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米国株式市場大幅反発 ~ トランプリスクを見誤った市場

トランプ大統領が誕生すれば世界は同時株安に襲われる。

大統領選挙前の大方の予想をあざ笑うかのように、9日のNY株式市場は前日比256ドル高と大幅上昇となった。

トランプ大統領誕生を外した市場は、その後の市場の動きも外し、往復ビンタを喰った格好となった。

トランプ大統領誕生を予測できなかったのは仕方のないことだが、その後の市場の動きを誤ったのは市場参加者が陥りやすい思い込みによるものだったといえる。

トランプ大統領誕生が金融市場に悪影響を及ぼすという考え方は、クリントン候補が優勢であったという選挙前の世論調査結果が正しいものだという錯覚に引き摺られたものである。

大方の予想を覆す形でトランプ候補が45代目の米国大統領に選出されたという事実は、世論調査結果が誤りであったことを証明するものだった。

したがって、トランプ候補が勝利した時点で、選挙前の世論調査結果は誤った情報だとして切り捨て、トランプ大統領誕生を歓迎している国民の方が多いというように頭を切り替えるべきだった。

もし、米国国民の多くがトランプ大統領誕生を歓迎しているという発想の転換が出来ていれば、米国株式市場が言われているほど弱くはないことは想像がついたはずである。トランプ大統領誕生を喜んでいる人が多い中で、株価が大幅に下落するというストーリーは余りにも偏り過ぎたものだからだ。

また、トランプ氏が選挙期間中に示してきた経済政策を素直に捉えれば、トランプ大統領誕生直後に東洋経済オンラインに寄稿したコラム「トランプ当選で米国株は上昇の可能性もある~実は金融市場はトランプを拒否していない」の中で記した通り、「当面の市場が抱く期待と懸念を組み合わせると、トランプ大統領誕生は、株式市場にとってはプラス、債券市場にとってはマイナスに作用する可能性がある」という見方も出来たはずである。

重要なことは、これまで叫ばれてきた「トランプリスク」は2つの部分に分けて考える必要があるということ。

それは、「トランプ候補が大統領になれば、金融市場は大混乱に陥る」というものと、「トランプ大統領の経済政策は未知数だ」というものである。

これら異なった2つのリスクを、「トランプ大統領の経済政策が未知数であるから、トランプ候補が大統領になれば金融市場は大混乱に陥る」と合体し「トランプリスク」として一括りにしたことが、米国株式市場の予想外の展開を生んだ要因だったといえる。

ともかくも、「トランプリスク」のうち、「トランプ候補が大統領になれば、金融市場は大混乱に陥る」というリスクは杞憂に終わった。しかし、それを以てもう一つのリスクも消えたと決めつけるのも危険なことだ。後者のリスクはしばらくの間市場に漂い続けることになるからだ。

市場参加者に求められるものは、金融市場は常に変化していることだ。こうした変化に対応するために必要なのは、「べき論」を振りかざして市場の変化を拒絶するのではなく、自らが論理的思考に基づいて柔軟に変化していくことだ。


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