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ドル金利上昇で息を吹き返したアベノミクス

TOPIX: 1428.46, +3.6% (1w), -7.7% (YTD)
Nikkei225: 17967.41, +3.4% (1w), -5.6% (YTD)
S&P500: 2181.9, +0.8% (1w), +6.7% (YTD)
USD/JPY: 110.88, +4.0% (1w), -7.7% (YTD)
EUR/JPY: 117.48, +1.4% (1w), -10.1% (YTD)
Oil(WTI Futures): 45.69, +5.3% (1w), +23.4% (YTD)

 「トランプ・ラリー」に沸いた11月第3週の日経平均株価は週間で3.4%上昇し1万7967円41銭で引けた。18日には取引時間中に今年1月以来の1万8000円台を回復した。ドル円相場も1ドル=110円台で取引されており、大きくドル高が進んだ。また、円は主要通貨に対して下げており、円が最も下落した通貨となった。

 トランプ大統領が、大幅減税、インフラ投資と大規模な財政政策を実行するとの思惑から、株高、ドル高、債券安が進んでいる。ポジティブな見方をすれば、こうした経済政策により経済がよくなり、再び強いアメリカを取り戻すという期待である。その場合は、株は買われ、ドルは強くなり、また、将来の旺盛な資金需要を先取りする形で金利が上昇する。ネガティブな見方では、米国の債務が増大するため米国債の信任が低下、そのため金利が上昇し、インフレを予想して株価が上がっていることになる。しかし、この場合はドルは下がるはずであり、実際にはドルも強くなっていることから、市場はトランプ大統領の経済政策についてはポジティブに見ていると素直に解釈したほうが良さそうだ。

 また、イエレンFRB議長が17日の議会証言で利上げについて「比較的早期に適切になる可能性が十分ある」と発言し、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げが予定通り行われる見通しだ。

 このような米金利の上昇で、いちばん影響のある通貨が円である。そして、短期的には恩恵を受けるのも日本経済だ。なぜならば、日本の経済成長率が低く、適切な金利水準が主要国の中で最も低いからである。グローバル化が進む世界経済の中で、金利は相対的なものなので、特に米国の金利低下は日本経済にとって大きなマイナス要因であった。金利はゼロより下げられないのだから、日本は意図せざる金融引締めに苦しんできたのであり、これがデフレを引き起こしてきた大きな要因である。

日米金利差の推移
画像を見る
出所: 日銀、U.S. Department of the Treasury

『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』 http://goo.gl/0xv1Q

 しかし、ここにきてトランプ大統領の大幅減税を伴う経済政策への期待から、米金利が上昇し、日米金利差が拡大した。これで日銀のマイナス金利政策による緩和効果が生まれ、日銀が何をやっても動かなかった為替が円安に一気に動いた。トランプ大統領の誕生で、大規模な金融緩和によりデフレを脱却するというアベノミクスが再び息を吹き返すことになったのだ。

●トランプ円安は本物か 黒田総裁「動向を注視」
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09491820U6A111C1000000/

●トランプ円安は短命、英ショックの教訓=佐々木融氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tohru-sasaki-idJPKBN1361HC?rpc=223&sp=true

●ギラギラした米資本主義復活へ=武者陵司氏
http://jp.reuters.com/article/column-ryoji-musha-idJPKBN13B0DV?sp=true

 しかし、外交的には、トランプ大統領は日本の地位を脅かしかねない。TPPにより、日米主導で環太平洋地域のルール作りをすることにより中国を包囲しようしていたが、トランプ大統領は離脱を表明している。また、世界のパワーバランスの要であった日米同盟の見直しにも言及している。そのためアジアの主導権がアメリカがバックに付いている日本から、中国に名実ともにシフトする可能性が出てきた。
 軍事的には日米同盟、そして、経済ではTPPを基軸として、やがてGDPでもアメリカを抜くことになる中国と対抗することが、アメリカの国益にかなうはずだ。17日には、安倍首相がトランプ大統領と会談し、こうした状況を伝えたと思われるが、今後の安倍首相の外交手腕に、日本の運命がかかっているだろう。

●首相、トランプ氏との友好強調 TPP打開になお課題
http://jp.reuters.com/article/abe-trump-angle-idJPKBN13D0VY?sp=true

●購買力平価ベースのGDPでは米国を追い抜いた中国
http://blog.livedoor.jp/tsubuyaitaro_2014/archives/1030529320.html

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