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金銭に無頓着を装う日本の風潮

この1年間、金融庁において企業と機関投資家との関係を議論してきた。いわゆるフォローアップ会議である。「それって何のこっちゃ」というのなら検索して欲しい。その会議を振り返って思うのは、日本って利益とか金銭に無頓着を装う文化だということである。

金銭感覚に関しては、大阪の文化が衰退したのだろう。それに変わって台頭したのが、「武士は食わねど」の関東の文化、見栄の文化である。

とはいえ、フォローアップ会議、正式名は「コーポレートガバナンス・コード及びスチュワードシップ・コードのフォローアップ会議」の根っこには、日本の企業も投資家も、もっと金銭感覚を磨かないとという問題意識があったはずである。

そう思っているから、先日の会議で、「機関投資家(とりわけアセットマネジメント会社)がコストに見合う手数料を払ってもらっていないのではないか」「これはおかしい」と、個人的意見を述べた。それなのに、その場にいたアセットマネジメント会社の関係者は誰も、これ対して「賛成」の意見を述べなかった。彼らは何を考えているのか。

先日だけではない。僕としては機会がある度に繰り返し、アセットマネジメント会社にちゃんとした対価を払わないと日本の証券市場がまともにならないと述べてきた。しかしながら、よくよく思い出すと、この意見に対して、業界関係者からの擁護は皆無だったのではないか。

「どないなってるんや」「一人芝居やったんやな」と、いい加減怒ってしまう。僕として、アセットマネジメント会社から賄賂をもらっているわけでないのに、「業界の回し者」と思われただけなのかもしれない。

関係者と一対一で話をすると、公的年金からもらう手数料は低すぎると、いつも愚痴られる。いろんな角度から計算してみると、確かに今の手数料は安すぎる。アセットマネジメント会社とすれば公的年金から搾取されている分、投資信託などの手数料を高くしないと、つまり個人からむしり取らないと経営が成り立たないかもしれない。そう思っているので、個人投資家の利益のためにも、複数の会議の場で同じ主張を繰り返してきたのが偽らざるところである。

以上、書きながら思うのは、今の日本の文化とは、「お金って何」であり、「きちゃないもん」として表面上扱うことに徹しているのだろう。しかし、本心はお金にせこいから、寄附などにお金を使えていない。むしろ、寄附をけちり、経費削減するのが美しいと思い込んでいる。これに対してかつての大阪人のほうが、金銭的に敏感なのだが、しかし、貯めたお金の使い方もよく知っていた。

いずれにしても、これからはアセットマネジメント会社自身の出方を見てから僕の行動を決めようと思う。関係者でもないのに、一人芝居はアホらしいかぎりである。

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