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ワーキングメモリの概要

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久しぶりのブログ更新ですが、少しテクニカルな内容を記載する。関心ない人は飛ばしてください。

ワーキングメモリ



認知心理学の分野で使われる構成概念である。作業記憶、作動記憶と呼ばれる場合も多い。思考や認識、課題作業時に一時的に情報を保持し、さらに保持した情報を選択、操作するための過程や構造である。脳機能・解剖額的には前頭前野を制御処理の中心に頭頂葉、側頭葉、後頭葉、大脳基底核、辺縁系などと相互に連絡しながらリカーシブに機能する機構であると考えられている。ワーキングメモリ研究は脳損傷例における症例分析から、イメージング課題研究、またはサルを使用した破壊実験など多様な方法で行われている。近年では自閉症、アスペルガー障害、ADHD、学習障害、などの発達障害との関連も注目されており、臨床・指導的意義の大きい研究分野となっている。人の志向性が高い思考に当たる過程と考えられ、『知性の座』としてたとえられる場合もある。(注)研究領域の違いによっては、単に短期記憶と呼ぶ場合も多い。

ワーキングメモリ



認知心理学の分野で使われる構成概念である。作業記憶、作動記憶と呼ばれる場合も多い。思考や認識、課題作業時に一時的に情報を保持し、さらに保持した情報を選択、操作するための過程や構造である。脳機能・解剖額的には前頭前野を制御処理の中心に頭頂葉、側頭葉、後頭葉、大脳基底核、辺縁系などと相互に連絡しながらリカーシブに機能する機構であると考えられている。ワーキングメモリ研究は脳損傷例における症例分析から、イメージング課題研究、またはサルを使用した破壊実験など多様な方法で行われている。近年では自閉症、アスペルガー障害、ADHD、学習障害、などの発達障害との関連も注目されており、臨床・指導的意義の大きい研究分野となっている。人の志向性が高い思考に当たる過程と考えられ、『知性の座』としてたとえられる場合もある。(注)研究領域の違いによっては、単に短期記憶と呼ぶ場合も多い。

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(図、ワーキングメモリ操作中の脳活動画像)

概要



ワーキングメモリは会話や文章の理解、暗算、判断、日常の推論などさまざまな認知活動に重要な機能である。「作業、作動記憶」と呼ばれる場合もある。ワーキングメモリの機能を簡単に説明すると『ある認知活動に必要な情報を一度、保持すると同時に、必要に応じて保持している情報の処理を行うメカニズム』と言えるかもしれない。記憶の一種で短期記憶に属するものであり、我々の生活で日常的に使われている身近な認知機能と言える。ようは意識して頭の仲で考えている状態、会話や映像、過去の記憶を思い出したりしている状態がワーキングメモリ内で情報を操作している状態である。

 例えば、誰かと会話をしている時、相手の話した言葉を理解するためにワーキングメモリが使われている。いくつかの買い物をしたとき、合計金額を計算したり、おつりの金額を計算したりするときにも使われているだろう。いろいろな計画を立てたり、物事の判断や意思決定を行う志向的な思考においてワーキングメモリは不可欠な働きなのだ。

 ワーキングメモリとは、たとえてみると、ある報告書を書くために作ったたくさんメモ書きのようなものかもしれない。報告書を書くためには、必要な本や資料やデータを書棚などから取り出し、必要な部分をメモ用紙に書きとめたり、必要なページを開けておき、そこに書かれている内容をもとに、作文をしていく必要がある。メモ書きはその作業にとっては不可欠なものであるけれど、作業が進行していくと不必要なものになり、新たな内容のメモ書きが必要となる。このように必要に応じてさまざまな資料を探し、必要なメモを作成しながら本文を作成していく、という作業により我々は報告書を作成する。またワーキングメモリの中で長期記憶の中から取り出した必要な情報、感覚系を通して取り入れた外界の情報を元に、計画を練ったり、判断したり、選択したりする場合もある。さまざまな認知活動を行うために必要ないろいろな情報を操作、保持しておく脳の中のメモ帖がワーキングメモリと言えるだろう。


このようにワーキングメモリとは、作業に必要な情報を、必要な時間(数秒〜数分程度)、ある種のプロセス(リハーサルプロセス)などを働かせて能動的に保持するメカニズムである。しかし作業に必要な情報は作業の進行に伴い変化していくため、保持している情報を常に、置き変え、更新する操作・処理が必要となる。その保持に伴う役割をワーキングメモリが担っていると考えられる。私達は日常生活の様々な場所で、このよう処理を行っているのだ

