず、糖質オフのビール同様、「カロリーゼロなら安心」と考え、定期的に摂取するようになり、量も増えがちです。すると、脳内報酬系が影響を受け“甘み依存症”が悪化します。つまり、甘いものを食べたいとの欲求がコントロールできなくなり、結局は肥満に至ってしまう危険性があるのです。

大西睦子
内科医師・医学博士。東京女子医科大卒業。国立がんセンター、東京大学を経て、2007年から13年まで、米国ハーバード大学リサーチフェローとして、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。著書に『健康でいたければ「それ」は食べるな』『カロリーゼロにだまされるな』など。

あわせて読みたい

「ビール」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    「2021年になって未だに?」 NHKきっかけに日本のFAX文化が世界に 海外からは驚きの声

    BLOGOS しらべる部

    07月29日 17:14

  2. 2

    都の感染者が3865人のからくり 検査数が増えれば陽性者数も増える

    諌山裕

    07月30日 13:07

  3. 3

    五輪で弁当4000食廃棄にショック 河野大臣も驚きのけぞる

    柚木道義

    07月30日 10:28

  4. 4

    不気味に大人しい小池百合子知事、目線の先にあるものは…?ワクチンの集中要請と追加経済対策を急げ

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    07月30日 08:12

  5. 5

    もう、オリンピック・ムードに浸り続けるのは無理なんじゃないかな

    早川忠孝

    07月30日 08:37

  6. 6

    なぜ無効な政策をいつまでも続けるのか?

    青山まさゆき

    07月30日 16:11

  7. 7

    感染爆発の震源地 選手村のPCR検査は極めてズサンだった 

    田中龍作

    07月30日 09:14

  8. 8

    ニュースの見過ぎで疲れた人にすすめたい「ニュース・ダイエット」

    御田寺圭

    07月30日 10:35

  9. 9

    表現の自由を侵害? ネットフリックスなどへの規制に向かうイギリス

    小林恭子

    07月30日 13:34

  10. 10

    「ここまでのコロナ対策が失敗だったと認めた方がよいのではないか」杉尾秀哉議員

    立憲民主党

    07月29日 19:13

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。