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サイバーセキュリティと自衛権

 10月21日の内閣委員会の最後20分程度、丸川珠代サイバーセキュリティ担当相(と宮澤防衛大臣政務官)に、サイバーセキュリティと自衛権の関係について質問しました(ココ)。何故か、これも与党議員に好評でした。

 まず、導入として、丸川大臣に「担当」を聞いています。丸川大臣は、先の予算委員会で自身の担当について「サイバーを含むセキュリティ、運送面、気運の醸成」と答弁しました。しかし、オリ・パラ法において同大臣は「内閣総理大臣の命を受けて、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣」 と位置付けられています。

 私の質問は、「内閣総理大臣の命を受けて、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣」マイナス「サイバーを含むセキュリティ、運送面、気運の醸成」の中に入るものは何か、と聞いています。今、オリ・パラ相としての存在感が極めて薄い同大臣としての気概を聞きたかったのですが、「CIQの強化と感染症対策」というものが追加的にあるという答弁でした。ちょっと意地悪く言うと、「サイバーを含むセキュリティ、運送面、気運の醸成」プラス「CIQの強化と感染症対策」なのか、という事になります。どうも、丸川大臣の認識はオリ・パラ法に書いてある所掌とはかなり差があるように思えてなりません。

 まあ、そんな質疑は続けても意味がないので、主題である「サイバーセキュリティと自衛権」について質疑を移りました。政府は、一般論として「武力攻撃の一環としてサイバー攻撃が行われた場合には、自衛権を発動して対処することは可能と考えられる。」と述べてきています。


 ここで、「武力攻撃の一環として」という言葉について色々な疑問が湧いてきます。私の問題意識は以下のようなものです。

● サイバー攻撃自体が武力攻撃に該当すると考えているのか。

● サイバー攻撃のみが行われる場合も「武力攻撃の一環として」に入るか。

→ これらについては、まだ、議論が百花繚乱で決めきれていない、という答弁でした。ただ、そうすると、同じサイバー攻撃でも物理的な武力攻撃と相俟って行われる場合は武力攻撃と見なされ、単体で行われる場合にはそうでないという変な結論すらあり得るわけです。ここは「全体として判断」という事でした。
● サイバー攻撃の主体が国家ではなく、武力攻撃が起こり、その一環として民間主体がサイバー攻撃を行う場合はどうか。

→ これは個別具体的な判断という事でした。
● サイバー攻撃の対象が、国家や政府機関ではない企業や事業体である場合も、「一環として」と考え得るか。

→ これは、私は「当然考え得る」という答弁であるべきだと思いますが、ここですら「個別具体的な判断」という事でした。違和感がありました。

 また、「自衛権を発動して」についても質問しています。自衛権発動については、既存のPower Projection Capabilitiesの考え方が根幹から変わるという事が重要です。例えば、ミサイル等での武力攻撃が今にも起ころうとしている場合、策源地攻撃は、従来から(安保法制改正前であっても)個別的自衛権で整理可能でした。ただ、現在、日本の自衛隊はそういう攻撃能力を十分に有していないので策源地攻撃は必ずしも現実的ではありません。

 しかし、サイバー攻撃については、策源地攻撃が可能なのです。なので、例えば、個別的自衛権の行使として、日本にミサイルを発射する直前の基地をサイバー攻撃する事は可能かと質問しました。これは自衛権の解釈のあり方なので、別に「こちらの手の内を明かす」ということにならないと思いますが、何から何まで「お答えを差し控える」でした。これくらい「やり得る」と答えても問題ないと思うのですが。

 最後に、サイバーセキュリティについては、どうも現場で実務に携わっている方々と、安保法制を担当している方々との間に距離があるように思えるので、そのインターフェースを作っていくべきではないかと指摘しました。この程度の質問には「そうですね、引き続き頑張ります。」と受け流しておけばいいのに、ポイントの外れた反論をしていました。あれは性格なんですかね...。

 丸川大臣に対する違和感と、防衛省答弁の雑さが印象に残った質疑でした。

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