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クリントン氏メール問題、早わかりQ&A

米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は10月28日、民主党大統領候補のヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に私用メールサーバーを公務に使っていた問題について、捜査に関連する一連の電子メールを新たに発見したと議会に伝えた。

 大統領選のわずか11日前のこの発表を受け、クリントン陣営は窮地に陥っている。共和党がこれを機にドナルド・トランプ陣営のてこ入れを図る一方、民主党は透明性の拡大を求め、反則だと訴えている。

 FBI、コミー氏自身、コミー氏の上司であるロレッタ・リンチ司法長官のいずれもそれ以上の情報を公表していないことから、有権者は捜査の状況や、今回の動きが法的・政治的に妥当なのかについて分からないままだ。

 これまでに明らかになったことは以下の通りだ。

FBIは何を見つけたのか。

 FBIの職員がアンソニー・ウィーナー元下院議員に対する別の捜査(わいせつなメールを未成年者に送りつけた疑い)で押収したノートパソコンに、65万通に及ぶ電子メールが含まれていた。その多くは、ウィーナー氏の別居中の妻でクリントン氏側近のフーマ・アベディン氏のアカウントに属するものだった。

 FBIはそれ以上のことを明らかにしていないため、誰がその一連のメールを書いたのか、個人的なメールなのか、クリントン国務長官の下でアベディン氏が行っていた業務に関係しているのか、機密情報が含まれているのかなどは不明だ。FBIがクリントン氏のメール問題を捜査する過程でこれまでにそのメールを目にしていたのかどうかさえわかっていない。

 FBIはメールを読むことを許可する裁判所命令を先週末に取得したことから、すでに読み始めているとみられる。

 コミー長官は7月、FBIがクリントン氏を訴追しない方針を明らかにし、同氏が国務長官時代に個人メールシステムを職務に使ったことで機密情報の扱いを誤ったのかどうかについて捜査を終了した。

 共和党側は10月28日、捜査が「再開」されたとうたったが、この文言はコミー長官が議会にあてた書簡では使われていない。コミー長官は書簡で、発見されたメールに「機密情報が含まれていたかどうかを見極めると同時に、われわれの捜査における重要性を判断するため、捜査員がメールを確認するための適切な捜査手段を(FBIが)講じるべきだ」と感じたと述べている。

誰のメールなのか。

 不明だが、メールのメタデータ(データに関する属性情報を記述するデータ)は数千通のメッセージがクリントン氏の個人メールサーバーから送受信されたことを示唆している。

発見されたメールを国民が投票日前に見る機会はあるか。

 おそらくない。投票日が8日後(10月31日時点)に迫っているうえ、捜査員が裁判所命令でメールの内容確認の開始を認められたのは、先週末のことだ。

投票日は間近だが、コミー長官の行動は許されるのか。

 コミー長官は今回の書簡で、議会に「アップデート」を提供することは重要だとの考えを示した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、同長官が「独立した」形で、司法省高官らのアドバイスに反して動いていると伝えた。同高官らはコニー長官の書簡について、選挙に影響を及ぼしうる、あるいは及ぼすとみなされる行動を禁じる同省の長年の方針に反すると警告したという。

 だがコミー長官は、選挙が終わるまで公表を控え、より大きな批判を受ける可能性に直面するよりも、情報を共有するほうがいいと判断したようだ。

 民主党のハリー・リード上院院内総務は10月30日、政府職員が選挙に影響を及ぼす地位を利用することを禁じた連邦法にコミー長官が違反している可能性があると述べた。ただ、リード氏の見解は法的な意味よりも政治的影響のほうが大きい。

この「オクトーバーサプライズ」は選挙に影響するか。

 予想は難しい。10月28日午後にこの爆弾が落ちる前に、既に1700万もの票が投じられていた。有権者は1年半以上前からクリントン氏のメールについて耳にしてきたため、この時点でこの話は意思決定に織り込まれているかもしれない。反クリントン派の有権者が同氏は信用できず、無謀で、自分のルールに従って動くとの見方を確認した一方、中核のクリントン氏支持者はすでにこの問題を片付けている。

 だがWSJワシントン支局のジェリー・サイブ支局長は10月31日のコラムで、有権者の関心が今回の一件を受けてトランプ氏や同氏の大統領としての適性から離れ、クリントン氏に向かうと書いている。これによりトランプ氏は、離れていった有権者の一部を取り戻せるかもしれない。

 1972、1992、2000、2004年を振り返ると、大統領選直前の10月に何かが発覚したり事態が展開したりする「オクトーバーサプライズ」は、選挙戦の流れを変えることもあるが、変えないこともある。

 10月28日のニュース以降の世論調査はあまりないが、リアル・クリア・ポリティクスによる最近の調査では、同日以降クリントン氏のリードは平均で約半分に縮小し、2.5ポイントとなっている。

By DANIEL NASAW

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