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放射線の許容量をどう考えるか(1)

 今の日本で一番ほしいものは、表題についての信頼できる手引書ではないでしょうか。しかし書店の新書新刊コーナーを念入りに探してみたのですが、ぴったり答えてくれる本には出会えませんでした。なんとか参考になりそうで選んだのが次の2冊です。①「緊急解説!福島第一原発事故と放射線」(NHK出版新書・著者はNHK放送記者2名と解説委員) ②「内部被曝の脅威ーー原爆から劣化ウラン弾まで」(肥田舜太郎・鎌中ひとみ・ちくま新書)
 
 今回は、これら参考書の内容も紹介しますが、自分としてこの問題をどう考えるか、親しい人たちや家族にはどんな助言ができるかを念頭に置きながら書いてみます。ですから上記以外に私がこれまでに読んだ本や、聞いた話で得られた知識も総合します。私のブログを、今の世の中で少しでも役に立つものにしたいと願うからです。
 
 まず、今いちばん欲しいものは、①の本からの引用ですが「『リスクはゼロとは断定できないが、非常に少ないと考えられる』という状態をどのように説明するか」ではないでしょうか。よく用いられるのが医療で受けるレントゲン検査の例です。体に放射線を受けるのは好ましいことではないが、病変を発見できる利益があるので、一定の範囲内なら許容できると考えるわけです。また、成層圏飛行をする旅客機に乗ると、地上よりも強い放射線を受けますが、これも速く旅行できる利益があるので気にしません。
 
 しかし人工の放射線を、安全管理のミスから受動的に浴びせられるとなると、様相は一変します。得られる利益は何もありません。本来あるべきでないものが一般の生活空間に漏れてくるのですから、ゼロがいいに決まっています。つまり許容量はないのです。
 
 とはいうものの、原子力産業の従事者や、核兵器を扱う軍人などに適用される許容量は以前から研究されて基準が定められていました。国際機関が採用している安全基準は、基本的に成人の核関連従事者に適用するものです。さらに非常事態での短期的な基準もあり、これと「平時における望ましい一般的な基準」との間には、100倍以上もの開きがあるのです。
 
 次回に説明しますが、日本政府の原子炉事故への対応は不備だらけでした。従来の「事故対応訓練」は、決められたシナリオを確認するだけの行事であり、アメリカの関係者を呆れさせたということです。その体質は自民党政権時代に作られたのですが、民主党政権でも改善は間に合わず、現地の指揮本部となる筈だったオフサイトセンターは、停電で機能を失った上に原発からの距離が近すぎて役に立ちませんでした。

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