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【読書感想】ポケモンGOは終わらない

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 『ポケモンGO』が登場した際、「なんで任天堂は自社でこれを作れなかったのか?」「同じようなゲームでキャラクタ—を変えた二番煎じゲームが、これから大量に出てくるに違いない」と言われていましたし、僕もそう思っていました。
 しかしながら、この本で、『ポケモンGO』が生まれた前提条件を知ってみると、簡単そうにみえて、なかなか他所では真似できそうにないのです。

 子供の頃、ポケモンのゲームやアニメで体験した「街中にポケモンがいる」という体験は、あくまで想像でしかなかった。だがポケモンGOでは、実際に「ポケモンが街の中にいる」という体験が作り上げられている。その体験が人々の熱狂を生んだ。子供の頃に感じていた「あの公園で集めたポケモン」という感覚をスマートフォンの中に再現したことが、ポケモンGOというゲームの一つの本質なのである。

(中略)

 ポケモンGOはまったく違う意味で「AR的ゲーム」である。それは、子供の頃ポケモンをプレイしていた時は脳内にあった。「街中にポケモンがいる」という状況を、実際の街の中に再現したことにある。ARの本質は、脳内の「妄想」が持つリアリティを、現実と考えられるほどまで高められるということにある、と筆者は考えている。ポケモンGOはスマートフォンという窓を介して、ポケモンの世界と現実を一体のものに感じられるようにした。その行為がなにより「AR的」なのである。

 「AR」というのは、Augmented Reality(拡張現実:現実の世界にCG(コンピュータグラフィックス)を重ね、本当はそこにないものを現実にあるように見せる技術)のことです。
 人気ゲームとそのキャラクターを使ったから、だけではなくて、子供の頃から触れてきた『ポケモン』の世界観が、スマートフォンという新しいツールによって、「現実」になった。
 これまでの歴史や思い入れの積み重ねが、大きな反響につながったのです。

 ナイアンティック社は、もともとGoogle(現在はアルファベット)の社内ベンチャーとしてスタートし、Googleの位置情報系のサービスの開発を行なっていたジョン・ハンケさんが中心となっている会社です。
 同社は『Ingress(イングレス)』という位置情報ゲームを2013年12月から運営しており、このゲームのユーザーたちによるさまざまな情報の集積が、『ポケモンGO』には活かされているのです。
 『ポケモンGO』には、精密な地図情報が不可欠であり、Googleの地図情報サービス(グーグルマップ)や『Ingress』でゲームユーザーが提供してきた「面白い場所」の情報を持つナイアンティック社だからこそ、開発・運用できたゲームだったのです。
 ちなみに、「位置情報ゲーム」は、ナイアンティック社が世界初ではなく、日本のガラケー時代、2000年代の前半にはすでに存在し、一定の人気を得ていたことを著者は紹介しています。  

 結果的に大ヒットとなった『ポケモンGO』ですが、ここまでヒットするとは、関係者も予想していなかったそうです。

 ポケモンGOが大ヒットには至らない、と感じられた理由は、漏れ伝わってくる「ベータユーザーからの反響」が芳しくなかったからだ。
 スタート時点でのポケモンGOをプレイしてみるとよくわかるが、その内容はきわめてシンプルなものだ。歩いていると出てくるポケモンに、モンスターボールをぶつけて捕まえるだけ……といってもいい。ポケモンGOのべータテスターのほとんどは、イングレスのヘビーユーザーだった。イングレスは複雑なゲームで、やるべきことがたくさんある。だから、「ポケモンを捕まえるだけ」のゲームであるポケモンGOを物足りなく感じたのだろう。その反応は間違いではない。
 だが、ここには重要なファクターが抜けていた。「ポケモンが街中に現れる」ことのインパクトと熱狂を予想できなかったのだ。
 イングレスプレイヤーにとってポケモンGOは既視感のあるゲームだった。それも当然である。ポケモンGOの中で使われるデータは、ほとんどがイングレスから得られたものであったからだ。

 ジョン・ハンケさんは、自分の子供が晴れた週末にずっと家にこもってゲームをしているのをみて、「もっと外の世界に目を向けてほしい。外には魅力的な場所がたくさんあるのに」と考え、子供たちを外で遊ばせるために、『Ingress』を開発したそうです。
 そういえば、任天堂が「ゲームボーイ」を開発したときに「友達どうして外で遊べるように」と横井軍平さんは通信機能をつけることにこだわった、という話をきいたことがあります。
 僕自身にとっても、子供と外に出て散歩(というか、子供には「ポケモン探しの冒険」なんですけどね)しながら『ポケモンGO』をやるというのは、とても新鮮な体験だったんですよ。
 「ガチャ」などもなく、課金が比較的緩やかであることも含めて、「お金儲けのために最適化」するのではなく、まずはユーザーに新しい体験を提供し、楽しんでもらおう、というサービス精神も、ポケモンGOが愛されている理由だと思います。
 ちなみに、ポケモンGOは、アクティブユーザーの数が現時点では圧倒的に多く、薄利多売のビジネスモデルになっているそうです。
 一部の重課金ユーザーに支えられている多くのソーシャルゲームとは、収益構造も異なっているのです。

 スタート直後の熱狂は薄れてきていますが、まだまだ、『ポケモンGO』の進撃は続きそうです。
 というか、僕も、もうしばらく子供と一緒に散歩できればいいなあ、と。

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