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年金をめぐる諸問題

  第1次安倍政権下の07年、年金記録5千万件が未統合になっている「消えた年金問題」が発覚しました。が、公政権の対応は後手に回り、国民の年金制度への信頼が大きく失墜しました。

  09年に発足した民主党政権では「消えた年金問題」の解消に精力的に取り組み、未統合の年金記録5千万件のうち、2015年8月までに3084万件の記録を解明し、1848万件を統合したことにより、約2.6兆円の年金給付額を回復させました。

  しかし、第2次安倍政権が2014年10月から行っている年金積立金の株式運用比率の倍増は、多額の運用損を出していますが、その回復は容易ではありません。

  2015年度の運用損は5兆3098億円でした。今年4月から6月も、イギリスのEU離脱問題による株式下落の影響を受けて、5兆2342億円の運用損が出ました。わずか1年3か月の間に、10兆円超の巨額な損失を出したことになります。やはり、年金積立金の株式運用倍増を改め、株への投資を減らし安全な運用に切り換えるべきでしょう。

  野田政権が取り組んだ「社会保障と税の一体改革」の中で、年金に関しては、

    ① 基礎年金国庫負担割合2分の1の恒久化
    ② 年金生活者支援給付金の創設
    ③ 受給資格期間の25年から10年への短縮
    ④ 被用者年金一元化
    ⑤ 短時間労働者への適用拡大(対象約25万人)
    年金給付特例水準の解消
    ⑦ 厚生年金の産休期間中保険料免除
    ⑧ 遺族基礎年金給付対象に父子家庭を追加

などの法改正を行いました。

  このうち③の年金受給に必要な保険料の支払期間を25年から10年に短縮する措置は、安倍政権の消費税の10%への引き上げ延期により、先送りされてしまうことが懸念されていました。しかし、民進党が消費税引き上げを待たずに実施することを強く主張したことで、「無年金者救済法案」として今臨時国会に提出され、11月1日衆院本会議で可決されました。これは約64万人の無年金者にとって大きな前進であり、巨大与党に対して野党の提案が実現した特筆すべき成果です。

  同じ日に「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」の審議が始まりました。この法案には物価が上がっても賃金が下がれば年金額を減らす規定がありますので、私たちは「年金カット法案」と呼んでいます。

  年金の最低保障機能を危うくする法案ですので、政府は審議の前提となる十分な試算を公表すべきです。ところが、政府は将来にわたって賃金が下がらないことを前提にした試算を提出するなど、国会を、そして国民を、バカにしています。「年金カット法案」は、間違いなく与野党激突法案になるでしょう。

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