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八ッ場ダムの現場から、川原湯温泉の秋(2)

 周辺で目立つのは「立入り禁止」看板の多さです。工事の進行が住民の暮らしを圧迫していることが、よくわかります。しかもそれらの中には、途中で止まったまま古びているものが少なくありません。

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駅に近い線路下の工事用トンネルですが、少なくとも10年以上は放置されている感じでした。ダム本体工事のために用意された道路の出口と思われます。

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工作物禁止の公示(昭和61年)も、すっかり古びています。住民は住んでいる自分の家の改善も封じられたまま、長期間にわたって放置されてきたのです。

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従来の道路は厳重に封鎖されて、住民も観光客も、とんでもない遠回りを強いられています。

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町の上部では、鉄道線路の付け替え工事が行われていました。ずっと下流から対岸に渡り、八ッ場トンネルという新しいトンネルを掘る大工事です。

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吾妻川上流側には、昭和初期から天然記念物に指定されている「川原湯岩脈」があります。地層の割れ目にマグマが貫入して固まったものだそうで、赤茶けた特異な色をしています。正面対岸の上の方に家屋が固まって見えるところが川原湯の温泉街です。これが源泉地とともに水没するのですから、ダム湖の水面が非常に高くなることがわかります。

 古くは佐久間ダムでも小河内ダムでも、多くの村や町を水底に沈めてきました。その時代には止むをないこととして認められてきたのでしょうが、考えてみれば、広大な面積の国土を犠牲にして人工の湖水にしてきたわけです。

 八ッ場ダムの場合は、これで電力不足が解決するわけでもなく、周辺に深刻な水不足が迫っているわけでもなく、吾妻川が大水害を繰り返す暴れ川だという事実もありません。計画したから、惰性で作るために作るような力学で続いてきたから、今の姿になってしまったのではないでしょうか。

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 民主党が「コンクリートから人へ」をスローガンにして政権を取ったとき、前原大臣の背景によく出ていた十字架のような奇妙なコンクリート柱は、横につながって今は道路として完成しています。しかし私が見ている間、通る車は1台もありませんでした。その下は今の吾妻線の鉄橋で、もちろんこれも水没の予定です。

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