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幸せの尺度

日銀が11月の金融政策決定会合では現状維持を貫きました。その中で注目されたのは2%の物価目標を17年中達成から18年頃と後ずれさせたことでしょう。黒田総裁になってから何度目の後ずれになるのでしょう。目標達成が期限内に出来ないとしながらも現状維持とした政策そのものに自己矛盾か金融政策の限界があるとも言えます。

最近の経済関係のコラム、記事、寄稿などを読むと経済的に日本が目的としているのは何だろうか、という原点に立ち返る内容が増えてきたような気がします。そしてその答えは「幸せ」というあいまいな言葉にたどり着きます。

それを推進するのがインドと中国に挟まれたブータン大国で、そこでは「国民総幸福量(GNH)」という尺度を使うことで著名になりました。この国民総幸福量は発想としては理解できますが、どうやって調べるのか、それを数値化にすることは可能か、といえば感性的で主観が入りやすい72項目の質問を抽出された国民から聞き取りをする手段であります。

これに対する批判は幸福度を政府が恣意的にコントロールすることが可能となる点です。あるいは小国や一定の地域では可能でしょうが、一定規模を誇る国家となるとこれは難しい課題であります。

ではもう少し現実に戻り、現在有効に使われる尺度から考えると私は一人当たりGDP(国民総生産)、そしてできれば一人当たりGNI(国民総所得)が金銭面、数値面からの幸福の尺度になる気がします。日本は65歳以上の高齢者が総人口の4分の1を超える成熟国家であります。高齢者に偏重する資産を運用するにあたり直接、間接的に海外からの所得受け取りが増える中で「総生産」よりもいかに人々が得るものがあるかがより重要な尺度になるのではないでしょうか?端的に言えばアウトプットよりインプットであります。

ところで経済の専門家は消費が伸びない、だから物価が上がらないという課題を延々と議論し続けています。少し難しい言葉で言うと総需要が足りない、とも言います。その一方で日経ビジネスにはアパレル業界の危機を謳った特集があります。業界では売れ残りを大量に処分しています。では、食品はどうでしょう?レストランはどうでしょうか?どれも「廃棄の経済」であります。つまり、作りすぎ。

国民が豊かになれば美味しいものをたらふく食べるという行動に出やすくなります。日本は美食家で世界でもトップレベルです。しかし、そんなことをすれば当然体重は急上昇し、健康上の問題が発生します。その反動なのか、最近では高額の費用をかけて如何に痩せるか、を必死に追求する人も多く見かけます。そういう私も炭水化物は一日一回に落としています。おかげで頭はすっきり、体は軽く、シエスタは必要ありません。ですが、コメの消費量が愕然とするほど落ちてしまいました。これは日本経済には不都合ですが、私は健康的であるという点でより幸せになっています。

もう一点、抑えておかねばならないのは格差であります。上述の一人当たりのGDPはあくまでも平均であって、それを偏差で分析すればばらつきは相当大きなものなってきています。今、問題なのは偏差の下限にいる人たちの幸福感でしょう。そして今後、間違いなく増えてくるのはAI化が急速に進むことで労働が奪われる問題であります。これは偏差のばらつきがより顕著になり、自立し暮らせない人がより多くなることを意味しています。これの対策の一つにベーシックインカム制度が再び、脚光を浴びようとしています。

個人的には一定額を貰えるベーシックインカム制度は堕落者を生み出しやすい制度であり、金持ちが貧困層をサポートする社会体制がより明白になり、格差問題を増長する懸念があり、好ましい考えだとは思っていません。

バンクーバーのあるパン屋はその日の売れ残りのパンを全て施設に毎日寄付しています。閉店時間になると施設の人が取りに来るその仕組みはお金ではなく、食べたいけれど買えない人との幸福のシェアを実現していると思います。

日本が目指す幸せ、それを数値化するのは難しいですが、インフレでもGDPの拡大でもないのかも知れません。高齢者が町探訪ウォークしたり、コト経済としてイベントを楽しむ若者が増えるなど「あぁ、楽しかった」と思わせる安定した日々なのでしょう。決して腹いっぱいの幸せではなく、八分目だけどサステイナブルな幸せです。

では今日はこのぐらいで。

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