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八ッ場ダムの現場から、川原湯温泉の秋(1)

 八ッ場ダムの現場、川原湯温泉へ行ってきました。工事は7割方進んでいる、このままダムを完成させるのが最も効率的という検証結果を国交省関東地方整備局が発表した現場はどうなっているのか、それを見てきた報告です。ダム工事が7割進んだという話から、皆さんは何を想像しますか。ダムの本体がそろそろ全貌を現していると思わないでしょうか。私もそうでした。

 駅を降りて、駐在所の奥さんに「ダム本体の現場はどこですか」と聞きました。答えは「行っても何もありませんよ」でした。本当にその通りでした。吾妻(あがつま)渓谷の両岸の岩壁が狭まるダム本体の予定地には、まだ1本の杭打ちさえも行われていません。巨大な重力式ダムが聳え立つ中に埋没する筈の、国指定名勝「吾妻渓谷」は、そのままの姿を見せていました。本体工事は、まだ全く始まっていないのです。それは裏返せば「まだ間に合う」ことを示しています。

 おそらく土木工事の専門家たちは嘲笑するでしょう。「ダム工事は周辺の整備こそが大仕事なので、本体工事は最後の一部分に過ぎない。素人はこれだから困る」と言うに違いありません。しかし整備局の試算は、ダムが完成したのと同じ理想的な効果を、他の工事方法であげるとしたらどうなるかを、我田引水的に並べて見せたに過ぎません。限りなく嘘に近い強弁であることを、今回の旅で確信しました。計画が棚ざらしになっている間に、やりやすい、おいしい仕事からどんどん進めて行った結果が、文字通りに町を引き裂いた現状をもたらしたのです。

 さらに整備局の試算には、重大な欠落があります。それはダムによって失われる自然景観という大きな損失を、コストとして無視していることです。この損失をコストに加算するならば、ダム完成のための赤字は、議論する余地のない巨額に達するでしょう。

 帰ってきたばかりのホットな報告から始まりましたが、まずは駅を降りてダム本体予定地を確認したところまで、ごらんください。

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川原湯温泉駅前。駅の向こうに見える柱は湖面橋の橋脚で、現在工事は止まっています。

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駅前の駐在所。ここで教えて貰わなければ、ダム本体の予定地を自力で発見することはできなかったでしょう。

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吾妻渓谷の美景。紅葉には、まだ少し早いようでした。川沿いに散策路があります。

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ここがダム本体の予定地です。近くに2枚の図解が掲示してありました。この場所が、ダム本体の中に取り込まれる予定であることが、下の看板で確認できます。

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この場所は、川原湯温泉駅から国道を渋川方向へ、歩いて15分ほど行ったところで、青いビニールフェンスの囲いが目印です。列車の窓からも見えます。

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