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- 2016年11月08日 07:00
社長から「副業したら?」と言われてショックだった──会社一筋の執行役員が副業を始めた話
2/2副業の難しさは「時間管理」にある

「インクルージョンな社会を実現する」というやりたいことが見つかってから、お仕事として実際に動くまで時間はかかったのでしょうか?

「やりたい」と思ったことをすぐにできたわけではなかったです。スキルが必要だろうし、なにより市場への認知がゼロの状態からアピールしなきゃいけないので。

認知度は、どうやって高めていったのでしょう?

Facebookをやっていましたので、最初はそこで副業の準備をしていることなどを書いていたのですが、「ブログにしたらいいよ」と助言をもらい、そこからブログでの発信も始めました。ブログだとネット上の検索にもヒットしますし、後で見返すことが容易になるので。

やはり個人が発信するとなると、SNSやブログがスタートなんですね。大変だったところは、どういったところでしょうか?

時間の捻出ですね。本業であるサイボウズの仕事もして、個人事業主の登録などの事務手続きもしながら、どのような事業をすべきか考え、情報発信をしないといけなかった。時間管理が本当に大変でした。

月曜日から金曜日まで毎日出社はしなければなりませんもんね。土日に時間を作って、まとめて行っていたのでしょうか?

サイボウズはクラウド上で仕事を管理しているので、電車や家でも本業の仕事はできるんです。だからこそ、副業の時間は意識して作らないといけない。土日にまとめてというよりは、30分早く起きてその時間は本業のことを考えないなど、いろんな隙間時間を使って、頭を切り替えていました。
副業を経て気付いた「仕事へのコスト意識」

青野さんから副業の提案を受けてから10カ月、今はどんな仕事をされていますか?

9月1日から、福岡県久留米市にある障害者支援会社「有限会社 Taka.Co」と業務委託契約を結んで、顧問という形で経営コンサルに入っています。

どのような会社なのでしょうか?

普通、障害者支援事業は、「社会福祉法人」として、税金がかからない形で運営するところが多いのですが、そこは会社形態で、障害者の就労継続支援や訪問介護、介護保険タクシー事業などをしています。

どういった経緯でお仕事が始まったのでしょうか?

その会社の経営者さんとは以前からFacebookでつながっていて、「一回見に来てください」と言われて、この夏に久留米市まで行ったんです。話を聞いてみると、本気で久留米市から日本の障害者支援業界を変えようとしていました。その姿勢に共感して、一緒にお仕事をさせてもらうことになったんです。

順調に進んでいるように感じますが、副業を進めていく中で、気付いたことはありますか?

当たり前ですが、本業だと自分が仕事をする範囲は限られています。でも副業は、全て自分でやらなきゃいけません。営業して、経理もやって、請求書や資料も作る。そうした業務全体にコスト意識が生まれたのは、会社員だけをやっていたらなかなか気付かなかったでしょうね。 なので、時間の使い方が副業前までよりもうまくなった気がします。無駄なことはしない、するべきじゃない。本業でもかなり効率を求めて動くようになりました。
「今の彼のほうがいい」。青野さんが松村さんに感じた変化

副業前後で松村さんが特に変わったなと思うところはどこですか?

仕事に対する覚悟感が全然違うと思います。彼はエリート出身で頭が良くて、ある意味そのままのルートをまっすぐいけた人なんですよ。でも副業という選択をしたことで相当価値観を変えられたんじゃないかと思います。今の彼のほうがいいですよ。1年前と比べたら。目の輝きが。

9月に入ってからは久留米市にある会社さんとお仕事が始まったことも伺いました。提案した立場として、副業先が決まったときは安心されたんじゃないですか?

着実に成長している、という意味で安心しました。ちゃんと難しさに気づき、その中でどうやって解決策を探していくのかを自分で考えながら進めている。お金の動きも、時間の使い方も、本業では学べないですからね。自分の時間だけじゃ足りない、じゃあ誰の時間を借りようか? 誰の知恵を借りようか? 人にも目が向くようになると、人脈も広がっていきます。その変化を感じ取れたので、このまま続けばさらにステップアップすると確信しました。
「副業で実感したメリットは?」「サイボウズ一筋じゃなくなったことかなぁ……(笑)」

副業を始めて、現在までで実感されたメリットや変化はありましたか?

サイボウズ一筋じゃなくなったことかなあ……(笑)

え! それ言っていいんですか!(笑)

いい意味で、ですよ(笑)。外に出ると見えてくるものがあるんだなあと思いました。あとは、自分のやりたいことを、サイボウズとは別のアプローチでできるチャンスが生まれた。これもすごく大きなメリットだと思いました。


新たな視点が加わったことが、財産になっているんですね。

所属するチームがこれまで「家庭」と「会社」しかなかったところに、もう1つ加わったんです。今までは2つじゃなきゃいけないってどこかで決めつけていた。でも3つになったらいろんな見方ができるし、安心感がある。

安心感はどこから来るのでしょう?

サイボウズで必要とされている自分とはまた違った自分を必要としてくれる。そのことへの安心感でしょうね。サイボウズの自分が100%じゃなくなった。「こういう松村も必要とされている」と実感できるのは、新しい居場所ができたようでうれしいんです。

最後の質問です。松村さんは、副業を万人に勧めますか?

万人には勧めないですねえ。

ご自身でやられてメリットがあったのに?

副業は合う人・合わない人がいる気がするんです。ある程度自立していないと難しいですし、本業が回せなかったらやるべきではないと思いました。でも、万人に勧めたいのは、「自分が本当に何をしたいのかしっかり考えておくこと」。 僕が副業の提案を受けて苦労したのは、「何をしたらいいか」で悩んだ部分だったので。そこをあらかじめ考えていれば、僕みたいな「自分探し」する無駄な空白時間は作らなくて済むと思います(笑)。

そのうえで選択肢が会社に居続けることなのか、転職なのか、副業なのかを改めて考えればいいということですね。ありがとうございました!
執筆:カツセマサヒコ/写真:横山英雅/編集:プレスラボ



