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- 2011年10月01日 16:59
【書評】睡眠はコントロールできる 遠藤拓郎・江川達也著
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睡眠はコントロールできる (メディアファクトリー新書)
僕は昔から睡眠について純粋に興味があった。なぜなら睡眠を自在にコントロールすることが出来れば、自由な時間を長時間取ることが可能になるからである。僕は最近、睡眠時間を1日平均1〜2時間程度減らすことは出来ないだろうかと毎日のように考えていた。仮に可能であれば、本を1、2冊余計に読むことが出来、有意義に過ごせると思ったからだ。しかしながら、現在の睡眠時間が大体6時間程度なので、これ以上減らすことは、集中力の低下を巻き起こし、仕事に支障をきたすのではないかと考え、チャレンジすることを断念していたのだ。だからこそ、医学的に正しい方法で睡眠時間を減らすことが出来るのであれば、挑戦する意義はあるのではないかという期待をこめて本書を購入した。
さて本書であるが、当初期待していた内容とは若干異なり、様々な種類の睡眠障害を抱えた患者とスリープクリニック院長を務める筆者との相談・解決という構成になっている(9つの相談と解決)。それに加えて江川達也氏が患者の心理を漫画という形で描写している。また最後の筆者と江川氏の対談では、江川氏らしい歯に衣着せぬ物言いで、自身が漫画化として睡眠時間と戦ってきた体験談や研究を踏まえて、意見や疑問を筆者にぶつけているのが興味を惹くのだ。
例えば「日本人が皆睡眠に悩まされずに、朝から元気で、遊びも勉強もビジネスもこなせる、そんなタフな民族になってもらいたい。睡眠をコントロールできるようになれば、悪い睡眠を治すだけでなく、自分のパフォーマンスを究極まで上げることができる」という筆者の崇高な理想に対し、江川氏は「それはわかります、でも上げたくない人は別に上げなくてもいいんですよね?」とサラッと返すのだ。その対談風景を思い浮かべると、読んでいるこちらの方がヒヤヒヤしてきて肝をつぶす。
本書の中で、特に興味を持ったのが、「睡眠時間を減らしたい」という患者の話である。その解決案として、筆者は4時間半熟睡法という筆者自身が考案した方法を患者に提供している。細かい説明は省くが、この時間にも意味がある上に、短眠法で重要なことは、睡眠時間をいかに削るかではなくて、いかに睡眠の質を高めるかということのようだ。だからこそ、適当な時間に4時間半睡眠を取るだけではダメで、適切な時間に適切な方法で行なわないと意味がないのだそうだ。これには純粋に興味が惹かれて実践してみようと気持ちがかき立てられた。
またもう1つ気になったのが「ストレスによる不眠」の悩みを抱える患者の相談である。彼は管理職としての人間関係によるストレスを感じ続けたせいか不眠となり、彼のコルチゾール(ストレスホルモン)は19.6(通常は5程度であり、10まであるとストレスがあると判断される。またバリバリのサラリーマンでも7.5程度)に達し、危険な状態となっていた。そこで薬による治療が試みられるわけであるが、こうした話には少々ゾッとしたのだ。なぜなら、僕自身、過度なストレスによる不眠を経験しており、他人事ではないと思ったからだ。経済状態は不安定であり、解雇リスクの高まっている昨今のサラリーマン事情を鑑みると、多くの人が参考になるのではないだろうか。
さらに本書に惹かれる理由は、その構成である。恐らく計算されていると思うが、9話の症状を抱えた患者それぞれが、様々な年代に分かれていて、さらに女性特有の症状まであり幅広いのだ。この影響から、例えば20代、30代の読者であれば、現在はある症状しか参考にならないかもしれないが、年を経て本書を再読し、当初参考にならなかった患者と同じような症状に罹っている可能性は十分にあり、長期的に参照出来る構成になっているのだ。
睡眠は僕らの生活に欠かせないもので、質の高い睡眠を取る事が出来れば、仕事の能率も上がり、余暇も有意義に過ごせるに違いない。裏を返せば、適度な睡眠が破綻することになれば、それは生活の破綻を意味することになるだろう。僕は本書を読むことによって、睡眠の重要性を再認識した。
本書では主に薬物による解決方法を試みているが、その点についても江川氏が鋭く疑問を投げかけている点が好感をもてる。恐らく本書の最大の目的は、自分の睡眠を厳しい現代社会に合わせるべきなのか、それとも僕らが余裕を持った生活を送り、社会を変えていくべきなのかを考えさせることなのだろう。あなたはどちらを選択するだろうか。
