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シンポジウム「検察・世論・冤罪II」まずはその裏話から

 皆様、一昨日はありがとうございました。

 そして、今回のサプライズ・ゲストの羽賀研二さん、ありがとうございました。
 羽賀さんは、当初、無罪を確信されていたこともあって、無罪なら出演するという条件でしたが、有罪になってしまったせいで、かなりの心労がおありだったようですが、その中を、よく出てきていただけました。

(えー、それで、なんで羽賀さんが、有罪判決後はじめて公の場で発言する場として、このシンポジウムに出てきてくださったかは、ご想像にお任せします。ヒントは、羽賀さんは、5月22日のテレビ朝日「ザ・スクープSP」をリアルタイムでごらんになっていて、感動されたんだそうです)

 で、前回、それまで暴言検事として世間のバッシングを浴びていた市川寛さんが語られた、まさに加害者もまた被害者で、真の加害者は別にあったという事実と、その過程の生々しさのあまりのインパクトに、議論がすべてそちらに持っていかれ、時間切れになってしまったことから、続編が待たれていたのですが、それにしても、今回も急だったのは、羽賀さんの判決があったからでした。

 すでにシンポジウムをごらんになった方はご存じでしょうが、この事件にも逆転の構図があります。
 そもそも、この事件は詐欺として立件するべき事件なのか? 詐欺だとしたら、誰が誰を騙していたのか? 恐喝していたのは誰でされていたのは誰なのか?

 そして、最大の問題点として、弁護側証人の証言が無罪の決め手になるというそのときに、検察がその証言について法廷で信用性を争うことなく、証人を偽証で起訴し、有罪にするとはどういうことを意味するのか?
 これは司法の根幹を破壊しかねない行為ではないのか?


 この問題の重要性に注目して、前回、パネリストとしてご参加の郷原信郎弁護士山下幸夫弁護士山口一臣さん、岩上安身さんに加えて、新たに、足利事件主任弁護人佐藤博史弁護士と、郵便不正事件主任弁護人弘中惇一郎弁護士にも参加して頂けることになりました。

 うわあ、なに、この豪華メンバー。

 さて、そういいましても、メキシコから、私が戻ってきたのが月曜夜。

で、郷原先生が
「検察側の言い分もきちんと知っておかないと公平性が担保できないですから」
と裁判資料を取り寄せて分析する、とおっしゃっていたのが水曜日の夜のこと。
 あのー、前日なんですけど。それに裁判資料って、ものすごい分量あるんですけど。(紙の厚さにして5cmぐらい)

 しかしそれはもちろん冗談とか希望的観測などではなかったのです。その翌朝、つまりシンポジウム当日朝になって、電話がかかってまいりました。

「検察の資料全部読みましたが、やはり、検察の言い分もきちんと紹介するべきです。そして、先ほど佐藤弁護士とお話ししましたが、(羽賀さん弁護人の)後藤弁護士から弁護側資料を取り寄せて研究したとおっしゃっていますので、私が検察側の言い分を代弁し、佐藤さんが弁護側を代弁するという形式にしたいと思います」
と、ほぼ、一方的に言い渡されたのでした。

 えええ、すごい、なにそれ、お二人とも超人? (゚O゚)

「あのう、それでは、事件の概要はどの先生が説明してくださるのですか」
「そうなると、私では無理ですね。弘中先生は中座されるのでコメントをいただくだけだし、山下先生は佐藤先生の側で補完される立場でしょうから、やはり、羽賀さんを連れてこられる八木さんがされるべきでしょう」

 え。(゚_゚;)

 携帯握って青ざめるあたくしをよそに、郷原先生だけがにこやかに、
「私が検察側で、佐藤さんと山下さんが弁護側.....となると、市川くんの役回りはなにかなあ。無理筋の案件おしつけられて困惑する現場の検事ってとこですかね。ははははは」

....この時のあたくしの表情は、おそらくマンガでしたら、顔の上半分に縦線が入っている状態だったと思います。
 ということで、当日の朝10時過ぎに青くなりましたが、なんとか重責をつとめらましてほっといたしました。
 そのような事情で、至らぬ点が多かったかと思いますが、どうぞご容赦ください。

 で、シンポジウム。
 まず、羽賀さん自身が、自分の言葉で自分の事件を語ります。

 よく行っていたカフェで未公開株の情報を得て、株式公開すればそれが数十倍になると聞かされ、一攫千金を夢みて資産をつぎ込み、さらに、借金までして株を購入したこと。
 その借金先の社長A氏に、借金の理由を聞かれ、その株を譲渡してほしいと言われ、売ったこと。そして、その後、問題の会社が倒産したことで、A氏から暴力団を使った過酷な取立に遭っていたこと。弁護士を立ててなんとか和解にこぎつけたと思っていたら、いきなり逮捕されて、何が何だか判らなかったこと。
 そしてなにより、自分の無実を証明してくれた証人、徳永氏が偽証罪で「自分のせいで」有罪になってしまったこと。自分はともかく、これだけはなんとかしてほしい。

 羽賀氏の言い分というわけですが、それはそれで整合性のある話ではあります。
 これに引き続き、弘中先生が、この事件についてはよく知らないので何とも言えないと前置きされた上で、偽証罪で弁護側証人を逮捕するということの不当性と冤罪を作りやすい人質司法、つまり、いわれなく逮捕されて無罪を訴えれば訴えるほど、罪証隠滅や逃亡のおそれがあるとされて長期に勾留され、事実でなくても検察官の言い分を認めれば保釈がすぐに認められるという問題、をカミソリのような舌鋒で厳しく弾劾されます。

 とりわけ、証人への偽証罪適用の問題は、弁護側証人に対する威嚇として、人質司法以上に悪質であると。また、密室の取調室の中で、検察が検察に都合の良いストーリーの調書を作り、署名を強要する。そのような調書が起訴の理由とされ、裁判でも最有力の証拠として扱われる調書中心主義の問題。さらに検察のリークによって、メディアが被疑者を犯罪者視した報道を垂れ流す問題などが鋭くコメントされます。

 で、ここまでだけでは、羽賀事件がよくわからないと思われますので、続いて、あたくしが事件の概要を説明させて頂きました。(続く)

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