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小沢一郎の弁明

 陸山会事件初公判で小沢一郎氏が冒頭に読み上げたという意見書を読んでみた。この人の演説を聞いたり、書いたものを読んだことは今までにもあるが、これほど論旨明快で力強い文章を読んだのは初めてのような気がした。自分の政治生命がかかるから本気になったとも言えるが、「ソクラテスの弁明」を連想したのは、少し持ち上げ過ぎだろうか。

 次元はだいぶ違うが、国の権力機関と真っ向から対決して一歩も退かない決意を示している点では似ている。この国で認定される「正義」とは何かということだ。国には法体系があって国民はそれに従い、紛争があれば裁判所が、いずれが合法であるかを判定することになっている。簡単なようだが一筋縄で行かないことは、日本国憲法の下で自衛隊が存在していることでもわかる。

 財界から政界に多額の資金が流れていることは周知の事実で、それを好ましくないと感じている国民は多いだろう。しかしルールを外さなければ合法であったし、今も全面禁止に至っていない。「政治とカネ」の話題を嫌悪する感情と、特定の政治家に「罪」を着せて政界から追いやるのが正しいかどうかは、別な問題なのだ。

 検察は捜索で小沢家の銀行口座を過去20年間にわたって調べたということだが、犯罪に結びつけられる確証を得られなかった。報告書の記載方法という瑣末な問題を突破口として延長戦に持ち込むのは、どう見ても公正な捜査と評価はできない。無理と悟って不起訴にしたのを、「市民団体」の申告による審査会で覆した経過にも、非常に不自然なものがある。

 裁判の結果がどうなるか予想はできないが、この裁判が行われていること自体が、日本の政治にとって大きな損失になっていると私は思う。いずれにしても「小沢一郎の弁明」は、日本政治の「歴史的文書」として残るだろう。

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