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法的立場

 日露の北方領土交渉において、よく出てくる「法的立場」という言葉ですが、意外に深いものがあります。見逃しがちなポイントです。

 例えば、日本固有の領土である北方領土の現状はどうかと言うと、「日本の立場」は害されています。これは言うまでもありません。では、日本政府は何を留意しているかというと「法的立場」を害しないようにしてきました。これは何かと言うと、ソ連やロシアの主権を認めないという事です。

 なので、主権行為であるビザを取得しての渡航とか、ロシアの管轄権(主権)に服するかたちでの北方四島や二百カイリ水域での漁業等とかは、非常に苦労しながらも避けてきています。例えば、「北方四島周辺水域操業枠組協定」については操業をしている漁船に対する取締りに関する規定をすべて落として、それぞれの国が自主的に行う事で纏めています。ある意味、画期的な協定でして、よく言われているのは「あれは1990年代後半のロシアが弱体化した時代だったから可能だったもの。今、やろうとしても無理。」とされる日露の合意です。

 今回の交渉でも、北方領土でも共同経済活動が議題になっているようですが、ここがポイントになります。例えば、経済活動の根拠法はロシア法としないとか、経済活動に対する徴税権を認めないとか、経済活動に必要な物品や経済活動の成果である物品の日本から又は日本への持ち込みについてはロシアの許可を得なくても可とするとか、そういう「法的立場」を丁寧に守っていけるのであれば可能ということでしょう。なかなか、これが難しいのです。落としどころは「すべて両国の自主的措置でやる」という事なのですが、そこまでロシアを下ろすのは至難の業です。

 ニュースを読んでいると、聞き落としがちなこの「法的立場」、非常にその意味するところは深いのですね。

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