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乃木坂46の橋本奈々未さんが両親に家を買った理由。

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■つかみ合い寸前の大ゲンカから透けて見えた「もう一つの人生」。

映画ではメンバーがケンカをするシーンがある。デビュー当初、センターを務めていた人気メンバーの生駒里奈さんと、同じく人気メンバーの松村沙友理さんだ。16人のプリンシパルという舞台公演の控室で、つかみ合い寸前というほどの大ケンカが描かれている。

ただ、そのケンカシーンは双方とも興奮していて何を話しているのか理解できない。松村さんは大学がウンヌンと話しているが、事情を知らない人には訳が分からず、生駒さんも泣きながら怒りつつ松村さんを諭すようなことを話しているのだが、感情が高ぶり過ぎて何を話しているのか全く分からない。

あれは一体なんだったんだろう……? と見終わってから調べてやっと意味が理解できた。

大阪出身の松村さんは看護大の受験を控えていたが、その状況でオーディションに合格して上京した。ケンカで口にしていたことは大学受験を辞めてまで上京して来たのに全然上手くいかない、と嘆いているようだった。特にこの舞台はその日その日で観客が前半を見た上で人気投票を行い、その結果で後半の配役が決まるという、なんとも滅茶苦茶な仕組みとなっている。極限状態で不本意な結果に我を忘れるほどショックを受けていたようだ。

生駒さんもまた、秋田県出身で高校入学から数か月後にはオーディションで合格するとすぐに上京した。過去には高校の卒業式にサプライズで乃木坂46が登場し、「君の名は希望」という楽曲を披露する企画があった。ただ、サプライズが大成功したにもかかわらず企画の終了後に生駒さんは控室でボロボロと泣いていたという。

卒業生と自身と重ねたのか「高校に入ってすぐ上京したから私には思い出がない、卒業生が羨ましい、私も卒業式に芸能人が来てほしい……」と嘆いていたようだ(乃木坂ってどこ? テレビ東京 2013/03/17))。

自身が芸能人である生駒さんがそんな話をしているのだからバラエティ番組としては笑う所なのだが、色々な背景を知るととても笑う事はできない。

詳細は映画を見て貰えればと思うが、二人ともグループ加入前に芸能活動の経験も無く、右も左も正解もわからない状況で苦悩し、苦闘している中での衝突だったのではないかと思う。


君の名は希望 2013/03/13

■もう一つの人生を抱えるメンバーたち。

後からやっとケンカの背景を多少なりとも理解出来すると、何ともヘビーな人生だなと思わざるを得なかった。生駒さんも松村さんも現在は人気アイドルとしてキラキラと輝くほどに活躍をしているが、まるでその影のように「もう一つの人生」「もう一人の自分」を抱えている。

松村さんはオーディションに不合格だったなら看護大に入学して今頃は看護師として働いていただろう。生駒さんも乃木坂46に入らなければ地元の高校を出て、就職するなり大学に進学するなり平凡な人生を歩んでいたかもしれない(短大を出て保母さんになりたい、という希望もあったそうだ)。

これは「もし自分が野球選手になっていたら」といった妄想とは、似ているようで全く違う。野球選手は99%以上の人が本気で目指しても実現不可能な夢のまた夢だ。しかし2人の場合は確実にありえたごく普通の人生から大きく外れて、大抵の人が夢で終わるアイドルとなり、日本で一二を争う人気アイドルグループのメンバーとなった。しかも後戻りすることはもうできない。

やりたい事を自ら望んでやっているのにぐちぐちと文句を言うなんておかしい、という人には分からないかもしれないが「夢が叶った後の苦労」は逃げ場が無く言い訳もできない分だけ余計に苦しい。映画で描かれたケンカは同じ立場のメンバー同士だからこそ本音をぶつけられたのだろう。

映画でスポットライトがあてられたのは多数のメンバーの中でもごく一部だが、全てのメンバーが多かれ少なかれこんな思いを抱えているのかもしれない。

傍目には成功しているように見える人気アイドルでも、何か失敗や挫折があるとふいに自身の影、あるいは分身のように抱えている「アイドルにならなかった自分」が脳裏に浮かぶのだろうか。これはきっとタレントとかスポーツ選手とか、スターと言われる人にしかわからない感覚なのだろう。

友人に勧められた際にはドキュメンタリー映画なんて見せても大丈夫な所を編集してるだけだろう、くらいに思っていたのだが、ここまで見せるのか……と初見の人間でも興味深いと思わされる、乃木坂46にファンがたくさんいるのも当然と感じる内容だ。



悲しみの忘れ方 2015/10/28 (ドキュメンタリー映画表題曲・「今、話したい誰かがいる」収録)


サヨナラの意味 2016/11/09 (橋本奈々未さんセンター曲&卒業曲)


悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46 2015/07/10 (映画の予告編)

※後編に続く。

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中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー
シェアーズカフェ・オンライン 編集長
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