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インタビュー:米大統領選など控えインフレ連動債買い増し=JPモルガンAM

[東京 4日 ロイター] - 米資産運用大手JPモルガン・アセット・マネジメントの債券部門のボブ・マイケル最高投資責任者(CIO)は、米大統領選など多くのリスクイベントを控える中、インフレ率上昇に備えて米物価連動債(TIPS)と現地通貨建て新興国債を買い増したと述べた。その上で、今後1カ月間に訪れる値上がり局面では保有債券の金利リスク低減を図る考えを示した。

同社は、ニューヨークに本社を置く金融サービス世界最大手、JPモルガン・チェース<JPM.N>の資産運用部門で、9月末の運用資産残高は1兆7719億ドル(約185兆円)。うち、マイケル氏が率いるグローバル債券・為替・コモディティー運用部門の資産残高は4544億ドル。

インタビューは同氏が来日中の2日に実施した。概要は以下の通り。

──現在の相場観、および直近のポートフォリオ組み替え状況について。

「今年も終盤になり、マーケットは現在4つのポイントを消化しているところだ。すなわち、年初の予想よりも堅調な経済成長、原油価格の持ち直しがもたらす物価上昇、財政刺激策実施への期待の高まり、主要中銀が金融緩和姿勢を弱めるとの観測だ。総合的に勘案すれば、利回り上昇に合わせて債券価格が今後調整することに驚きはない」

「その中でわれわれが保有ポートフォリオに対し取ったアクションは3つ。いずれも過去1カ月以内、大半はここ2─3週間とごく直近の投資行動だ」

「1つ目はTIPSを買い増した。先述の通り、インフレ率の上振れ期待が高まり実質利回りが上向き始めるとの見方に基づき、インフレ連動債に投資妙味を見いだした。われわれはブレーク・イーブン・インフレ率(普通国債とTIPSの利回り格差、BEI)が1.5─1.58%を付けた局面で買い入れを行ったが、来年初めにはこれが2.25%近辺まで上昇すると見込んでいる」

「2つ目は、現地通貨建て新興国債券を買い増した。(年初見通しと異なり)経済成長がそこそこ見込める状況となったこと、また新興国通貨が大きな調整を経たこともあり、魅力的に映った。エネルギー価格の安定を受け、先行きは成長率と通貨の双方に上昇余地があるとみる。新興国債は実質利回りの高さが魅力の一方で為替リスクが難点だが、今は為替リスクを取るのに適したタイミングと判断した。インド、インドネシア、ロシアについては7─8%、ブラジルに至っては12%超の利回りを享受できる。為替リスクを取っても、当社の予想通りに新興国通貨が対先進国通貨で上昇すれば、さらに数%の利回りが得られる計算だ」

「最後に、保有債券のデュレーション(平均回収期間、金利変動に対する価格感応度の指標)を短期化する機会をうかがっている。短期的にはやや売られ過ぎの感もあり、向こう数週か1カ月以内には価格が反発する局面があると見込む。価格が上昇するところをとらえ、少しずつポートフォリオのデュレーションを短くしたい」

──このタイミングで組み替えた理由は。

「これらの行動はいずれも、12月にかけて多くの(リスク)イベントが待ち構えていることに対する、われわれなりの備えだ。FRB(米連邦準備理事会)は25ベーシスポイントの利上げを行う公算で、ECB(欧州中央銀行)は量的金融緩和の期間を延長しつつも資産買い入れの月額を減らしてテーパリング(段階的縮小)に踏み切るだろう。そして米国には新しい大統領が誕生する。それが誰であれ、公約に財政刺激策を掲げる人物であり、さらにその頃にはエネルギー価格の対前年比下落率が約60%改善する(ほぼゼロになる)」

「つまり、これから数週の間に多くのことが起きる。むろん大統領選はその一つだが、それを含むいずれもが経済成長率とインフレ率の押し上げにつながるイベントだと言える」

「ただし、それらがもたらす成長ペースと物価上昇率の加速は景気循環に即した動きではなく、実際は人々の恐怖心に起因するものだ。このため、2017年半ばになれば様々なことが落ち着くだろう。われわれは、この恐怖心こそが買いの好機を生むと考えている」

──米大統領選を来週に控え、マーケットでは急速に「トランプリスク」が意識されている。

「たしかに(大統領選の)世論調査結果は拮抗しているが、実は(全議席が改選となる)下院選についてはかなり差がついている。目下、国民の関心も議会選に向いているが、下院は共和党が制しそうな勢いだ」

「ここで重要なのは、大統領が成立を望む法案は必ず下院を通過する必要があるという点だ。たとえクリントン候補が選ばれても、下院が共和党支配であれば法案は否決されるだろう。一方、トランプ氏が大統領になった場合、彼が主張する極端に保護主義的な法案はやはり通らないだろう。ゆえに、大統領選は短期リスクにとどまると考える」

(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)

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