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親子断絶防止法案 連れ去り別居の禁止は本当に現実的なんだろうか 離婚したい妻を抑圧するだけになるだろう

 「超党派」の国会議員が「親子断絶防止法案」の制定を目指しているということを2016年11月25日付の北海道新聞の記事で知りました。以前からこの関連記事を見てはいましたが、ほとんど意識することなく今日まで至ってしまったのは反省です。

 道新記事によれば、DV被害者を支援する北海道シェルターネットワークと弁護士たちが同法案について「憲法24条に違反する」と主張しています。

親子断絶防止法 全国連絡会」(ホームページ)
 議員連盟の会長が保岡興治氏(自民)です。

 さて、親子断絶防止法の内容ですが、多くの問題を感じます。
 このような目的の下に議員連盟が設立されています。
①子の最善の利益を尊重し、
②悲惨な親子の断絶状態を解消し、
③両親が日常的に子の養育に関われるよう、
④安定的に面会交流を実現する

 確かにこれだけみると当然そうすべきなのかという印象は受けますが、離婚後の状況についてどこまで考慮したのかということは、今ひとつ伝わってきません。
 夫婦は離婚しても、子どものことでは協力し合う「大人」の関係、みたいな離婚した夫婦でどれほどあるのでしょう。
 ここまでできるのであれば離婚に至るのかなと思ってしまいますし、法律によって強制して効果があるのかなとも思います。
 養育費ですら1~2割程度しか支払われていないという現状からはかけ離れた離婚夫婦像ではないでしょうか。

熱い戦争になっても離婚後に冷静に話し合えるなら離婚には至らないと思うのだが…
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 この法案が一番に問題にしているのは、離婚後ではなく、離婚前の同居している状態からの「子の連れ去り」です。
 離婚に至る夫婦は、その前段階で別居に至っていることがほとんどです。しかも妻側が夫の外出中に子を連れて家を出るパターンです。それまで夫婦関係が既に険悪な場合もあれば、DVだったりする場合もあるし、円満なように見えて一方が我慢を強いられているような場合もあります。
 家を出る場合には残された夫にとっては「突然」になります。
 この場合、子を連れて出ることはまかりならんというのが、この法案です。
 米国などでは常識になっているとされています。先般、ハーグ条約を日本が批准することによって、外国で結婚し、子どもが産まれた場合、帰国する際に相手の夫の同意を得ることなく子を連れて帰国した場合には、裁判所の判断を経て強制的に子が連れ戻されることになっています。
ハーグ条約がもたらすもの 国際結婚のもつ危険性を考える

 現実には離婚に至るまで色々な葛藤があります。別居を決意するのも一大出来事になりますから、普通は我慢に我慢を重ねた上で、今、決意しないと別居(離婚)できないという状況のもとで決意し、別居に至ります。
 別居を決意して家を出るのは大抵、妻側です。夫が出て行くときは別の女性のところに行くパターンも少なくありませんが、この場合、子を連れて行くという行動に出たものを見たことはありません。
 実際には妻が家を出るとき子を連れて出るパターンですが、置いていくという選択肢はほとんどないように思います。乳児であれば当然、幼児でも同様です。
 それ以上の年齢になると年齢相応に子からの意思表示もありますから、連れて出ることに子との関係では支障がないことがほとんどです。
 中には転校は嫌だという意思表示があるときもありますが、年齢によっては父の元に残ることもあるでしょう。その意味ではケースバイケースです。

 これがDV支援の人たちが言うようにDV案件であれば、もちろん連れて出るという選択肢しかありません。
 しかし、私が思うのはそういう場合(グレーの場合も含む)だけですか、ということです。
 今の離婚における問題点は、離婚調停から離婚訴訟まで時間が掛かるという点です。
 その間、面会交流がままならないことも少なくないという現状はありますが、この背景には離婚に同意しない、復縁を求めているという場合もあります。このような場合に面会の実現など難しいでしょう。
 その意味では訴訟上もさっさと離婚を認め(破綻主義)、次の段階に進むという方がより合理的です。
 逆に連れ去りを禁止するということは離婚そのものを諦めさせる意味しかなくなるという問題があります。
 DV事案かどうかを問わず、連れ去り禁止を法制化することには問題が多いと言えます。

 離婚後も共同親権とする案についても、実際に離れて生活している他方親について、どのように共同親権を行使するのかもよくわかりませんし(養育費の支払いが1~2割という現実の中では疎遠になっている場合が多いと思われます。)、かなりの不便を強いられるように思います。それ以上に、口出しの口実に使われはしないでしょうか。
 子に会うことが親の権利として位置付けられることにも違和感があります。
 子の福祉という観点から、(父)親も必要というのであれば、父が子に会いたいということを権利として構成するのがやはり違和感があります。
 現在の家裁の面会交流についても、このような「権利」として認識されている感が強く、子の福祉にとってどうなんだろうという事案もありますが、調停手続の中では調停委員も調査官も機械的に面会をさせようという意識が強すぎます。
 これが法制化された場合、さらに面会強要が現実のものになりますから、弊害の方が大きくなるように思います。

 定期的な交流の強制というのも離婚後の家庭にとっては負担が重く、現実的とは思われません。
 親子断絶防止法案については、とってつけた理念のもとで家族という在り方を強制している感が強く、問題が多いといえます。

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