モデル理論



ワーキングメモリがどのように機能しているかに関しては、神経学的・認知心理学的なさまざまなモデルが提案されている。その中で特に有名なのは以下の3つではないだろうか。

Baddeleyのモデル



今広く用いられているワーキングメモリの概念を、1974年にグラハム・ヒッチと共に唱えたアラン・バデリーは、ワーキングメモリを言語理解、学習、推論のような複雑な認知活動のために必要な一次貯蔵や操作を供給するシステムであり、さまざまな活動や課題の要求に柔軟に対処できる性質を備えたものである」と説明した。彼は入力された情報が時間と共に少しずつ消えていくような不安定な貯蔵方法を受動的貯蔵と呼び、一方、リハーサルや注意などにより入力された情報を、ある期間積極的にに、しかも安定して保持する方法を能動記憶と呼んで区別した。そしてワーキングメモリはリハーサルや注意など能動的なプロセスにより情報を貯蔵・操作するので後者に分類される。

彼はワーキングメモリ、を説明するために以下図解する4つのプロセスからなるモデルを提唱している。
 
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①音韻ループ

音韻ループは、会話や文章理解などの言語的な情報処理に関わる機構である。心の声、内なる声などといわれていることもある。私達はいろいろな情報を音声・言語で表現しており、それを脳内で繰り返すことにより一時的にそれら音韻情報を保持・再生することが出来ると考えられている。簡単に言えば声や音を頭の中で思い浮かべている状態である。

 話された言葉や音楽はそのままでは時間の中で消え去ってしまい、その内容を理解するには一度その内容を単語や文として保持する必要がある。例を上げると、以前に聞いた音韻情報を脳内で再生する時は、声や音楽が心の中で再現されている時である。これら機能を音韻ループが担う機能と定義される。詳細に分けると音韻ループは、言語情報の特定的処理に関与する2つの成分からなると考えられている。1つは、音韻貯蔵(phonological store)であり、これは、2,3秒間で減衰する音響的あるいは音韻的なかたちの記憶痕跡を保持する。もう一つは調音リハーサルであり、内言的性質をもつ。調音リハーサル部の機能は、音韻貯蔵部に保持されている内容をリハーサルし、再調音して記憶痕跡をリフレッシュすることである。また音韻貯蔵部の容量は、利用可能な時間内に調音できる項目数によって制限される。

②視空間スケッチパッド

言語化できない様々な情報は、視覚イメージとして一次的に保持、操作することが可能である。頭の中で映像イメージで想起・思考を展開させている状態がこの視空間スケッチパッドの機能にあたる。映像や画像で頭の中で思い浮かべている感覚がこれに当たると考えれば良い。視覚的空間スケッチパッドは、視覚的、空間的情報の維持と操作に関連すると考えられている。これには、空間情報と視覚情報を扱う独立した2つの部分が存在すると考えられている。これらは、それぞれ独立した貯蔵部と維持・操作機能をもつとみられている。また、音韻ループになぞらえて、視空間スケッチパッドにも、visual cache と呼ばれる受動的視覚貯蔵部と、inner scribe と呼ばれる動的空間リハーサル部が存在すると考えられている(Logie,1995)。視覚ワーキングメモリーは、通常3つから4 つの特徴を扱うことができるが、場合によっては16 以上の特徴を扱うことも可能であることから、それらの特徴が統合された対象(object)のかたちで情報を保持していると考えられる。単純な課題ではより多くの特徴を扱うことができるが、複雑な課題になると扱いうる特徴の数は減少する。また特徴結合そのものは概ね自動的に行われるが、後続の処理によって容易に妨害されてしまう(Repovs and Baddeley,2006)。我々の視覚的世界(見え)は比較的安定しているが、これは視覚ワーキングメモリによって支えられていると考えられる。ある場面のごく一部に変化があっても、我々はそれに極めて気づきにくい。その変化を検出できるのは、何らかの関心を持つ領域に限定されるのである。入力情報の視覚ワーキングメモリへの転送は、経験などに基づくトップダウン的処理の影響を受けることが知られているが、他方で視覚的手がかりといったボトムアップ的処理の影響も受ける。知覚はトップダウン的処理とボトムアップ処理の双方の影響を受けながら成立する。視覚ワーキングメモリは、視知覚が成立する“場所”であるといえるかもしれない。認知に関わる障害において、視知覚成立に向けたトップダウン的処理とボトムアップ的特徴の影響のあらわれかたに差異が生じうる(室橋,2008)。そして、視覚ワーキングメモリは、知覚のみならず視覚的イメージにも密接に関連している。

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