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内田樹氏の論説から「陰謀史観」を考える

 昨日の朝日新聞「わたしの紙面批評」に内田樹氏が書いていた「情報格差の拡大」が心に残りました。内田氏は同紙の「紙面審議会委員」の肩書きで書いているのですから割引きしなければならないでしょうが、情報について「貴族」と「難民」の階層化が進んでいるという指摘には説得力がありました。
(以下引用)
 インターネットでは「クオリティーの高い情報の発信者」や「情報価値を適切に判定できる人」に良質な情報が排他的に集積する傾向がある。……そこに良質の情報を求める人々がリンクを張る。逆に、情報の良否を判断できないユーザーのところには、ジャンク情報が排他的に蓄積される傾向がある。(引用終り)
 というのです。そして良否の判断ができないユーザーの特徴は話を単純にしたがることですから、「最も知的負荷の少ない世界解釈法である『陰謀史観』に飛びつく」ことになるというのです。それは、「自分は世の中すべての悪の根源を知っている」という全能感になり、この感覚になじんでしまうと、それ以外の解釈可能性を認めなくなる。そして「マスメディアからの情報を世論操作のための『うそ』だと退ける。彼らの不幸は自分が『情報難民』だということを知らないという点にある。」と述べています。

 この考え方は、特定の問題について述べているのではありませんが、行政やマスコミへの不信感が極度に高まっている現状に照らしてみると、すべてを疑う全否定だけをしていればいいのかという思い直しを誘うところがあります。紙背に徹する観察力はもちろん大切ですが、全否定の単純化に陥ることも、また警戒しなければなりません。

 筆者は次のように結論していますが、インターネットの活用も、ますます大切になります。
(以下引用)
 私は階層社会の出現を望まない。もう一度「情報平等社会」に航路を戻さなければならない。そして、その責務は新聞が担う他ない。

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