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鉄道事業、都市部の業績は好調 一方、沿線人口減少が続く地方路線は赤字体質

サイトウ イサム[著] / 加藤 秀行[著]

 都市部やドル箱路線を持つ鉄道事業者の業績は好調だが、沿線人口の減少が続く地方事業者の経営環境は厳しいようだ。

 東京商工リサーチはJR旅客6社の経営動向を調査し、その結果を10月25日に発表した。各社の2016年3月期決算を単体でみると、東日本旅客鉄道(JR東日本)と東海旅客鉄道(JR東海)は、国鉄民営化後で過去最高の売上高と当期純利益を計上。西日本旅客鉄道(JR西日本)も過去最高の当期純利益を計上した。すでに上場している3社は利益率の高いドル箱路線を抱えており、鉄道事業は順調に推移しているようだ。

 それとは対照的なのが、北海道旅客鉄道(JR北海道)と四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道事業で、沿線人口減少などの影響で3社ともに赤字となった。中でも、10月25日に東京証券取引所一部に上場したJR九州は、上場に向けて固定資産の減損処理をしたため、赤字幅が拡大傾向にあるJR北海道に次いで赤字額が大きかった。ただ、同社の売上高は過去最高を更新し、鉄道事業以外の売上高はJR東海やJR西日本を上回った。

 第三セクター鉄道でも、地域によって業績に大きな違いが見られる。東京商工リサーチは全国第三セクター鉄道63社の経営動向調査を実施し、その結果を10月21日に発表した。第三セクター鉄道は、地方公共団体と民間事業者との共同出資で設立された法人のこと。国鉄民営化の際に分離された赤字路線などを継承した旧国鉄転換型の31社と、私鉄や新幹線開通後の路線を転換した12社、大都市圏を中心に開業した都市型三セク鉄道の20社の3つに分類して分析した。

 第三セクター鉄道運営会社の業績をみると、2016年3月期の決算で経常赤字を計上したのは35社(構成比55.5%)、累積赤字で利益剰余金がマイナスなのは40社(同63.4%)となり、厳しい経営環境が明らかになった。中でも、旧国鉄転換型では経常赤字が26社(同83.8%)、輸送人員が前年度から減少したのが18社(同58.0%)に達し、沿線人口の減少で慢性的な赤字体質に陥っている事業者が多かった。

 一方、都市型三セク鉄道は好調だ。63社の中で営業収入が最も多かったのは「つくばエクスプレス」を運営する都市型三セク鉄道の首都圏新都市鉄道で、前年度比3.8%増の420億1,100万円だった。2005年開業の「秋葉原~つくば」間を結ぶ路線は、沿線開発が進んで輸送人員を伸ばしており、開業以来連続で増収を達成している。以下は、東京臨海高速鉄道(りんかい線)、北総鉄道、東葉高速鉄道、横浜高速鉄道と続き、上位10社すべてが都市型三セク鉄道だった。

 鉄道各社の業績は、都市部と地方で明暗が分かれている。そんな中、JR九州のように鉄道事業以外の事業に力を入れて、業績を伸ばしている会社もある。沿線人口が減少している地域では、事業の多角化など何らかの対策が必要になっていきそうだ。

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