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発火の危険もノート7渡さない! ファンがリコール拒否

By JONATHAN CHENG and EUN-YOUNG JEONG

 ロサンゼルスに拠点を置く俳優のジョナサン・バックハウスさん(23)は米人気テレビドラマ「ウォーキング・デッド」にエキストラとして出演、ゾンビが歩き回るこの世の終わりを生き抜いた。

 だからだろう、爆発の危険があってもバックハウスさんは韓国・サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーノート7」を使い続けるつもりだ。ノート7は発火の報告が相次ぎ、スマホとしては世界最大規模のリコールが実施されている。

自身のギャラクシーノート7を見せるジョナサン・バックハウスさん
自身のギャラクシーノート7を見せるジョナサン・バックハウスさん
Photo: Jonathan Buckhouse


 バックハウスさんはギャラクシーノートの「筋金入りのファン」で、古いモデルもクロゼットの中にしまっている。「電源を入れることが違法になるか、AT&Tから呼び出されるまで手放さない」と話す。

 ノート7の利用者の中には、バックハウスさんのように自分の端末に強い愛着を持ち、爆発のリスクがあっても手放したがらない人たちがいる。

 ノート7のリコールは混迷している。サムスンは先月、リコールを実施。だが、その後も発火の報告が続き、今月になって2回目のリコールに踏み切った上、生産・販売中止を決めた。サムスンは面目を失った。

 AT&Tなどの通信会社は利用者に、できるだけ早くノート7を他の端末と交換するよう強く勧めているという。

 米消費者製品安全委員会(CPSC)のエリオット・ケイ委員長は今月、声明を発表。「火災の危険はあまりにも大きく、誰であってもリスクを冒すことはできない」と指摘した。政府はノート7の100%回収を目指していることも明らかにした。

ITマネージャーを務めるシェーン・モンソンさんは、ノート7を所有する同僚には端末の交換を勧めているが、自身は使い続けるつもりだ
ITマネージャーを務めるシェーン・モンソンさんは、ノート7を所有する同僚には端末の交換を勧めているが、自身は使い続けるつもりだ
Photo: Shane Monson


 テキサス州ヒューストンの救急車メーカーで情報技術(IT)マネジャーを務めるシェーン・モンソンさん(43)を政府は説得できるだろうか。モンソンさんはノート7を所有する同僚には端末の交換を勧めているが、自身は使い続けるつもりだ。

 「(ノート7の)使用をやめるつもりはない」とモンソンさん。「頑固なんです」。母親もサムスンのスマホの熱狂的なファンで、ノート7を使い続けているという。

 職場では同僚がモンソンさんのデスクの脇にふざけて消火器を置いたそうだが、モンソンさんは皆の反応は大げさだと感じている。「携帯電話が爆発するより地元の宝くじに当たる確率のほうが高い」。

 CPSCによると、ノート7に関連して13件のやけどや47件の物損が報告されている。ノート7の発火は米国以外でも報告されているが、250万台を超える同機種の世界出荷台数から見れば、問題があった端末はごくわずかだ。

 今月14日、アンソニー・フォックス運輸長官はノート7を飛行機に持ち込んだ場合、最大で18万ドル(約1880万円)の罰金が科せられるか、起訴されると警告した。

 当局が消費者に端末の交換を強制しようにも大したことはできない。ノート7の販売や飛行機への持ち込みは現在、法律で禁じられているが、元CPSC委員で現在はフリーで製品の安全性に関するコンサルタントをしているスチュアート・スタットラー氏によると「消費者個人にはリコールに応じるなどの義務はない」。

 サムスンの広報担当者は「忠実なノート7の顧客の忍耐と理解」に感謝するとしながら、リコールに応じるよう強く訴えた。

 「(ノート7で)ロシアンルーレットをやっているようなものと分かっているが、この端末が気に入っている」。こう話すのはニューヨーク州バファロー在住のセラミック技術者、スコット・スペンサーさん(41)だ。端末には何週間も前から、交換を促すサムスンからのメッセージが繰り返し表示されているが、スペンサーさんは無視し続けている。「全ての情報がこの中に入っているし、自分の好きなように設定してある」

 CPSCは抵抗する消費者がいることを想定していたのだろう。ケイ委員長は声明で「自分の安全や他人の安全を危険にさらすほどの価値はない」と述べ、消費者に対し、機能がどれほど魅力的でもノート7を交換するよう訴えた。

 チョン・ヒジュンさん(18)のルームメイトが聞いていたら「よく言ってくれた」と思ったに違いない。韓国在住のチョンさんはノートシリーズの大ファンで、ノート7を枕元に置いて眠っている。ルームメイトからは「寝る前に遠くに置いてきて」と言われ続けているそうだが、チョンさんは危険が誇張されていると感じている。

 チョンさんはノート7が発火したところを撮影した動画をじっくり見たそうだ。自分の端末が燃えても、自分もルームメイトも逃げる時間は十分にあると思っている。

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