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小池都知事の大戦略と“小池塾” ―第2の「橋下改革」東京都で実現か― 屋山太郎

理事・政治評論家 屋山太郎


小池百合子氏が東京都知事を狙った政治的大戦略がそろそろ見えてきた。小池知事が狙っていたのはオリンピック開催の花になるというようなものではない。開催にまつわるブラック・ボックスを解明するのを動機に、都議会の無能、議会に操られているだけの知事職、以上を操って官僚政治をほしいままにしている都官僚。この3つの暗闇を暴いて、都政を開明しようというのが、小池氏の魂胆だった。

大阪で橋下徹氏が大阪府知事、大阪市長を歴任しているのを見ながら、小池氏が首をかしげていたのは、大阪で行われた職員の規律を正した教職員条例と職員条例が、何故東京でできないかだった。石原慎太郎知事が誕生して東京でも日の丸・君が代斉唱の行事がまともに行われることになったが、大阪の規律の厳しさは東京都の比ではない。もともと大阪で行われているのが規律の基本なのだ。地方の教職員も職員も本来、政治活動は許されていないのに、地方公務員法に罰則が規定されていないために野放しだった。橋下氏はその罰則を条例で作ったのである。

この作業の最中、安倍晋三氏も勉強のために大阪に通い、松井一郎、橋下徹両氏と親交を深めた。都選出の小池氏は、何故同じことが東京でできないかとひたすら探ってきた。何故条例ができないかは、都議会を牛耳る都連と在日韓国人の団体、更に北の朝鮮総連との癒着があると言われている。韓国に「神楽坂の一等地を貸すな」と住民が陳情しているのに、時の知事、舛添要一氏は「貸す」の一点張りだった。

韓国の団体との癒着があれば、都の教職員や自治労の団体を動かして、規律を正すわけにはいかない。橋下氏は大阪自民党を見切って独自の政党「維新」を旗上げし、独自路線を邁進したからこそ、日教組、自治労の大阪別動隊を叩き潰すことができたのだ。

小池氏の発想の凄いところは、オリンピックのブラック・ボックスを見て、ここに手をつけることによって、都官僚の首脳の何人かを血祭りに上げ、都議会にもショックを与える。小池氏は都議と都官僚の関係を粛正し、都議の給与見直しなど第2の“橋下改革”を構想しているようだ。実際、東京都の天下りなどはかつての中央官僚の酷さどころではない。税金の掴み取り状態だ。

橋下氏は9月24日の「維新」の政治資金パーティで、小池知事について「(都民の)支持を得て頑張っている」と評価、しかし「知事1人では改革はできない。やはり議会でグループが必要だ」と述べ“小池新党設立”に期待感を示した。

小池新党は自民党に対するいわば“切り札”だ。都の自民党が都教師や職員に対する改革に積極的であれば、改革は都連と知事の合策でできるだろう。しかし合策に合意と見せかけて、改革案を否決すれば小池氏はまんまと騙されることになる。大阪府は新党結成に踏み切り、維新が37を取って第1党になったが、自民の20は野党に下った。“小池塾”には3000人も集まっている。せめて第1党を目指さないと、改革は困難だと見る。

(平成28年11月9日付静岡新聞『論壇』より転載)

屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。
著書に『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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