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- 2016年11月19日 00:04
柵になるかもしれないトランプの壁
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先日、トランプはオバマ大統領と初会談した。15分の表敬訪問のはずだったが、結局90分も一緒に過ごすことになる。意気投合したわけではない。大統領の職務や、国内外の情勢・問題について、トランプがあまりにも無知だったため、オバマ大統領が色々説明していたのだ。オバマ大統領は「アメリカの繁栄のために」、これから「通常の引継ぎよりずっと多くの時間をかける予定」とのこと。
トランプ自身、大統領選でまさか勝つとは思っていなかったのだろう。トランプに同行してホワイトハウスを訪れたジャレッド・クッシュナー(娘イヴァンカの夫で、選挙運動の中心人物)が、「ホワイトハウススタッフのうち、どのくらいが入れ替わるのか」と無邪気に質問し、聞かれた人を驚かせた。大統領が変わったら、スタッフはほぼ全員入れ替わることを知らなかったのだ。
トランプも、ホワイトハウスに常時住まなければいけないことを知らなかったらしい。大好きなマンハッタンのアパートとワシントンDCのホワイトハウスを行き来できると思っていたようだ。
共和党幹部は、政治に暗いトランプをうまく操り、党の政策を推進する思惑だろう。大統領、上院、下院のすべてを握った共和党にとって、待ちに待った「春」が訪れた。いくつか空席ができる最高裁では、女性やマイノリティの権利を制限し、大企業の利益を優先する裁判官たちが任命されるだろう(任期は終身)。先人たちが苦労して勝ち得てきた人権擁護の法律や政策が、今後数十年にわたり後退する可能性がある。オバマ大統領が推進し、ヒラリー・クリントンが更なる強化を約束していた、金融業界の規制や消費者の権利拡大も、トランプ政権では立ち消えになるだろう。
トランプ一家は大統領任期中、巨額の富を蓄えるだろう。選挙期間中ですら、選挙事務所、スタッフ、有料広告などの出費を極力押さえ、多額の選挙資金を「オフィス使用料」(自宅、自社ビルなど)、「交通費」(自家用飛行機使用など)などの名目で、トランプ家と関連会社に払い込んでいた。支持者に配りまくった帽子など、選挙の小道具を調達したのも、関連会社だ。情報発信はもっぱら、計2800万人(トランプ談)ものフォロワーを持つ、無料のツィッター、フェイスブック、インスタグラムで行った。政治家ではない、「セレブ」「スター」の強みである。
政治や経済政策で、概ね共和党のやり方に従っても、大統領の鶴の一声で決まってしまうことだってたくさんある。もしかしたら、トランプは共和党幹部の思惑以上に政治に口を出すかもしれない。世界に大きな悪影響を与えることをしないよう、祈るばかりだ。
もしトランプ大統領に何か起こり、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領が昇格しても、あまり嬉しいことはない。一見、可愛い少年風の57歳だが、なにしろ、原理主義キリスト教徒で、進化論を否定し、産まない権利、同性愛者、キリスト教以外の宗教に不寛容な超保守主義者なのだから。
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「60 Minutes」インタビューの映像と英文起こしはこちらをご覧下さい。
(参考:CBS 60 Minutes "The 45th President" など多数)
【関連記事】
トランプ大統領はアフリカにどう影響するか (2016年11月11日)
ドナルド・トランプの壁 (2016年8月7日)
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| ジンバブエのメディアもふたりの会見を報道(News Zimbabwe) |
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トランプも、ホワイトハウスに常時住まなければいけないことを知らなかったらしい。大好きなマンハッタンのアパートとワシントンDCのホワイトハウスを行き来できると思っていたようだ。
共和党幹部は、政治に暗いトランプをうまく操り、党の政策を推進する思惑だろう。大統領、上院、下院のすべてを握った共和党にとって、待ちに待った「春」が訪れた。いくつか空席ができる最高裁では、女性やマイノリティの権利を制限し、大企業の利益を優先する裁判官たちが任命されるだろう(任期は終身)。先人たちが苦労して勝ち得てきた人権擁護の法律や政策が、今後数十年にわたり後退する可能性がある。オバマ大統領が推進し、ヒラリー・クリントンが更なる強化を約束していた、金融業界の規制や消費者の権利拡大も、トランプ政権では立ち消えになるだろう。
トランプ一家は大統領任期中、巨額の富を蓄えるだろう。選挙期間中ですら、選挙事務所、スタッフ、有料広告などの出費を極力押さえ、多額の選挙資金を「オフィス使用料」(自宅、自社ビルなど)、「交通費」(自家用飛行機使用など)などの名目で、トランプ家と関連会社に払い込んでいた。支持者に配りまくった帽子など、選挙の小道具を調達したのも、関連会社だ。情報発信はもっぱら、計2800万人(トランプ談)ものフォロワーを持つ、無料のツィッター、フェイスブック、インスタグラムで行った。政治家ではない、「セレブ」「スター」の強みである。
政治や経済政策で、概ね共和党のやり方に従っても、大統領の鶴の一声で決まってしまうことだってたくさんある。もしかしたら、トランプは共和党幹部の思惑以上に政治に口を出すかもしれない。世界に大きな悪影響を与えることをしないよう、祈るばかりだ。
もしトランプ大統領に何か起こり、マイク・ペンス(Mike Pence)副大統領が昇格しても、あまり嬉しいことはない。一見、可愛い少年風の57歳だが、なにしろ、原理主義キリスト教徒で、進化論を否定し、産まない権利、同性愛者、キリスト教以外の宗教に不寛容な超保守主義者なのだから。
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「60 Minutes」インタビューの映像と英文起こしはこちらをご覧下さい。
(参考:CBS 60 Minutes "The 45th President" など多数)
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