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大災害の中で身を守る判断

 夕方のテレビで、先日の大津波についての特集番組を2本再放送していたが、結局最後まで見通してしまった。大津波の実像は、何度見ても圧倒的な迫力で迫ってくる。自分がその中にいたらどうなったか、運にも左右されるだろうが、無事に災難を逃れた自信はない。
 
 危急の中では無数の人間ドラマが起きる。一瞬の判断で生還を果たした人がいる一方で、努力も空しく命を落とした多くの人たちがいた。その人たちは、どうしたらよかったのか、今から話を聞くことはできない。おそらく同じように最後まで生きる努力はしたのだろうが。

 あの日、震度5強と言われた長い揺れの中で、私はずっと家の中にいた。船に乗ったような大揺れだから、ふだんの地震と違うとは思ったが、家具や内装が崩れるほどでもないので、家がつぶれる心配はしなかった。少しは歩きにくかったが、台所に入ってガスコンロに火がついていないのを確かめた覚えがある。しかし、落ち着いていたようでも、目配りが行き届いていなかったのだろう、寝室と居間のテレビが落下するのを防ぐことができず、後になってから気がついた。

 家人は全員が家の前の道路に出ていた。かなり早い時期に逃げ出したようだった。私は最後に出てみたのだが、それは避難するという意識ではなく、家の外の様子を見ながら、みんなの無事を確認するためだった。

 地震でも雷でも、私はほとんど身を動かすことはない。ただし注意力は働かせて、行動する必要があるかどうかを落ち着いて判断するつもりでいる。そして今までにそのような非常事態は一度もなかったと思っている。戦時中の空襲でも、同様だった。

 大学時代に清水幾太郎氏の講義の中で、当時有名だった桜木町の電車炎上事件の話があり、あの状況の中ではソクラテスやカントが乗っていても焼死を免れなかったろうと言っていた。そのとき私は、自分なら座席下のコックを閉めてドアを手動で開けられたと、ひそかに思っていた。機械好きで、車掌がやっているのを見たことがあったからだった。

 そんな自分だが、けっこう軽率なところもあって、現にブレーキの踏み違えで追突事故を起こしたこともある。その教訓から左足でブレーキを踏む両足運転に切り替えたことは、このブログ上で公表しているところだが、将来の東京大震災でどうなるかはわからない。

 ただ願わくは、孔子が言ったように「窮して乱れず」にありたいと思うのだが、どうだろう。

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