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- 2016年11月14日 16:38
トランプ次期大統領のニュースメディア対策、鍵握る右派ニュースサイト「Breitbart」が勢いを増す
右派ニュースサイトの「ブライトバート・ニュース」(Breitbart News)が、NY Times、CNN、Fox Newsといったエスタブリッシュメント・メディアを打ち負かした。このように自慢げに勝利宣言をうたい上げる記事を、自らのフェイスブック・ページに投稿した。
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図1 Breibartのフェイスブック・ページ。「Breitbart Beats NY Times, CNN, and Fox News for Election Day Facebook Engagement」という見出しの記事が、11月10日に投稿されていた
メディア分析会社NewsWhipが、米大統領選の開票日(11月8日~9日)に、主要ニュースサイトを対象に選挙関連記事のエンゲージメント数(いいね!数+コメント数+シェア数)を計数した。その結果によると、確かにBreibartの総エンゲージメント数が、CNN、BuzzFeed、NY Times、Fox Newsを上回っていた。反エスタブリッシュメントを旗印にしたトランプ氏が勝ったように、同氏を強く支持してきたBreibartもエスタブリッシュメント・メディアを負かしたのだと、叫んでいるのだ。
Breibartは過激な右派ニュースサイトなので、大統領選でもトランプ氏を応援していた。さらに今回の選挙では、Breibart Newsのスティーブン・バノン(Steven Bannon)会長が8月中旬にトランプ陣営の選挙対策本部最高責任者に任命されたこともあって、トランプ氏とBreibartの関係は密着していたと言える。Huffington Postの記事によるとバノン氏は「最も危険な政治フィクサー」と言われており、選挙対策の責任者に就いた彼はトランプ氏に過激な言動を再開させ、それが功を奏して勝利に至ったと見られている。
選挙運動中には、トランプ氏の過激な言動に合わせて、Breibartは過激な記事を発信してきた。それらの記事内容がファイスブックやツイッターのソーシャルメディアで拡散することになった。今年の6月ころには、Breibartの政治関連ニュースがソーシャルメディアで最も話題になるようになってきた。NewsWhipの調査でも、図2に示すように、Breibartの政治記事が最も多くの(フェイスブックのエンゲージメント数)と(ツイッターのシェア数)を獲得していた。
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(ソース:NewsWhip)
図2 ユーザー・リアクションが多い政治記事を発信しているニュースサイト。今年の5月13日から6月13日までの1か月間に投稿した政治記事が、ニュースサイト別に(フェイスブックのエンゲージメント)および(ツイッターのシェア)をどれくらい得たかを示している
これまでインターネット上でも、NYTimes、The Hill、CNN、Guardian、Washington Post、Politico、WSJなどの政治関連記事が影響力を発揮し、いわゆるエスタブリッシュ層にもよく読まれている。逆にBreibartのような偏ったニュースメディアはエスタブリッシュ層にほとんど相手にされなかった。政治に関心の高い人たちに利用されている政治ニュース・アグリゲーターmemeorandumでも、Breibartの記事はあまりキュレーションされていない(掲載数ランキングで現在は35位)。ところが、エスタブリッシュ層にほとんど無視されていたBreibartが、フェイスブックやツイッターのSNSでは最も注目されている政治系ニュースサイトに躍り出ているのだ。
ともかく、トランプ氏の勝利により、Breibartが一段と勢いづくのは間違いない。Breibart会長であり、トランプ陣営の選挙対策責任者であったバノン氏は、トランプ次期大統領の上級顧問と首席戦略官を兼務することになっている。既存のマスメディアを極度に嫌っていたトランプ氏が、どのようなメディア対策を講じてくるか気になる。当然、BreibartはもちろんとしてFox Newsなどが優遇されるであろうが、NYTimesのようなリベラルなメディアは冷遇されそうである。
