記事

ごはんを食べられなくなったら、人間は5日くらいで安らかに息を引き取る。そんな“平穏死”を推進する医師や病院も増えている - 「賢人論。」第28回(前編)石蔵文信氏

2/2

少しでも多く年金をもらっている人が幸せなのではなく、死ぬまで年金を受け取らないことのほうが幸せ。なぜなら、それぐらい稼げるということだから

みんなの介護 施設に入居できる余裕のある人だけでなく、経済的な事情から自宅で介護せざるをえない人もいます。

石蔵 夫の収入が少なくて自宅で介護せざるをえない“専業主婦”の人もいるでしょう。自宅で閉じこもって介護を続けていると精神的にも肉体的にも追い込まれる。そんなときは主婦でも、働きに出るとよいでしょう。夫婦ともに働いていたら、お互いに経済面でカバーできるし、働いて稼いでいる以上に介護でお金がかかることはほとんどないからね、もちろん施設にもよるけれど。週に何日かはヘルパーさんに来てもらったりするとよいでしょう。

おかしな話なんだけれど、私が「働ける人が死ぬまで働くべきだ」と言うと、みんなそれを「不公平」と言うんです。働く人が税金でもって障害とかがある人の“面倒”をみるのが不公平だって思っている人も多いようです。特にタバコや暴飲暴食を続けて病気になった人は、自己責任だと考えている人もいるでしょう。私は不公平だなんてまったく思わない。もし、私が死ぬまで年金を使わないことがあれば、すごく幸せなことだと思うんです。だって、年金がいらないくらい稼いでいるということだから。で、不幸にして自分がお金を稼げなくなったら年金をもらおうと思っているけれど、稼いでいる限り年金は必要ないと思っています。

みんなの介護 今の制度だと何歳まで繰り下げて年金を受け取れますか?

石蔵 70歳まで受給年齢を繰り下げることができます。

みんなの介護 「もらえるものはもらっとけ」と考える人のほうが、圧倒的に多そうですが。

石蔵 日本人って、いつからか知らないけれど、“もらわんと損”って思うようになったのは残念です。国ももっと年金の受け取りを繰り下げできるようにすればいい。戦前までは生活保護制度はなかったけれど、制度が始まった当時は“もらうのは恥ずかしい”という風潮があった。いつからか、もらわなければ損だと思うようになったかは不思議。

みんなの介護 それでも、全員がもらえるなんてことはほぼありえないわけで、もらえるものはもらっておけ、という考えが当たり前になっている社会では“もらえなかった”人の不満がたまりやすくなってしまうと思うんです。

石蔵 結局ね、“もらえるものをもらっておけ”ということが幸せか?っていうと、私の感覚ではそうは思わない。社会保障制度によって恩恵を受けている人に対して税金をたくさん払っている人が「不公平」と言っているのはおかしいですよ。例えば、病によって傷ついて、毎日、あるいは数日おきに、心身ともに苦痛な治療をしている人は、何の理由があっても気の毒な状態です。さらに言えば、自暴自棄、無茶苦茶に食べたり飲んだりしたとしても、そのつらさでもう十分、対価を払っている。その人たちに医療費を自分でカバーしろなんて言えない。

私は幸いにして健康で、医療費をほとんど使っていないし、給料ももらっています。ひょっとしたら、80歳まで働けるかもしれません。それで、課税されて、みなさんに分配されたとしても、まったく不公平だとは思わない。おそらく、病気で苦しんでいる人のほうが「なんでアイツはあんなに健康で稼いでいるのに、俺は不健康なんだ。これは不公平だ」と、70、80歳まで健康な人に対して“不公平感”を感じるんじゃないかな。健康で職がある限り、私は働けるだけ働き続けたいと思っています。

あわせて読みたい

「医療」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。