睡眠はコントロールできる (メディアファクトリー新書)
僕は昔から睡眠について純粋に興味があった。なぜなら睡眠を自在にコントロールすることが出来れば、自由な時間を長時間取ることが可能になるからである。僕は最近、睡眠時間を1日平均1〜2時間程度減らすことは出来ないだろうかと毎日のように考えていた。仮に可能であれば、本を1、2冊余計に読むことが出来、有意義に過ごせると思ったからだ。しかしながら、現在の睡眠時間が大体6時間程度なので、これ以上減らすことは、集中力の低下を巻き起こし、仕事に支障をきたすのではないかと考え、チャレンジすることを断念していたのだ。だからこそ、医学的に正しい方法で睡眠時間を減らすことが出来るのであれば、挑戦する意義はあるのではないかという期待をこめて本書を購入した。
さて本書であるが、当初期待していた内容とは若干異なり、様々な種類の睡眠障害を抱えた患者とスリープクリニック院長を務める筆者との相談・解決という構成になっている(9つの相談と解決)。それに加えて江川達也氏が患者の心理を漫画という形で描写している。また最後の筆者と江川氏の対談では、江川氏らしい歯に衣着せぬ物言いで、自身が漫画化として睡眠時間と戦ってきた体験談や研究を踏まえて、意見や疑問を筆者にぶつけているのが興味を惹くのだ。
例えば「日本人が皆睡眠に悩まされずに、朝から元気で、遊びも勉強もビジネスもこなせる、そんなタフな民族になってもらいたい。睡眠をコントロールできるようになれば、悪い睡眠を治すだけでなく、自分のパフォーマンスを究極まで上げることができる」という筆者の崇高な理想に対し、江川氏は「それはわかります、でも上げたくない人は別に上げなくてもいいんですよね?」とサラッと返すのだ。その対談風景を思い浮かべると、読んでいるこちらの方がヒヤヒヤしてきて肝をつぶす。
本書の中で、特に興味を持ったのが、「睡眠時間を減らしたい」という患者の話である。その解決案として、筆者は4時間半熟睡法という筆者自身が考案した方法を患者に提供している。細かい説明は省くが、この時間にも意味がある上に、短眠法で重要なことは、睡眠時間をいかに削るかではなくて、いかに睡眠の質を高めるかということのようだ。だからこそ、適当な時間に4時間半睡眠を取るだけではダメで、適切な時間に適切な方法で行なわないと意味がないのだそうだ。これには純粋に興味が惹かれて実践してみようと気持ちがかき立てられた。
またもう1つ気になったのが「ストレスによる不眠」の悩みを抱える患者の相談である。彼は管理職としての人間関係によるストレスを感じ続けたせいか不眠となり、彼のコルチゾール(ストレスホルモン)は19.6(通常は5程度であり、10まであるとストレスがあると判断される。またバリバリのサラリーマンでも7.5程度)に達し、危険な状態となっていた。そこで薬による治療が試みられるわけであるが、こうした話には少々ゾッとしたのだ。なぜなら、僕自身、過度なストレスによる不眠を経験しており、他人事ではないと思ったからだ。経済状態は不安定であり、解雇リスクの高まっている昨今のサラリーマン事情を鑑みると、多くの人が参考になるのではないだろうか。
さらに本書に惹かれる理由は、その構成である。恐らく計算されていると思うが、9話の症状を抱えた患者それぞれが、様々な年代に分かれていて、さらに女性特有の症状まであり幅広いのだ。この影響から、例えば20代、30代の読者であれば、現在はある症状しか参考にならないかもしれないが、年を経て本書を再読し、当初参考にならなかった患者と同じような症状に罹っている可能性は十分にあり、長期的に参照出来る構成になっているのだ。
睡眠は僕らの生活に欠かせないもので、質の高い睡眠を取る事が出来れば、仕事の能率も上がり、余暇も有意義に過ごせるに違いない。裏を返せば、適度な睡眠が破綻することになれば、それは生活の破綻を意味することになるだろう。僕は本書を読むことによって、睡眠の重要性を再認識した。
本書では主に薬物による解決方法を試みているが、その点についても江川氏が鋭く疑問を投げかけている点が好感をもてる。恐らく本書の最大の目的は、自分の睡眠を厳しい現代社会に合わせるべきなのか、それとも僕らが余裕を持った生活を送り、社会を変えていくべきなのかを考えさせることなのだろう。あなたはどちらを選択するだろうか。