Breibartはすでに、図1で誇示しているように、3700万人の月間ユニークユーザー数を擁しているが、トランプ勝利の追い風に乗って、さらなる飛躍を目指す。 Alex Marlow編集長がReutersに語ったところによると、米国内で多くのジャーナリストを採用し始めており、中でもポッドキャストや動画といったマルティメディア・オペレーションを強化し、大量の政治ニュースを発信していきたいと意気込む。新たにTV番組も立ち上げる。
海外展開にも力を入れる。移民/難民やグローバル化に関連して失業/格差問題が深刻化する欧州各国で、ポピュリズム政党が台頭している。フランスの極右政党である国民戦線のルペン氏はその代表格である。トランプ氏やバノン氏が標榜する白人ナショナリズム主義が、欧州でも拡大する素地が整ってきた。そこで、Breitbart Franceと Breitbart Germanyを立ち上げることになった。この設立する狙いを、欧州の主要2国で右派政治家が選ばれるように支援すること、とバノン氏が語ったという(Reutersの記事より)。
また、すでに海外展開の成功事例があるとも主張する。2013年にBreitbart Londonを立ち上げていた。英国のEU離脱のキャンペーンが、ビジネスになると見たからだ。EU離脱運動が盛り上がるにつれて、Breitbart Londonの読者も増えていき、バノン氏が営業して獲得した広告も増えていった。英国のEU離脱を問う国民投票が実施された6月23日には、Breitbart Londonへのトラフィックが殺到したという。
要するに、トランプの勝利も英国のEU離脱も、Breitbartが大きな役割を演じたと言いたいのだろう。さらに同じ流れを、フランスでもドイツでも・・・。トランプ新大統領のメディア戦略を注視していきたい。
◇参考
・Online, Everything Is Alternative Media(NYTimes)
・ドナルド・トランプ氏、「最も危険な政治フィクサー」起用で過激路線復活か(Huffington Post Japan)
・Who are the Biggest Politics Publishers on Social?(NewsWhip blog)
・Trump strongly considering Steve Bannon for chief of staff(CNN)
・Exclusive: Riding Trump wave, Breitbart News plans U.S., European expansion(Reuters)
・Breitbart Beats NY Times, CNN, and Fox News for Election Day Facebook Engagement(Bleitbart)
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図1 Breibartのフェイスブック・ページ。「Breitbart Beats NY Times, CNN, and Fox News for Election Day Facebook Engagement」という見出しの記事が、11月10日に投稿されていた
メディア分析会社NewsWhipが、米大統領選の開票日(11月8日~9日)に、主要ニュースサイトを対象に選挙関連記事のエンゲージメント数(いいね!数+コメント数+シェア数)を計数した。その結果によると、確かにBreibartの総エンゲージメント数が、CNN、BuzzFeed、NY Times、Fox Newsを上回っていた。反エスタブリッシュメントを旗印にしたトランプ氏が勝ったように、同氏を強く支持してきたBreibartもエスタブリッシュメント・メディアを負かしたのだと、叫んでいるのだ。
Breibartは過激な右派ニュースサイトなので、大統領選でもトランプ氏を応援していた。さらに今回の選挙では、Breibart Newsのスティーブン・バノン(Steven Bannon)会長が8月中旬にトランプ陣営の選挙対策本部最高責任者に任命されたこともあって、トランプ氏とBreibartの関係は密着していたと言える。Huffington Postの記事によるとバノン氏は「最も危険な政治フィクサー」と言われており、選挙対策の責任者に就いた彼はトランプ氏に過激な言動を再開させ、それが功を奏して勝利に至ったと見られている。
選挙運動中には、トランプ氏の過激な言動に合わせて、Breibartは過激な記事を発信してきた。それらの記事内容がファイスブックやツイッターのソーシャルメディアで拡散することになった。今年の6月ころには、Breibartの政治関連ニュースがソーシャルメディアで最も話題になるようになってきた。NewsWhipの調査でも、図2に示すように、Breibartの政治記事が最も多くの(フェイスブックのエンゲージメント数)と(ツイッターのシェア数)を獲得していた。
