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どこまで迫る相続税の取り立て

1-2年前、会計事務所を経営される税の実務ではかなり著名な方と話していた際、「相続税逃れはいずれ不可能になる」と断言されていました。この先生は相続税の専門の会議にもご出席になっていらっしゃる方ですのでその内容からも国税のスタンスがわかっていらっしゃったのだろうと思います。

事実、この1-2年の間、相続税に関するルールはより厳しく、そしてきっちり取り立てる仕組みが出来上がりつつあります。21日の日経には「相続税逃れの海外移住に網、5年を超す居住にも課税検討」とあります。思わず、ここまで手を付け始めたか、と苦笑いしてしました。

5年の海外居住は数少ない相続税を逃れるための合法テクニックでした。仕組みは相続する予定の親と被相続人の子が共に5年以上海外に合法に住んでいれば非居住者間の資産移動とみなされ、日本の国内法下の相続税は逃れられるというものであります。

カナダは相続税がありませんので潜在的にはシンガポールや香港と並び高額所得者が移民するメリットがある国です。実際、それらしき目的で移住を企てるケースも散見されるようです。カナダの場合、移民権取得のハードルが高くなり、高額所得者や資産家と思しき一定年齢に達している方は移民取得が特に難しくなっています。それでも移民申請をケベック州で行えばまだ比較的やりやすいとはいわれています。

ただし、5年の海外移住テクニックも実際に活用するとなると微妙なルールです。これは家族が全員移住することを意味し、仮に日本で一定の資産を得た人が日本でのビジネスなり拠点をギブアップできるのか、そして家族が喜んでついてくるのか、といえばかなりハードルが高い選択肢でしょう。特に一定年齢の親の子供も当然一定年齢に達しているわけで結婚などしていたらほとんど極めて限られた方にしかメリットのないものとも言えます。

よって国税の更なる締め付け姿勢、でありますが、それで影響を受ける人は案外少ないような気も致します。

こんなことで締め付けるなら不動産や賃貸住宅にした時の価値の圧縮効果の方がおかしい気がします。現金で持っていればバリュエーションは100%、だけど一定条件の不動産なら表面価値を下げ、相続税そのものを引き下げられる論理的根拠は個人的には今一つ理解に苦しむところです。特に賃貸なら相続税が安くなる理由は何故なのでしょうか?まさか住宅の安定供給の時代の名残ではないと思いますが。

このルールがなくなってくれれば日本から賃貸物件が相当減ることになり、不動産の底上げ期待ができることになります。同じことはタワーマンションのように土地部分が少ない不動産を所有するメリットもおかしな話で相続対策で生まれたタワマンと皮肉られるようでは困ります。

究極的にはそこまでして相続税を逃れる理由が何処にあるのか、という原点に戻ってしまいます。一般的な生業をされて成功された方は何を求めるか、といえばビジネスの地道な成長と名声でありましょう。ビジネスで成功された方が突然日本から姿をくらますことはあまり考えられないと思います。

あり得るパタンとしては株など投資で儲けた方、あるいは儲けている方はどこにいても相場はできるという発想があります。また、不動産を処分した方、IPOなどで転がり込んだ株長者といった割と狭い範囲の方々と国税のバトルのような気がします。

国税の課税スタンスはともかく、課税強化は世界共通の課題。その背景は税収不足です。節税したい向きには逆風が吹き続けるのでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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