- 2016年10月31日 08:28
死体相手だけでない
1人に可能性 児相との「形跡判断」で 県立医大 /和歌山
毎日新聞2016年10月29日児童虐待の早期発見を目的に、県立医科大(和歌山市紀三井寺)が今年度から県内の児童相談所(児相)とともに取り組む「虐待形跡判断」で、相談が寄せられた5人(今月27日現在)のうち1人について、虐待の可能性が高いと判断していたことが分かった。県立医科大の近藤稔和教授(法医学)が28日、報道陣に明らかにした。
同医科大では今年4月から、児相が保護した子供の中で児童虐待が疑われる事案について、法医学的な観点から調べる虐待形跡判断を実施している。近藤教授によると、5人中1人の体に残るあざなどを法医学的に診た結果、通常のけがではなく虐待によってできた可能性が高いと判断。他の相談も含めて自治体や病院、警察など関係機関と情報を共有し、児童の保護や入院など適切な処置につなげるという。
近藤教授は「児童虐待の可能性がある事案に接した医師や大人には、法医学者に相談する選択肢があることを知ってほしい」と話している。【最上和喜】
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虐待防止に法医学活用を 医大の近藤教授が訴え
わかやま新報2016年10月29日
児童虐待が大きな社会問題となる中、県内でことし4月から法医学の知識を活用した虐待防止の取り組みが始まっている。28日には和歌山市紀三井寺の県立医科大学で、報道関係者を対象に取り組みが紹介され、同大法医学講座の近藤稔和教授が児童虐待の現状や県内における取り組みについて解説した。
児童虐待は身体や性、心理への虐待に加え、養育の怠慢、拒否も含まれる。件数は増加の一途をたどっており、平成24年度に国内の児童相談所が対応した相談件数は、平成11年度の5・7倍にのぼる。
近藤教授は児童虐待の深刻さについて、虐待を受けた子どもの写真を示しながら解説。虐待の結果として、身体の損傷だけでなく、発育の遅れや感染症罹患などの症状が見られると指摘した。
近藤教授によると、数年前から虐待防止において、法医学の重要性が各分野から指摘されるようになったという。近藤教授は虐待の有無に関する判断や被虐待児の保護において、傷の状態診断を専門とする法医学の役割は大きいと話した。
県内における児童虐待の件数は、400台だった平成20年ごろに比べると大幅に増加しており、平成26年度には932件にのぼった。被害児童の約3割が小学生で、加害者の約半数が実母となっている。
近藤教授は昨秋、児童相談所から相談を受けて試験的に取り組みを開始。ことし4月から相談所と連携して虐待が疑われる児童の診断を行うなど、本格的な活動に乗り出した。これまでに5件の相談を受けたという。
近藤教授は「虐待死は救える命。行政・教育・医療が連携して取り組み、子どもたちが安全で楽しく暮らせる社会をつくっていきたい」と意気込んでいる。
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ヨーロッパの法医学でのルーチンワークは、解剖だけではなく、生体診察も含まれている。日本では、法医学者が少なすぎて、手が出せなかった分野だが、そろそろ放置できなくなってきている。
ヨーロッパでは、傷害事件の被害者や、虐待を受けた子供の診察は法医学者が行うことが法律で定められている場合もある。一般臨床医に任せてしまうと、診断が患者よりになりすぎたり、診療費を上げるために大げさな診断名をつけてしまうことがあり、客観性にかけるからだ。日本では、法医学者が少ないので、こうした事例は一般臨床医が診ているのだが、現に多くの問題が発生している。
例えば、交通事故によるむちうち症がいい例だ。首が痛くもないのに、整形外科からむちうち症とか頸椎捻挫と診断され、通院させられることもある。民事における損害賠償レベルの話であればまだいいが、場合によっては、過失運転致傷という刑法犯として扱われかねないので、いい加減な診断を許すべきではない。そのためにも臨床法医学分野の発展が求められるのだが。