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(ソース:NewsWhip)
図2 ユーザー・リアクションが多い政治記事を発信しているニュースサイト。今年の5月13日から6月13日までの1か月間に投稿した政治記事が、ニュースサイト別に(フェイスブックのエンゲージメント)および(ツイッターのシェア)をどれくらい得たかを示している
これまでインターネット上でも、NYTimes、The Hill、CNN、Guardian、Washington Post、Politico、WSJなどの政治関連記事が影響力を発揮し、いわゆるエスタブリッシュ層にもよく読まれている。逆にBreibartのような偏ったニュースメディアはエスタブリッシュ層にほとんど相手にされなかった。政治に関心の高い人たちに利用されている政治ニュース・アグリゲーターmemeorandumでも、Breibartの記事はあまりキュレーションされていない(掲載数ランキングで現在は35位)。ところが、エスタブリッシュ層にほとんど無視されていたBreibartが、フェイスブックやツイッターのSNSでは最も注目されている政治系ニュースサイトに躍り出ているのだ。
ともかく、トランプ氏の勝利により、Breibartが一段と勢いづくのは間違いない。Breibart会長であり、トランプ陣営の選挙対策責任者であったバノン氏は、トランプ次期大統領の上級顧問と首席戦略官を兼務することになっている。既存のマスメディアを極度に嫌っていたトランプ氏が、どのようなメディア対策を講じてくるか気になる。当然、BreibartはもちろんとしてFox Newsなどが優遇されるであろうが、NYTimesのようなリベラルなメディアは冷遇されそうである。
Breibartはすでに、図1で誇示しているように、3700万人の月間ユニークユーザー数を擁しているが、トランプ勝利の追い風に乗って、さらなる飛躍を目指す。 Alex Marlow編集長がReutersに語ったところによると、米国内で多くのジャーナリストを採用し始めており、中でもポッドキャストや動画といったマルティメディア・オペレーションを強化し、大量の政治ニュースを発信していきたいと意気込む。新たにTV番組も立ち上げる。
海外展開にも力を入れる。移民/難民やグローバル化に関連して失業/格差問題が深刻化する欧州各国で、ポピュリズム政党が台頭している。フランスの極右政党である国民戦線のルペン氏はその代表格である。トランプ氏やバノン氏が標榜する白人ナショナリズム主義が、欧州でも拡大する素地が整ってきた。そこで、Breitbart Franceと Breitbart Germanyを立ち上げることになった。この設立する狙いを、欧州の主要2国で右派政治家が選ばれるように支援すること、とバノン氏が語ったという(Reutersの記事より)。
また、すでに海外展開の成功事例があるとも主張する。2013年にBreitbart Londonを立ち上げていた。英国のEU離脱のキャンペーンが、ビジネスになると見たからだ。EU離脱運動が盛り上がるにつれて、Breitbart Londonの読者も増えていき、バノン氏が営業して獲得した広告も増えていった。英国のEU離脱を問う国民投票が実施された6月23日には、Breitbart Londonへのトラフィックが殺到したという。
要するに、トランプの勝利も英国のEU離脱も、Breitbartが大きな役割を演じたと言いたいのだろう。さらに同じ流れを、フランスでもドイツでも・・・。トランプ新大統領のメディア戦略を注視していきたい。
◇参考
・Online, Everything Is Alternative Media(NYTimes)
・ドナルド・トランプ氏、「最も危険な政治フィクサー」起用で過激路線復活か(Huffington Post Japan)
・Who are the Biggest Politics Publishers on Social?(NewsWhip blog)
・Trump strongly considering Steve Bannon for chief of staff(CNN)
・Exclusive: Riding Trump wave, Breitbart News plans U.S., European expansion(Reuters)
・Breitbart Beats NY Times, CNN, and Fox News for Election Day Facebook Engagement(Bleitbart)



