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  • ヒロ
  • 2016年11月23日 10:00

安倍首相はロシアとの交渉をまとめられるのか?

安倍首相とプーチン大統領の会談の行方に注目が集まっています。両者はかつてないほど真剣な討議をしており、日本側は担当大臣を置き、岸田外務大臣を12月の山口会議の前に訪ロさせ、調整させるところまで来ています。ペルーにおいても通訳を挟んだ二人だけのやり取りがどのようなものだったのか、気になるところです。

一方、産経などではロシア側の姿勢は固いとして北方領土の返還までにはこぎつけることはない、とみているようです。ならば今回盛り上がる両国間の外交交渉は日本側にさしたるメリットなく、ロシア側に比較的有利なままで展開するのか、という疑問も生じます。私も北方領土問題は長年、深い興味をもって見てきましたが今回の動きはかつてないほどの展開を見せています。12月の山口会談で果実がない会談に終わるとはにわかには信じられないのが私の素直な気持ちであります。

何故今回なのか、といえばロシアが欧米から厳しい経済制裁措置を受けている中でG7では唯一、プーチン大統領に胸襟を開いてきたのが安倍首相であります。これに対する欧米からの評価は高くはないのですが、日ロの関係と欧米とロシアの外交はそもそもが違う気がしています。欧米の論理は「俺はあいつのことが嫌いだからお前があいつと友達になったら許さないからな」とも言えるわけで国家主権を考えればこれは行き過ぎであることは容易に判断できます。

その中でアメリカの大統領選が思わぬ結果になったことで日本側にとってはロシアとの交渉が非常にやりやすくなったことは事実です。仮にクリントン氏が大統領に選ばれていればこのような自由は効かないとみていました。ところがトランプ大統領の今の焦点は国内経済であり、外交は「全体がうまく流れていて自国にデメリットがなければ問題なし」というレベルでしょう。ならば極東の島の所有権についてトランプ氏がガタガタいうことはない、とみています。そういう意味でのアメリカの政権交代は非常に日本にとって好都合だったとも言えます。

では何がネックかといえば確かにロシア国内の調整が容易ではない気がいたします。プーチン大統領が国内議会および世論を説き伏せるには「アッと驚くほどの」譲歩を引き出すことが重要だとされています。つまり、ロシア国内が「それならばしょうがない」と妥協できるほどの何かであります。

では日本に何ができるのか、といえばペルー会談までにほぼまとめた医療、教育交流、LNG、風力発電など8項目や民間レベルが主体と言われる30項目の具現化があります。これが平和条約締結に向けた歩み寄りの土台と思われます。平和条約と北方領土問題解決は別物であって、日本政府としてはまず、平和条約ありきなのですが、そこに北方領土問題解決指針を盛り込むことに固執しているはずです。

以前、プーチン大統領が中国と巨額パッケージディールをした際に国内慎重派を説き伏せたのは「ここまでするか、と思わせる驚きあるプレゼンテーション」であったと記憶しています。とすれば、北方領土についても同様にロシア極東エリアでの資源共同開発やその資源の買い付けを超える「なにか」をプーチン大統領が求めているような気がします。

私が想像できる範囲は国後、択捉島に日本側が相当額をコミットする開発援助と産業育成を伴う共同統治で残りの二島を返還するのだろうと思います。二島といっても歯舞諸島は現在は人も住んでいないような未開の島のはずですし、小さい島の集まりですから漁業権に関する日本の便益はあると思いますが、それ以上の使途はないようなところです。

しかし、そんな歯舞を含む二島返還が精いっぱいな状況で日本側がなぜ、そこまでしなくてはいけないのでしょうか?私はズバリ、安倍首相の政治家としてのレガシー、平和条約締結に賭けているからだと思っています。ただし、そのために踏み込みすぎてオーバーコミットメントには要注意です。佐藤栄作氏が沖縄返還でやった面倒な問題のように将来的に禍根を残すことすらだけは避けてもらいたいと思います。

個人的には戦後71年を超えた今、次のステップに踏み込むべきだろうと思っています。その中で今の状況は何十年ぶりかの千歳一遇であります。外務省のロシアスクールとしてはこれを逃せば自分たちの目の黒いうちには展開しないかもしれないという焦りすらあろうかと思います。

何が飛び出すか予断を許しませんが、この動きは本年の最後を飾る最大の外交話となるかもしれません。今年の10大ニュースはこの結果を見てからではないと判断できないかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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