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企業優遇のツケは誰が払うのか

外国人技能実習生、異例の過労死認定 残業122時間半(朝日新聞)

 建設現場や工場などで働く外国人技能実習生が増え続ける中、1人のフィリピン人男性の死が長時間労働による過労死と認定された。厚生労働省によると、統計を始めた2011年度以降、昨年度まで認定はなく異例のことだ。技能実習生の労働災害は年々増加。国会では待遇を改善するための法案が審議されている。

(中略)

 岐阜労働基準監督署によると、1カ月に78時間半~122時間半の時間外労働をしていたとされる。労基署は過労死の可能性が高いと判断。昨年、遺族に労災申請手続きの書類を送った。結婚の証明などを添えてレミーさんが申請し、今年8月に労災認定された。一時金として300万円、毎年約200万円の遺族年金が支給されるという。

 さて世間では電通社員の過労死の方が話題ではありますが、有名税の支払いから逃れられない大企業ですら死者が出る有様なのですから、世間の目の届かないところで好き放題を続ける中小零細企業に至っては言うまでもないのでしょうね。おそらく、ここで引用したのと同様のケース、過労死で終わるだけならば同様の悲劇は他にもあったことと推測されます。ただ今回は「異例の」過労死認定が行われたとのことで、人が犬を噛んだがごとくニュースになっているわけです。

 結局のところ、これは氷山の一角であって本当は闇に葬られていることの方がずっと多いであろうことは想像するに難くありません。ただ、珍しくも労基署が積極的に動いて海外の遺族にも十分かはさておき保障に動いたのは、ある程度までは評価すべきでしょうか。本当は死んでからではなく死ぬ前に仕事をすべきではありますけれど……

 経済系の言説では、労働力不足が云々との声も連呼されていますが、それは嘘だと言うことがよく分かります。労働力不足が真実であるのなら、希少な労働力は大切にされるはずですから。労働者が使い捨てにされるのは、それを失っても雇用側にとって全く惜しくないからです。まぁ日本の水産資源の扱いなどを鑑みるに、後先を考えずに資源を枯渇させるのはお家芸、労働力もまたウナギのような運命をたどるのかも知れませんが。

 それはさておき、ここで引用したようなケースは日本経済にとっても「高く付いた」ことは意識されるべきでしょう。採算性の低いゾンビ企業を延命させるために安価な外国人労働者を長時間労働させた結果として、毎年約200万円の遺族年金を支出することになったわけです。最低賃金かそれ以下の給与で長時間労働を強いることでしか存続できないような事業者が納める法人税の額と、当然のこととして支払わねばならない遺族年金の額、果たしてどっちが重いのでしょうね。

 つまりは寄生虫のごとき事業者を生き延びさせるために、日本社会もまた色々とツケを払っているわけでもあります。日本の経済政策は労働者を殺す方向から、労働者の犠牲に上に生き延びる事業者を退場させる方向に転換する必要があるのではないでしょうか。規制緩和で人を安く雇えるようにする、外国人を安く買ってこれるようにする、そんな構造改革からは180°別の方向に進まなければ行けません。

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