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安倍・トランプ会談を笑うー誰のための会談だったのか?

 11月17日(現地時間)、安倍総理と米国の次期大統領に就任予定のトランプ氏との会談が行われた。大統領選での勝利後、外国の首脳と会談するのは初めてだとか、1時間半にも及ぶ会談立ったと、日本のメディアはまるで世紀の一大イヴェントのように囃し立てた。会談終了後記者団の前に立った安倍総理は、詳細は話すことができないとしながらも、会談の意義を強調し、足早にその場を立ち去った。

 ゴルフグッズを送りあったとかいった、はっきり言ってどうでもいい情報まで飛び交っているが、結局のところ今回の会談、どのような意味があったのだろうか?

 結論から言えば、我が国とっては何の意味もなかったどころか、アメリカの属国、保護領ニッポンの姿をあらためて世界に曝け出し、強く印象付ける機会になってしまった、ということであろう。

 そもそもトランプは次期大統領であって、まだ正式に大統領に就任したわけではない。この先には、大統領選挙人による選挙があり、それを経て正式に決定するのは来年になってからである。

 だからこそ今のうちにといった意見も見られるが、次期大統領就任予定者周辺に接触して情報を収集したり、人脈を築いたりするのであれば「今のうちに」というのもありうるが、これまで接触も出来てこなかったのみならず、人間関係も築いていない人物にいきなり会ったところで、節操がなく変わり身の早い、信用のおけない奴程度にしか思われないだろう。

 しかも大統領就任予定者である。現段階では何の権限もない。政策も具体化・詳細化の作業の真っ最中であり、その意味では何も決まっていないと言ってもいいだろう。そんな中でお初の人間がやってきて、こうしようああしようと言ったところで、「ああそうですか。」で終わってしまう。加えて言えば、トランプ氏は「アメリカ・ファースト」であり、最優先課題は内政である。日米関係は二の次三の次。

 したがって、かかる状況下では事務レヴェルで情報収集に努め、政治レヴェルでは様子を見るというのが適切妥当のはずである。それなのに無節操かつ無意味で悪影響まで懸念される会談が設定された背景には、一体どのような事情があるのだろうか?それは、アメリカ大統領選を巡る外務省の迷走ぶりを紐解いていくと見えてくるように思う。

 トランプ氏を泡沫候補扱いし、ヒラリー・クリントン勝利と勝手に決めつけていた外務省、トランプ陣営に全く人脈を持たず、したがって情報収集もできていなかった。トランプ氏が共和党候補に選出され、徐々に優勢になってくると、外務省は官邸から「どうなっているのだ。」と叱責されたようだ。それでもなおヒラリー勝利と信じて疑わなかったものの、それから慌ててトランプ陣営との接触の道を探し始めたようだ。今回の会談、アメリカ大統領選を巡る対応で評価を落とした外務省が、一足飛びにトランプ氏と安倍総理の会談を実現させて、名誉挽回の機会にしょうと画策したもののように思えてならない。まさに外務省の面目を保つための会談だった、ということではないだろうか。

 省益あって国益なしという表現があるが、まさにその恒例といったところか。もっとも、今回の会談、その内容にしても挨拶以上のことは何もなかったであろうことは、会談後の手短な総理のぶら下がり会見やその表情、更には会談にトランプ氏の娘夫妻も同席したことからも明らかであり、かえって外務省の評価を更に下げることになるであろうことは、想像に難くないが。(外務省の評価云々以前に、国益を損ねる活動だけは止めて欲しいものである。)

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