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2016年に流行った言葉

 さて今年も、民間企業によって流行語大賞(候補)がノミネートされているわけですが、世間の注目度はどうでしょうね。往々にして「流行ってるのか?」と疑問を抱かせる選考結果になることも多いですし、11月の段階で候補が決まってしまうのですから本当の年末に流行した言葉はどうなるのか、あるいは年初に流行った言葉は忘れられていそう、そんな印象もあります。まぁ、主催者側の「流行らせたい言葉大賞」ではあるのかも知れません。

 私だったらとりあえず今年(まだ40日ばかり残っていますが)の流行語大賞には「日本出身」を挙げたいですね。これが盛んに使われたのは今年の1月が主でしたから、昨日今日では耳にする、目にする機会は少なくなったかも知れません。とはいえ、日本社会の一面を端的に表している言葉として「日本出身」は意識されるべきものと思います。日本中のメディアが「日本出身!日本出身!」と連呼していた姿は、決して無視してはならないでしょう。

 発端は、大相撲の初場所で琴奨菊が「日本出身力士として」10年ぶりに優勝したことです。「日本人力士」であれば2012年に旭天鵬が優勝しているのですが、専ら「4年ぶりの日本人力士の優勝」ではなく「10年ぶりの日本出身力士の優勝」として報道されたことは果たして何を意味しているのか、それこそまさしく日本社会の縮図として考えられるべきものと言えます。日本国籍を取得した「日本人」であっても、メディアが賞賛する「日本出身」とは異なる存在として扱われる、それが我が国の現実です。

 国民栄誉賞の初の受賞者は王貞治ですが、よく知られているように王貞治は日本国籍ではありません。国民栄誉賞とは名誉白人や名誉教授みたいな位置づけなのかと思いきや、その先は日本国籍を持った人の受賞が続いているのですから、まぁ適当なものです。他にも日本に戻ってきた中国残留孤児が日本社会で中国人として扱われることもあれば、国際手配中の日系ペルー人が日本の政党に推されて選挙に出馬するなんてこともありました。日本社会に受け入れられる条件は、果たしてどこにあるのでしょうか。

 民進党の現代表なんかも、国籍問題で世間を騒がせました。とかく我が国では政策的な誤り「以外」の要素が政治生命を左右するものですが、いかがなものでしょう。とりあえず日本の法制度は二重国籍を頑なに認めていませんが、それは日本国が勝手にやっているだけの話なので、「もう片方」の国籍を管理している国が日本の制度に付き合う必要はないようにも思います。余所の国からすれば日本国籍を持っているからと言って、もう片方の国籍を抹消しなければならない謂われはないですから。

 そもそもノーベル賞なんかでも、「日本人受賞者」として報道される中には何人かアメリカ国籍の人が混ざっています。二重国籍を認めない日本の制度を適用するならば、アメリカ国籍を取得した時点で日本国籍は失効となっていなければいけません。しかしながら、二重国籍を認めない日本の制度を無批判に受け入れている人々がアメリカ国籍のノーベル賞受賞者を「日本人受賞者」と呼んでいるのは、実に矛盾した態度であり、その矛盾に無自覚な様は滑稽でもあります。

 日本国籍を取得してもなお「日本出身」かどうかで扱いが異なる、それが日本の現実です。日本に永住している在日外国人が日本国籍を取得しても、その先の扱いがどうなるかは今年の「日本出身」フィーバーが証明していると言えます。我々の社会は「日本国籍」を選択した人であっても、決して真に同朋と認めることはないわけです。そしてこれは一部のレイシストの振る舞いではなく、大手新聞や公共放送においてすら、一貫していることなのです。

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